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仕事に有用な「洞察力」は、観察、考察、推察のプロセスから生まれる

 
観察、洞察する人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

仕事に有用な洞察力は、観察と考察と推察から生まれる

 

洞察は、観察、考察、推察のプロセスから生まれる

「一を聞いて十を知る人」
「指示の意図を汲み取り、期待以上の成果を上げる人」
そんな「仕事ができる人」がいます。先の先まで読んで、指示される前に準備を始めている。お客様の発言の裏にある心理を読んで、思わぬ提案をして喜ばれるような人です。そんな人を、「洞察力」が優れていると言います。ネットビジネスで巨大な企業を築いた人たちも、「世の中にない新しいこと」を見つける「洞察力」に優れています。

「洞察力」を辞書などで「洞察力」を調べると、
「『物事の本質を見抜く力』。表面的な物事を観察した上で、『目には見えない部分』を見抜く力」
との趣旨が記述されています。(Weblio辞書など)これだけでは、推察や考察と同じようです。もう少し「洞察」が生まれるプロセスを考えてみると、それは、観察、考察、推察を通して生まれていることがわかります。須藤憲司氏の言葉を借りると以下のように定義されています。
1)観察:物事を見て変化を見つけること
2)考察:観察から規則性や法則を見つけること
3)推察:規則性や法則の適用先を見つけること
4)洞察:目の前で起きた事象と全く異なる因果関係に気づくこと
(須藤憲司著「ハック思考」幻冬舎の言葉を一部修正)
「洞察力」は、もって生まれた人の才能のように思い勝ちですが、このプロセスに従えば、誰しも発揮できる力でもあります。


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「仕事ができる人」とは、洞察力に優れた人

かつて上司からこんな問いかけをされていました。
「現場をよく見たか」
「何か気づいたか」
「それでどうなると思うか」
「ならばどうするか」
まさしく、観察、考察、推察、洞察の手順です。眼前の出来事から一気に裏に隠れた法則を見つけ解決策を出すように見える「洞察力」ですが、その裏には手順があるのです。
世の中で起きること、人の行動には、たいてい因果関係があります。じゃんけんやギャンブルには、この例外ですが、確率があります。因果関係は、明確に法律などルールによって生まれているものと、行動経済学で扱われるような人の心理に基づくものがあります。ルールによって生まれる因果関係は、それを知ることです。「GO TO トラベル」のルールができたから人が移動を始めるのです。また、人の心理に基づく行動もその原則は、かなり解明されています。コロナがおさまっても「日本人は欧米人ほど急激に活動を再開しない」という経験則があるから、「GO TO トラベル」をするのです。
「洞察」に至る観察、考察、推察は、この因果関係を確認する作業でもあります。その因果関係を決めているルールや経験則を知ることが重要です。その上で、観察、考察、推察のプロセスを得ることで、「洞察力」が生まれます。

 

ある魚屋さんの「観察、考察、推定、洞察」の例

近くに小さな魚屋さんがあります。場所は、都市近郊の駅近く。駅前商店街の端にあり、それなりに繁盛していました。ところが、近くにスーパーマーケットができたこともあって、今や商店街はシャッター通りというよりゴーストタウン化しています。
魚屋の主人は閉店を考えていそうです。自分の店に来る客が少なくなる中、主人は「観察」を始めました。
「スーパーで売られている魚は安いし、決して悪いものではない。」
「店内では、それでも客がじっくり品質や値段をチェックして買っている」
主人は、正直「勝ち目がない」と思ったそうです。ところが、もっと「観察」を続けていると、夕方スーパーで買う客は、数品だけ買っていくことに気づきました。

主人は、この「観察」から、「考察」しました。
「昼間の客は、沢山のものを品質や価格を気にしながら時間をかけて買う。」
「夕方に来る客は、少ない品数を短時間で買う。」
「その客は、パート帰りなどの主婦層が多い。」

そして、魚屋の主人は、「推察」してみました。
「夕方短時間で買う客なら、自分の店でつかめる。」
「帰宅後、魚をすぐに食べられる「刺身セット」や「焼き魚」ならば、売れるかもしれない。」
「客にとって品質(うまい)ことは重要だが、値段はそれほど気にしないはず。」
こう考えて、夕方の客に合わせて「刺身セット」や「焼き魚」を店先に並べてみました。この「推察」は大当たり、今では、夕方になると「夕飯につける一品」が売れる魚屋に変身しています。

そのうちに、魚屋のすぐそばに「朝出すと、夕方受け取れる」というクリーニング店ができました。魚屋の主人の勧めで、その友人が出店したとのこと。「会社帰りの人を狙った魚屋があるなら、特定の時間帯と客層を狙ったクリーニング店もうまくいく」との「洞察」です。自分の店の前を通る勤め人がいれば、その人達は、何か「用事」を持ち歩いていて商売になるという因果関係に気づいたということです。今、クリーニング屋を出店するという一種の「仮説」を立て、その検証中です。

 

まとめ

「洞察力」が、仕事の上で重要な才能です。「洞察」のプロセスは、観察、考察、推察を通して生まれます。このプロセスは、
1)観察:物事を見て変化を見つける
2)考察:観察から規則性や法則を見つける
3)推察:規則性や法則の適用先を見つける
4)洞察:目の前で起きた事象と全く異なる因果関係に気づく
ことです。「洞察力」は、もって生まれた人の才能のように思い勝ちですが、このプロセスに従えば、誰しも発揮できる力でもあります。

参考記事:説得力のある人が持っているアリストテレスの「説得の3原則」

「ジョブ理論」から見えてくる必ずしも「安くて良いモノ」が売れない理由

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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