会議の効率化は、出席者を心理学でいう「活動」モードにすること
会議の効率化は、出席者を心理学でいう「活動」モードにすること
会議出席者の態度を心理学の交流分析に当てはめるとどうなる?
「午前の会議、黙り込んで『今日の昼飯なんにしようか』なんて考えているような人」
「決まった報告、決まった質問。『会議とは、儀式みたいなもの』と心得るベテラン社員」
「毎度会議から脱線して、雑談や不満をぶちまけ、ガス抜きの場にしてしまう人」
こんな会議に付き合わされてうんざりしていませんか。定例の行われる会議は、リアルであれ、リモートであれ出席者は、こんな状態に陥り易いものです。これは、心理学における交流分析「時間の構造化」が、つくりだす人の態度です。
会議の活性化、効率化について本やネットに「会議ノウハウ」が溢れています。しかし、それらは、出席者が会議に対して「前向きで有効なアウトプットを出そうという気がある」ことを前提しいます。そもそも、会議の全出席者が、それほど前向きではないのです。
リーダーは、心理学の交流分析がいう6つの「時間の構造化」を出席者に当てはめて、全員がまず会議に対して前向きのなることが必要です。
これまで、会議の活性化、効率化に取り組んできましたが、参加者の気持ちをまず「活動モード」にしなくては、どんな手法を使っても会議の活性化や効率化ができないことを痛感します。この「活動モード」への切替えを心理学の交流分析は教えてくれました。
会議の出席者が「活動モード」になってから「会議のノウハウ」を活用することで、会議の活性化、効率化が実現できます。
会議における出席者の「時間の構造化」
心理学における交流分析が教えてくれることは、「人は、日常生活において無意識に時間の構造化をしている」ということです。特に定例の会議における出席者の「時間の構造化」は顕著です。時間の構造化とは、以下の6つです。
1)自閉 2)儀式 3)社交(雑談)4)活動(仕事)5)ゲーム 6)親交
これらを会議に出席している人の態度に当てはめてみます。
会議出席者が「自閉」の状態
会議中に他のことを考えているような人です。先ほど、「今日の昼飯はなんいしようか」なんて考えていることです。これは、一種の引きこもり状態です。この人に取って、会議は自分と関係ない世界と位置づけられています。こんな時の対処法は、
① もともと不要な出席者である。出席者名簿から外す。
② 会議の目的と出席者との意識を合わせる。なぜ出席するのか、納得させる。
出席者にとって会議が「儀式」となっている
会議に出席し、そこで報告する、質問することが、目的になっている人です。会議がマンネリ化する典型的な出席者の態度です。その対処は、
① 会議の目的を見直し、不要なら廃止。もしくは、簡素化する。
② 報告者、質問者を代える。輪番制とする。
③ 会議のレベルを上げる。このために、報告内容、手法を変える。
出席者にとって会議が「社交」となっている
その日の論点と関係のない発言をして、気分を晴らす部下。自分の体験から文句を言う上司。ガス抜きが目的の会議でない限り、このような態度で会議に参加されても生産的ではありません。言いたいことを勝手に発言する会議は、アウトプットが少ないと認識することです。
① 雑談は、会議の冒頭に留め、本題に入ったら上司でも発言を止める。
② 出席者に会議の目的、その日の論点を確認させ、時間の制限を付ける。
出席者が会議を「活動」と位置付けている
会議は、生産性を上げるためのツールと考えている人。会議を健全に捉えている人の態度です。会議を効率的に行うには、出席者全員が、会議を活動の場と位置付けている必要があります。会議を活動の場と捉えている人が、何%いるかリーダーは、考えてみる必要があります。会議についてのノウハウを書いた本、ネット記事は、世の中に沢山出回っています。それらは、暗黙の内に出席者全員が、会議を自分の「時間を構造化」の中で、「活動」と位置づけしていると仮定しています。会議の出席は、そんな「前向きで真面目な人」ばかりではありません。
出席者に取って会議が「ゲーム」になっている
会議において、会議の論点とは関係なく、特定の人を攻撃する場と捉えている人です。毎度、上司が部下をつるし上げる(逆もありますが)ことや、皮肉めいた発言が必ず入る人の態度です。そこで、
① 会議の論点、テーマに沿った発言を求める。質問を投げかけること。
会議を「親交」と捉える
出席者がお互いの腹を割って、会社や職場の将来を考えながら会議をする態度を「親交」と交流分析では呼びます。出席者全員が、会議を「親交」の場と捉えたらいいのですが、一部の人だけが、そう捉えていると、いわゆる会議の「空回り」となります。皆が同じように会議を「親交」と捉えるには、互いの尊重が重要です。
会議を活性化し効率化するには、まず交流分析のいう「活動」や「親交」にする
会議を良くするには、これまで述べたような出席者個別の対応が必要です。更に本格的に会議の活性化や効率化を図るには、出席者全員を「時間の構造化」における「活動」「親交」モードにすることが重要です。
「親交」の状態、つまり出席者が互いに尊重する状態において、会議を進めれば、会議が活性化します。会議を皆が「有益だった」と感じます。更に、全員が会議を「活動」と捉えるようになると、本やネット記事の「会議ノウハウ」を利用した効率化方法が有効になります。
参考記事:会議の効率化は、「なんのための会議」を仕分けすることから
明石家さんま、上沼恵美子に学ぶ、会議で意見が出ない時のリーダーの手法
まとめ:
会議は、出席者が無意識に心理学の交流分析でいう「時間の構造化」をしています。特に定例の会議にその傾向が強くでます。「時間の構造化」の6つのパターンの内、出席者が「活動」「親交」のパターンになって初めて、「会議の進め方ノウハウ」が活かされます。会議のリーダーは、まず出席者の気持ちをこの方向にもっていくことが重要です。