「決められない」非効率な会議の原因は、日本人の「話し合い絶対主義」の影響
「決められない」非効率な会議の原因は、日本人の「話し合い絶対主義」の影響
「決められない」非効率な会議の原因
「決まらない会議」
「意見が出ず、時間ばかりかかる会議」
「『俺は聞いていなかった』と会議の結論にそっぽを向く人」
日本の会議で、よく目にする光景です。その結果、時間の長い、結論がでない、不満が残る非効率な会議となります。
非効率な会議になるのは、日本人の「話し合い」に対する考え方が原因です。「逆説の日本史」の著者である井沢元彦氏が主張している日本人の「話し合い絶対主義」の弊害です。
井沢氏が主張する日本人の「話し合い絶対主義」とは、
① 物事は、話し合いで決めることが正しい
② 話し合いで決めたことは、正しい
③ 全員一致が正しい決め方
などが特徴であるとの考え方です。多くの人が、あまり意識していませんが、日本人は子供の頃から「話し合いで決めることが正しい」。「少数意見を尊重しなくてはいけない」「独裁は、悪である」と刷り込まれています。この考え方は、現実に合っていません。それなのに、この考え方を適用しようとして非効率な会議が生れるのです。
宗教みたいになっている「話し合い絶対主義」を変えさせるのは無理です。しかし、弊害を減らし、会議を効率化することはできます。それは、以下の3点をリーダーが決めて指示することです。
① 決め方を決める
② 決める期限を決める
③ 決めたことのリスク対策を決める
会社などの組織で物事を決める会議開いたとき、この3点が曖昧な為に、会議の効率化ができないのです。これは、自分自身が、取締役会から現場のQC会議、海外の会社との会議を数限りなく経験して気付いたポイントです。
決め方を決める
「物事は、話し合いで決めることが正しい」と日本人は思っています。会議を開かずに物事を決めるのは、「けしからん」ことなのです。会議から外されて、「俺は聞いていない」と言う人は、「話し合いで決める」原則が守られていないとが不満なのです。しかし、会議を決定の手順としてやれば、意見の出ない参加者も多くなります。「会議は、参加することに意義がある」という風土ができています。
決めることを目的として会議は、日本の会社では必須です。しかし、会議の目的が決めることであれば、どんどん「決める」ことです。
その際、決め方の合意が必要です。会社や組織において、最終的には、「リーダーが決める」のか、「全員一致」なのか、「多数決」とするか等です。大抵の会社は、リーダーである上司が決めます。始めにリーダーが、
「このことは、最終的に私が決めます」
と宣言しておけばいいのですが、日本では高圧的感じることが多いかも知れません。議論が進んだとこで、
「部長、結論はどういたしますか」
なんて、上司の気持ちを心得たベテラン社員が仕切って結論がでます。上下関係がハッキリした会議では、こんな処世術で乗り切れます。「決めること」をリーダー自身がするのか、多数決等他の人にゆだねるのか、始めに覚悟を決めておくことです。
稟議書を回し、多くの人がハンコを押すのは、「物事は、話し合いできめることが正しい」「全員一致が正しい決めた」という「話し会い絶対主義」に沿った行為です。だから、多くの会社や役所で物事の決め方として定着しています。ハンコは、非効率で問題になっていますが、電子決済にすれば、会議より早く決まります。「話し合い絶対主義」にも合致します。うまく活用すれば、会議の効率化が図れます。
決める期限を決める
会議を効率化するには、いつまでに決めるか、期限を明確にすることが重要です。「内容がハッキリした時点で決める」では、いつまでたっても内容がハッキリしません。例えば、投資の提案に対して、そのメリット、デメリットを見極めようとしても、100%確信が持てることはありません。たとえ、どれが出来たとしても、その時は何をやっても手遅れ状態です。
「いつ決める」「もしくは、○○%確信が持てたら決める」
明確にすることです。
最近では、「コロナ禍にめどが付いた時点で、イベント開催を決める」と決めて、皆モヤモヤさせられています。むしろ、「〇月〇日の会議で決める」「陽性率○○%になるまで、会議で決めない」とした方がいいかも知れません。決めるか、決めないかわからない会議を何度も開くのは、いかにも非効率です。
国対国の交渉では、決めないことが暗黙の了解みたいなものがあります。変に期限を決めたことで、日本は米国と戦争をする羽目になりました。原発の諸問題なども、「決めない」のか「決められない」のか、この手の話になっています。これは、一つの戦略かもしれませんが、「決めないこと」は、企業活動において、大変なロスであることは認識しておくべきです。
決めたことのリスク対策を決める
会議で決められないのは、リーダーや参加メンバーが、物事を進めるのに自信がないからです。例えば、成功率が70%と確信でき「投資する」決めても、残り30%のリスクが残ります。この対策を事前に決めることです。
「話し合い絶対主義」では、「全員一致が正しい決め方」という暗黙があります。たとえ、多数決で決めても、「少数意見」がいつまでも残ります。リスクを心配する意見です。国会の野党議員が必要に食い下がるのは、「全員が納得できる」ことを求め、リスクを追及します。
会議において、たとえ多数決で決めても、少数意見の人にはリスクが心配で不満が残ります。「本来、会議は全員一致」が理想と思っているからです。決めたことに対するリスク、言い換えれば少数意見が懸念する状態になったときに、どうするかを決めることです。リスクとは、物事を実行するにあたっての「心配事」です。この心配事を解消できることが、日本のリーダーに求められる重要な資質かも知れません。これをしないと「独裁」とか「ワンマン」のレッテルを張られ、攻撃されることになります。
「失敗の責任は、俺が取る」とリーダーが発言するのは、リスク対策の一つです。いろいろ方法はありますが、決めたことのリスク対策を決めておくと、会議の効率化ができます。
まとめ
物事が決められない非効率な会議は、日本人の「話し合い絶対主義」の影響です。これを踏まえた会議において物事を効率よく決める3つのポイントは、
① 決め方を決める
② 決める期限を決める
③ 決めたことのリスク対策を決めること。
この3点をリーダーが、決めれば、会議の効率化となります。