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コンサルタントが行うインタビューの目的と成功のための4つのポイント

 
不快なインタビューのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

コンサルタントが行うインタビューの目的と成功のための4つのポイント

 

インタビューの目的別の種類

「採用やオーディションでのインタビュー」
「スポーツ選手に対するインタビュー」
「企業幹部に対するインタビュー」
昔から様々な場面でインタビューが行われ、その様子がTV中継されたり、新聞や雑誌の記事となったりしてきました。今では、ネットでインタビューの動画や記事を目にすることが多くなりました。
見ていて「なるほど」と思うインタビューもあれば、受け答えがかみ合わないインタビューや、質問というより「詰問」いった方がいいようなインタビューもあります。
そもそもインタビューとは、相手に質問を行い、その回答を得る会話です。そのインタビューでの質問には、目的があります。その目的から逸脱したインタビューは、どんなに互いが話をしても得られるものは多くありません。インタビューが会話であることを忘れて、一方的に相手を追い詰めたり、個人的な興味と思われる内容を訊いたりといったインタビューにならないために、その目的を双方が認識しておくことが大切です。目的を念頭において、インタビューしないと有効な会話にならないばかりか、互いに不快な思いをする羽目になります。
そもそも、インタビューの目的別の種類には、以下のようなものがあります。
1)情報収集型インタビュー
事実や意見を収集するためのもので、報道インタビューや調査など。
2) 評価・判断型インタビュー
相手を評価・分析するためのものでで、採用やオーディションなど。
3)アドバイス・支援型インタビュー
相手の問題を発見、成長や解決策を支援ためのもので、コンサルやカウンセリングなど。
4)共感型インタビュー
相手との人間関係の構築、共感を深める目的で行うもので、顧客や従業員との会話など。
5) エンターテイメント型インタビュー
会話そのもので、聴衆を楽しませるもので、芸能人やスポーツ選手へのインタビューなど。
この中で、コンサルタントやカウンセラーが行うのがアドバイス・支援型インタビューです。コンサルタントやカウンセラーは、インタビューをとして相手の状況を把握し、課題と解決策を見つけていきます。
コンサルティングで行うアドバス・支援型のインタビューには、いくつかのポイントがあります。代表的なものが以下の4つです。
1)現状把握と課題の特定
2)組織文化・人材の理解
3)顧客や外部関係者の声
4)改善策の提案・実行支援
これらのポイントを押さえたインタビューを通して、クライアント企業の正確な状況、実行可能な改革案の作成と実施が可能となります。
この記事では、企業に対するコンサルタントが行うインタビューの例をご紹介します。
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現状把握と課題の特定

対象の企業や組織の現状を深く理解し、抱えている課題やボトルネックを特定するためのインタビューです。
企業の経営状況は、売上高や利益の推移、受注状況、生産性など各種データから知ることができます。インタビューでは、これらの数値をその企業の経営者や管理者がどう理解しているかも合わせて知ることが重要になります。例えば、
「現在の業務プロセスで最も時間がかかる部分はどこですか?」
といった質問をすることで、生産性の課題や生産性に対するクライアントの認識を知ることができます。
クライアント企業のインタビューをしていて気付くのは、各社員が意外にも「自社のことを知らない」ということです。特に大企業では、自分の所属している部署や事業所しか知らず、インタビューのなかで、
「他の事業所はどうなっていますか?」
「他社は、どうしていますか?」
と逆にコンサルに質問されることがあります。これらに答えることで、より正確に自社、自部署の課題を特定することができます。

 

組織文化・人材の理解

組織の価値観や従業員の意識、チームワークの状況を把握するためのインタビューです。
経営者が、どんな将来像やビジョンをもっているかについて、例えば
「3年後にどのような会社になっていたいですか?」
といった質問です。また、従業員に対して
「この会社で働く魅力はなんですか?」
といったモチベーションを問うような質問をすることもあります。
また、重要なのは、
「会社の改革について、どう考えていますか?」
といった改革に対する企業の風土を見極めることが重要です。
コンサルの立場からすれば、どんな提案、提言をしても受け入れる文化がなければ、全く意味がありません。社長だけが、改革に前向きで、従業員がそっぽを向いている状況でどうしようもなかった苦い経験があります。
ポイントは、インタビューをしていく中で、改革がうまくいった事例を紹介して、
「自分達の会社も変れる」
という気持ちになってもらうことです。

顧客や外部関係者の声

コンサルティングでは、クライアント企業だけでなく、顧客や取引先にインタビューをすることがあります。クライアント企業からだけのデータやインタビューでは、マーケット全体の状況認識や自社認識が、偏っている可能性があるからです。
顧客に、
「なぜこの会社の商品やサービスを選んでいただいているのですか?」
といったインタビューをしたことがあります。クライアント企業の人は、
「当社の製品が高品質であるから」
と自信たっぷりだったのですが、お客様は、
「どこの製品も同じような品質ですが、昔から買っているので」
とか
「先輩社員に、『ここから購入すること』と言われていただけで、特に品質とか考えたことはありません」
といった回答に愕然としたことがあります。
外部の声が、自社の認識と大きくずれた評価であることを知ったと同時に、クライアント企業の顧客など外部情報を把握していないことが露呈しました。

改善策の提案・実行支援

コンサルタントが提言策を実施しようとするとき、インタビューを通じてクライアント機企業の意識や実行力を把握することが大切です。理想の改善策もリソースの不足や改革への意識が低くでは、実行はできません。実行可能な改善策を探り、納得感を持っていただくためにインタビューをします。例えば、
「この施策を実行する場合、どのような障害が想定されますか?」
「どんな反対意見がでますか?」
といった質問です。
ある企業のコンサルをしていて、担当社員から
「こんな改革案を出すと、必ずA常務から反対されます」
と言われたことがありました。そこで、「コンサルによるインタビュー」と称してA常務にインタビューしました。
「改革案に対して、どんなことを懸念されますか?」
「その懸念は、どんなことからきますか?」
と質問してみました。するとA常務は、改革案そのものに反対なのではなく、「これまで一気に改革しようとして、途中で挫折を繰り返してきた過去」と同じにしたくないとの話。延々と懸念される要因とその対応策を会話していくと、A常務自身か改革案の立案者のような気分になられ、その後は前向きに展開したことがあります。
このようなインタビューを担当者の方と、「根回しインタビュー」と呼んでいました。

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まとめ

コンサルティングで行うアドバス・支援型のインタビューには、4つのポイントがあります。
1)現状把握と課題の特定
2)組織文化・人材の理解
3)顧客や外部関係者の声
4)改善策の提案・実行支援
これらのポイントを押さえたインタビューを通して、クライアント企業の正確な状況、実行可能な改革案の作成と実施が可能となります。

参考記事:周囲をイラつかせる「質問力」のない人の4つの質問パターン

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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