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「一切皆苦」(いっさいかいく)が教える「嫌な人」とコミュニケーションする方法

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「一切皆苦」(いっさいかいく)が教える「嫌な人」とコミュニケーションする方法

 

「コミュニケーション能力」の3つの要素

「怖そうで、話かけにくい相手」
「何かとイラついて、話したくない相手」
そんな「苦手なタイプ」「嫌な人」がいませんか。不幸にも、そんな人と付き合いコミュニケーションを取らなくてならない場合はあるものです。上司と部下、家族、近所付き合い等、逃げられない関係では、「嫌(いや)」でも、会話(コミュニケーション)しなければ、ならない場面に遭遇します。
「自分に『コミュニケーション能力』があったらいいのに」
と思う方がいるかも知れません。それは、「コミュニケーション能力」を誤解しています。「コミュニケーション能力に優れた人」とは、誰とでも楽しく会話ができることではありません。そもそも「嫌いな人」と楽しく会話することは、どんな人にとっても至難の業です。
コミュニケーション能力とは、
1)相手の伝えたいことを理解する力
2)相手に自分の伝えたいことを伝える力
3)相手に自分の意図を理解させ行動させる力
のことです。誰とでも楽しく会話できるとか、皆の気持ちが良くなる話ができるといったことではありません。(結果として、そうなることも多いですが。)誰とでも楽しく話す能力は、話術として別のものです。
コミュニケーションは、相手があって成り立ちます。相手には、「苦手なタイプ」「嫌な人」もいます。そんな相手でも、「話を聞き」、「伝えるべきことを伝え」、「やって欲しいことをやってもらう」ことが、優れたコミュニケーションです。コミュニケーションを「楽しい」「不快」といった感情ではなく、「伝える」「行動させる」と言った目的で捉えることが大切です。
有効なコミュニケーションを行う3つのポイントをご紹介します。
1)感情で話をしない
2)感情的にならないためには、物事を「一切快苦」(いっさいかいく)で捉える
3)相手を無視しないで対話する
会社や役所といった組織は、目的集団です。感情的に受け入れ難い人がいたとしても、共通の目的・目標があれば、コミュニケーションができます。上司が部下にどんな感情をもっていようと、部下が上司をどう思っていようと、上司が命令すれば、部下は行動せざるを得ません。最低限のコミュニケーションは、取れるということです。
ところが、近所付き合い(町内会)や学校となると、必ずしも目的や目標を共有しているわけでもなく、感情で会話をしてコミュニケーションが崩壊することも有ります。
この記事は、感情的にコミュニケーションをすることのデメリットと感情的にならないヒントをご紹介します。
なお、内容については、大本山須磨寺寺務長小池陽人氏の加古川市での講演(2024年11月9日)を参考にしています。

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しんどい心の処方箋

感情で話をしない

コミュニケーションとしての会話を、感情ベースでするとろくなことがありません。以下にいくつかの例を挙げます。
① 誤解や衝突が生じやすい
感情が出ると、相手に意図が正確に伝わらず、誤解が生じやすくなります。例えば、怒りや苛立ちを感じているときは、つい攻撃的な表現や否定的な発言をしてしまいがちです。
② 論理的な議論が難しくなる
感情が優先されると、話の内容よりも感情が表に出て、論理的な思考や議論が難しくなります。論点がずれたり、相手の主張が冷静に受け入れられなくなったりと冷静な判断が難しくなります。
③ 話がエスカレートしやすい
感情的なコミュニケーションでは、一方が感情をぶつけると、それに反応して相手も感情的になり、次第にお互いに感情が高ぶってしまい、人間関係まで損なうことになります。また、聞き手が疲れてしまうこともあります。
コミュニケーションとしての会話は、あくまで「聞く」「伝える」「行動させる」といった目的を達成する手段として捉えることが重要です。

感情的にならないためには、物事を「一切快苦」で捉える

「好き」「嫌い」といった感情を表に出して、会話してろくなことがないのは、感情そのものが、不安定であるということと関係しています。感情には、3つの法則があります。
1)感情は、エスカレートする
「嫌(いや)」「嫌い」などと思い、それを考え続けると、益々「嫌」になり、「嫌い」になります。そして、四六時中考え続けることになってしまいます。
2)感情は、思い続けないと長続きしない
「嫌」「嫌い」と思い続けなければ、そのうちに忘れます。「時間が解決する」と言うパターンです。
3)感情は、身体を動かすと薄くなる
嫌な気持ちのとき、掃除や運動など身体を動かすと気持ちが楽になります。
つまり、感情はあてにならないということです。では、どうすればいいのか。そのヒントになる話を聞いたのでご紹介します。
それは、神戸市にある大本山須磨寺(すまでら)寺務長の小池陽人(ようにん)氏の講演で聴いた、「一切皆苦」(いっさいかいく)と言う言葉です。仏教用語である「一切皆苦」という言葉は、この世のすべてのことは、苦しみや困難ばかりという教えです。この世の物事すべては、「思い通りにならない」と言う意味です。そして、苦しみを避けることなく、すべてを「受け入れる」姿勢を持つことの重要性を説いています。
小池氏は、僧になるため1年間醍醐寺にて修業をしたとのこと。修行中、「便利」と言われるようなものは何一つ使えず、娯楽なし、食事も肉類無し、酒・甘いもの無しという生活です。修行に行く前、僧である叔父からは、
「とにかく、帰ってこい」
と言われたとのこと。どういう意味か分からなかったそうですが、修行に身を投じると、「何か学ぶ」なんてものではなく、とにかく修行の厳しさに「耐える」ことで精一杯だったといいます。小池氏は、自分から望んで修行に行ったのではなく、寺を継ぐために強制的に行かされた身です。始めは不満などの感情がったのでしょうが、とにかく朝から晩まで手足を使い続けると感情の入る余地がなくなっていったそうです。修行中、すべての便利さ、娯楽、美味しいものと離れると、差し入れの黒糖一つを口に入れただけで
「この世にこんなにうまいものがあったのか」
と感激したと言います。
小池氏は、その中で「一切皆苦」の意味が分かったと言います。
人は「便利なもの」、「思い通りになること」に慣れてしまうと、それを失うと不幸な気持ちになるというのです。そんなものはじめからない、楽しいことなどない、思い通りのことなどない、つまり「一切皆苦」と思えば、物事に対して不快な感情などなくなるというのです。
「話にくい」「苦手」といったことは、全て感情の問題です。世の中は、「一切皆苦」と思うことで、うつろい易い感情が支配する心から抜け出ることができます。

相手を無視しないで対話する

「嫌な人とは付き合うな」
とういうのは、賢明な方法です。それが出来れば、いいのですが、家族から抜けることはできません。隣に住む人が嫌でも簡単には引っ越しできません。部下は、上司を選べません。相手を無視することからは、コミュニケーションが生まれることはありません。
これも、小池氏の話からですが、「嫌な思いをさせる人」の嫌な態度、言葉といったものの裏には、その人をそうさせる背景があるといいます。相手を論破するのではなく、対話することで、相手の思っていること、背景を理解することができます。
例えば、パワハラともいえるような高圧的な態度をとる上司も、案外何かのコンプレックスがあってそんな態度を見せているのかも知れません。いじめっ子もいじめる理由や背景があるはずです。時間をかけ、じっくりそれらを探っていくことが大切です。

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まとめ

有効なコミュニケーションを行う3つのポイントがあります。
1)感情で話をしない
2)感情的にならないためには、物事を「一切快苦」(いっさいかいく)で捉える
3)相手を無視しないで対話する
会話において、感情が表にでるとうまくいきません。感情を押さえるには、物事を「一切皆苦」と考え、何事も「思い通りにならない」現実をまず受け入れることが重要です。

参考記事:リーダーが、若い部下とのコミュニケーションで気を付けたい3つのポイント

「コミュニケーション能力」を、受け答えパターンを身に着けること向上させるには

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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