「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

研修成果に大きな差が出る「当事者意識」の有無とリーダーの役目

 
部下と上司のイラスト
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

研修成果に大きな差が出る「当事者意識」の有無とリーダーの役目

 

部下に「当事者意識」を持たせるための3つのポイント

多くの企業では、人材育成のために様々な研修に社員を参加させています。しかし、研修に参加して成長する人もいれば、思うような成果が得られない人がいます。
中小企業の経営者を対象としたセミナーに、自分の意思で参加したのにも関わらず、「為になった」と感じる人もいれば、そうでない人もいます。
これら、研修の成果に違いが出る1つの理由が、「当事者意識」の有無によるものです。
研修の内容を始めから「自分とは関係のない」と思うような「当事者意識のない人」は、研修内容と自分の行動との接点が生まれません。
私は、社員教育の講師として、材料工学とマネジメント研修を若手の社員を中心として行っています。もともと研修生としてくる社員が、本人の意思とは関係なく会社のプログラムである「○○年目研修」「主査研修」として参加させられているため、はじめは「義務として研修に参加している」と感じている人ばかりです。ところが、研修が進むにつれ、当事者意識を持っている参加者とそうでない参加者とは、内容に対する反応が全く違ってきます。当事者意識の強い研修生は、自分との繋がりをもった質問をします。研修の最後に、理解度テストをするのですが、大きな差がでます。当事者意識を持って参加する人とそうでない人により、研修の成果に大きな差がでることを毎回実感しています。
そもそも「当事者意識」とは、ある出来事や状況に対して、自分自身が直接的な関係者や責任者であると感じる意識や態度のことを指します。(実用日本語辞典より)この意識を持つことにより、個人はその出来事や状況に積極的に関与し、問題解決や改善に向けて行動する動機を持つようになります。
一般的に、当事者意識を持つことで、以下のような効果があります。
1)責任感が強まる
自分が関与していると感じることで、責任を持って行動しようとする意識が強まります。
2)積極的な行動をする
問題や課題に対して主体的に関与し、解決策を見つけるための努力を惜しまない態度がでます。
3)共感できる
他の関係者の立場や感情を理解しようとする姿勢が生まれ、協力的な行動が促されます。

当事者意識を持つことは、職場やコミュニティ、家庭など様々な場面で重要です。そんな、当事者意識を持てるかどうかは、本人次第ということもありますが、それだけではありません。組織において、リーダーと役目として、部下の当事者意識を高めることも可能です。
以下に部下の当事者意識を高めるポイントを3つ紹介します。
1)明確な目標設定
2)役割と責任の明確化
3)信頼と委任
部下に当事者意識がないのは本人の問題ではなく、上司であるリーダーが部下に当事者意識を持たせるような言動をしていないと考えるべきです。
「部下に当事者意識がない」
と嘆く前に、当事者意識を持たせるための言動をすることがリーダーの役目だと心得ることです。

 

明確な目標設定

部下に当事者意識を持たせるには、具体的で達成可能な目標を設定し、その目標に向かって進む道筋を明確に示すことが重要です。
冒頭の例に挙げた研修では、上司から「何を勉強するか」「研修で解決する課題」などを明確に指示された研修生は、意識が違います。最悪なのが、
「3年目社員の義務だから、とにかく研修を受けてこい」
などと上司から言われてきたような研修生です。とにかく研修時間を進めることだけが目的のようになり、研修生にとっても講師にとっても不幸な結果となります。
リーダーが与える目標から自分に対する目標を作ることで、研修やセミナーの内容に対する当事者意識が生まれます。研修内容と自分との関係を意識し、目標達成のための「ヒント」を探しながら研修を受けるといった態度に変わります。
普段の生活や職場において、目標に向かっての当事者意識があると、街でみかけたことや人との会話、読書や様々なパンフレットから、「目標達成のためのヒント」が入ってくるようになることが期待できます。

役割と責任の明確化

リーダーが、各メンバーの役割と責任を明確にし、自分がどのように組織に貢献できるかを理解させることで、部下の当事者意識が高まります。

当事者意識がない部下は、ある事象に対して、自分が関与すべき責任があることを認識していません。あるいは、そもそも関心を持っていません。
大きな会社では、会社の目標に対して、自分がどんな役目や責任があるのかが分かりにくいものです。
例えば、工場で勤務していると自部署のコストや収益は気にしても、全社の収益を実感することが難しいものです。自部署が赤字でも、全社で黒字なら「まあ、いいか」という気持ちになってしまうことも起きます。ましてや間接部門では、収益に関して、当事者意識を持つことは難しいかも知れません。
リーダーとして大切なのは、会社としての目標に対して自部署、各個人の役割と責任を結びつけ、これを組織として共有することが大切です。

信頼と委任

部下に対して信頼を示し、重要な仕事を任せることで当事者意識や責任感が増します。部下は、
「リーダーに信頼されている」
「リーダーから期待されている」
との気持ちがあると、行動が変わります。
当事者意識とは、自分から行動する気持ちがあるということです。このためには、行動するときに自信が必要であり、リーダーに信頼されているという裏付けが必要です。「信頼されている」と感じるのは、権限や仕事を委任されているからです。
ただし、当事者意識が過剰になると、部下は過度な責任感やプレッシャーを感じることになります。また、すぐに結果を出せなければと焦ったり、自分の経験や状況に固執過ぎて視野が狭くなったりすること起きるので要注意です。

広告

まとめ

一般的に、当事者意識を持つことは、
1)責任感が強まる、2)積極的な行動をする、3)共感できる、
といったメリットがあります。
当事者意識は、リーダーの働きかけで高めることができます。部下の当事者意識を高める3つのポイントがあります。
1)明確な目標設定
2)役割と責任の明確化
3)信頼と委任
自分の部下に対して、
「当事者意識がない」
と嘆く前に、当事者意識を持たせるための働きかけをすることがリーダーの役目です。

参考記事:リーダーが、部下に「当事者意識を持たせる」ための3つのポイント

「忖度」(そんたく)という日本的な習慣の持つ3つの危険性

 

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2024 All Rights Reserved.