「マナー」と「マンネリ」を理解する上での3つのポイント
「マナー」と「マンネリ」を理解する上での3つのポイント
「マナー」と「マンネリ」を理解する上での3つのポイント
マナーと聞くと、「面倒」とか「複雑」といった印象がある方もいらっしゃるとおもいます。しかし、マナーを知っていると仕事や生活において、どう準備し、どう行動するかといった「やり方」を悩まずに済みます。例えば、公式のお客様を迎えるとき、どの位置の席に座ってもらうとか、どんな順で挨拶をしていただくとかを悩まずともマナーに従えばスムースに進みます。
マナーは、法律のようなルールではなく、必ず守らなくてはならないものではありません。マナーは、特定の社会や文化における適切な行動や振る舞いの規範を指しています。これらの規範は、一般的に礼儀正しい振る舞いや他者への配慮、社会的な秩序の維持などを含みます。マナーは、社会的な場面で円滑なコミュニケーションや関係構築に役立ちます。
ところが、マナーも形式的になり、意味もなく厳格化すると「マンネリ」(マンネリズム)という状態に陥ります。マンネリは、ある状況や行動が常に同じようになり、予測可能であり興味を引かない状態を指します。マンネリは、新鮮さや創造性の欠如を意味し、特に芸術や文化の領域で否定的な意味で使われること多いようです。例えば、同じようなジョークを繰り返したり、同じような行動パターンを続けたりすることがマンネリです。
マナーとマンネリを理解する上で、3つのポイントがあります。
1)マナーと危機管理
2)プロトコール(公式儀礼)の5つの原則
3)マンネリとマナー
これらで、マナーとマンネリについて、その有効性や注意点を理解することができます。
日本の伝統や芸術は、その形式を長年保ってきたことで、世界から支持されています。言い替えると「マナーを守ってきた」とも言えます。しかし、詳しく調べてみると創成期から全く変わっていないという伝統や芸術はありません。意外なほど変化しています。例えば、浮世絵は、江戸時代の中ごろから、西洋の遠近法や青色の顔料がといり入れられています。今の和食も江戸時代になって天ぷらや寿司が登場し、明治以降西洋料理の要素が入りこんでいます。今あるマナーは、変化することで、マンネリにならずに残ってきたということを知っておくことが大切です。
この記事では、マナーとマンネリについてご紹介します。なお、記事の内容は、経営士で石井@教育研究所所長の石井サト子氏の講演(2024年3月)内容を基に作成しています。
マナーと危機管理
マナーは、「おもてなし」や「ふるまい」の規範といった印象が強くあります。しかし、マナーの発生は、直接的というわけではありませんが、危機管理の考え方から派生したといわれており、一部のマナーは危機管理の観点からつくられています。例えば、「握手」や「頭を下げる」マナーは、「不戦」の意思を示していると言われています。
マナーは、社会における適切な行動やコミュニケーションの規範を示す役目を持っており、社会的な秩序や円滑な関係を維持するために重要です。危機に直面したときのマナーの例として、非常時に他の人々への配慮や協力が挙げられます。災害時には他の人々との間でパニックを避けるために、静かに行動し、自己中心的な行動を避けることが重要であり、互いに助け合うことが必要です。そのため、危機管理の観点から、他の人々への思いやりや支援の提供がマナーの一部となっています。危機に直面したとき、個々の行動が全体の安全や秩序に影響を与える可能性が高いため、マナーが特に重要とされています。
マナーは、危機管理の観点が発展して、「相手に不快な思いをさせない」、「相手に迷惑をかけない」、「好感を持っていただく」という基本が生まれたということもできます。
プロトコールの5つの原則
私的な場面での礼儀を「マナー」と呼ぶのに対して、主に国の間の公式儀礼を「プロトコール」と呼びます。プロトコールは、主に国際的行事を企画、実施する主催者側が示す公のルールという面があり、正式な国際交流の基本原則となっています。また、プロトコールは、ビジネスや個人間の交流を円滑に進める上においても、役に立つもので知っておくべきものです。
プロトコールは、特別に堅苦しいものではなく、その基本は個人の場合と同様、相手に不快な思いをさせない、相手に迷惑をかけない、好感を持っていただくということです。これらのルールは、時代や国・民族によって細かい違いがありますが、最低限度かつ共通の約束ごとは、頭に入れておくと便利です。国家間の儀礼上のルールであり,外交を推進するための潤滑油の役目をしています。
プロトコールには、以下の5つを原則があります。
1)序列に対する配慮(Rank conscious)
公式行事や式典での席次も序列を重んじて決める。
2)右上位(Right the first)
主催者(主賓)の右側を上席とする。(かつて日本では、左が上位とされていましたが、明治以降、右上位になっています。)
3)答礼/相互主義(Reciprocation)
招待されたら同様に接待をお返しする。
4)地域慣習/異文化尊重 (Local customs respected)
互いの地域の習慣や文化を尊重する。
5)レディ・ファースト (Lady first)
イスラム圏や儒教文化が残る国では、少し違いますが、基本は女性優先です。
マナーとマンネリ
「マナー」の語源は、ラテン語の「手」という意味を持つ「マヌス(manus)」です。手は食事の際に使いますが、その手が相手に不快感を与えないための気配りや作法から、広く一般的な「マナー」という言葉の語源になったと言われています。(諸説ありますが。)
一方、「マンネリ」とは、マンネリズム(Mannerism)の略です。マンネリズム(Mannerism)は、マナー(Manner)から変化したもので、ism(主義)を加えることで、「強い意志のある考え」つまり「変わらないこと」を表現するようになりました。しかし、現在では「一定の技法や形式を惰性的に反復慣用し、固定した型にはまって独創性と新鮮さを失うようになる傾向」という意味で使われています。(広辞苑より)今、「マンネリ」は、俗にいう「ワンパターン」という意味になってマイナスイメージが強い言葉です。惰性的な反復、思考をしてしまう結果、独創性や新鮮さを失い、そこに発展性や成長性を感じられなくなっています。
人や組織が、「マンネリ」に陥る大きな要因の一つに、手段の目的化があります。手段であるはずの手法(技法や形式)が唯一のものと思い込まれ、いつのまにか目的化していきます。それを避けるには、例えば、
1)新しいことに挑戦する
2)ルーチンを変更する
3)興味を持つことを探す
4)目標を持つ/変更する
といったことがあります。
まとめ
マナーとマンネリを理解する上で、3つのポイントがあります。
1)マナーと危機管理
2)プロトコール(公式儀礼)の5つの原則
3)マンネリとマナー
これらで、マナーとマンネリについて、その有効性や注意点を理解することができます。