「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

企業が持続し儲けるための基本構造と3階層の「経営戦略」とは

 
戦略を考える人
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

企業が持続し儲けるための基本構造と3階層の「経営戦略」とは

 

3階層の「経営戦略」とは

世の中で、「戦略」という言葉が良く使われます。
「政府○○戦略会議」
「企業戦略」
「生き残り戦略」等々
「戦略」を課題の後に付けておけば、抜本的で高尚な対策を立てたようなイメージがあり多用されていると勘繰りたくなります。
もともと「戦略」とは、戦争に勝つための総合的で長期的な計略です。これを会社などの組織運営にあてはめ、「将来を見通しての方策」という意味で使われています。
ビジネスにおける戦略とは、将来を見通した競合との戦い方(作戦)です。ただし、「なんのために戦うか」「どんな姿が、勝利なのか」といったことを持っていないと、一貫性が保てず長期戦を戦える作戦になりません。つまり企業理念が、経営戦略の基に必要です。
企業には、経営戦略を含む「事業を持続させるための基本構造」があります。上位から並べると以下のようになります。
1)経営理念
経営理念は、会社の未来像であるビジョン(Visionと使命・役割であるミッション(Missionからなります。
2)経営戦略
3)ビジネスモデル(儲けの仕組み)
経営理念は、経営者(法人)の意思であり、ありたい姿を表したものです。その下の「戦略」は企業理念を具現化するための方針であり、ビジネスモデルは事業を継続する仕組み(儲ける仕組み)です。
実際に企業が儲け、事業を継続させるには、持続可能なビジネスモデルが必要です。そんなビジネスモデルを構築するには、経営理念のもとで経営戦略が必要ということです。なぜなら、企業にとって使える資源(ヒト、モノ、カネ、情報等)は、有限だからです。その有限な資源を企業理念に基づき、何に使うか、どう配分するかなどの作戦こそが経営戦略です。
ところで、経営戦略には、3つの階層があります。
1)全社戦略(企業戦略)
2)事業戦略
3)機能戦略
これを図にすると以下のようなります。

経営戦略の3階層

Three layers of corporate strategy
企業の経営で重要なのは、この3つの戦略の整合性を取ることです。様々な場面で使われる「○○戦略」は、全社戦略、事業戦略、機能戦略のうち、どの階層に相当するのかを見極めないと、混乱を生むことになります。

広告

ゼロからわかる! 経営戦略見るだけノート

全社戦略

全社戦略(企業戦略)とは、「どの事業に注力するか」「どういった成長を目指すか」など、会社全体の方向性を定める中長期的な方針です。
どの事業領域(事業ドメイン)で戦い、何を競争力の源泉とし、どのような事業の組み合わせ、どのように経営資源を各事業に配分するかといったことです。
規模を拡大するために、事業を増やす「多角化戦略」や「M&A戦略」、日本の少子化を念頭に置いた「グローバル戦略」なども全社戦略に当たります。

事業戦略

事業戦略とは、全社戦略を各事業レベルで実現するためのものです。個別の事業分野において、他社との競争に勝ち抜くための方針です。
全社戦略では複数の事業を対象とするため、事業ごとに競合企業や顧客が異なる場合があります。これに対して、事業戦略では個別の事業分野を扱います。特定市場における企業間の競争を詳細に分析し、その分析結果をもとに、より具体的な方針を策定します。
「差別化戦略」は、競合他社との違いや優位性が明確なモノやサービスを特定の市場に投入し、高いシェアを獲得するものです。明確な差別化ポイントがアピールできなければ、類似したモノやサービスとの価格競争に巻き込まれます。「ブランド戦略」は、差別化の一つの方法です。会社名は知られていなくても、商品のブランド名が広く知られているケースもあります。例えば米国人で、アキュラやレクサスを会社名と思っている人が多くいます。
他に、「コストリーダーシップ戦略」と言われる 他社が実現困難な低コストを強みにシェアの拡大を図る戦略もあります。ただ単純に価格を下げるだけではなく、「戦略」として成立するためには、継続できる仕組みが必要です。バリュー・チェーンの見直しや経済規模、経験曲線などによって、製造・販売に関連したコストを大幅に圧縮することで初めて実現できることです。

機能別戦略

機能別戦略とは、事業戦略を実現させるための施策を機能別に落とし込み、各機能の視点から戦略をつくります。具体的には、財務戦略、人事戦略、生産戦略、開発戦略、販売戦略、情報戦略、物流戦略などが挙げられます。
機能別戦略作成には、正確な現状分析がもとになります。経営の分析方法には、ファイブフォース分析、PEST分析、SWOT分析等々があります。また、作成者に専門分野の知識・経験があれば、スムーズな作成が期待できます。このレベルの戦略では、機能毎にそれを得意とするコンサルタントが活躍しています。「ITコンサル」「人事コンサル」といった人(会社)です。
全社戦略は、各企業自身で考え作成するしかありません。著名な経営コンサルと言われる人も、「何がやりたいか」といった全体戦略に口を挟むことはできません。事業戦略や機能別戦略なら、自社の持つコアのアイデアとコンサルなど外部の知識・経験とを合わせ、より優れたものが作成できることが期待できます。

広告

まとめ

経営戦略とは、将来を見通した競合との戦い方(作戦)です。
経営戦略には、3つの階層があります。
1)全社戦略(企業戦略)
2)事業戦略
3)機能戦略
企業の経営で重要なのは、この3つの戦略の整合性を取ることです。

参考記事:「ニッチ戦略」と「差別化戦略」を混同するな!「ニッチ戦略」は、どの会社も持っている!

中小企業で「経営戦略論」を使う前に必要な経営者の心得

最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2023 All Rights Reserved.