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「ドンマイ」と言いながら、部下のミスや失敗を冷静に見ているリーダー

2023/12/07
 
部下と話をする上司のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「ドンマイ」と言いながら、部下のミスや失敗を冷静に見ているリーダー

 

ミスや失敗が起きた時、リーダー(上司)が考えていること

仕事やスポーツで失敗やミスをしたとき、リーダー(上司)は、
「ドンマイ」
「次は、頑張れ!」
などと励ましの言葉をかけます。しかし、リーダーは、ミスした人に次のチャンスを与えることもありますが、仕事や試合から外さなくてはならないこともあります。
例えば、野球でエラーや凡打が続く準レギュラークラスの選手を「使い続けるか」「試合から外すか」といったことを監督は常に考えています。同様に職場で仕事上の失敗に対して、リーダーはリカバリーする方法を考えると同時に、失敗した部下の能力評価をしています。口頭では、
「ドンマイ」
と言ってチーム員を励ましていても、その社員の能力に見切りをつけて「担当から外すか」、「再挑戦させるか」を考えているかも知れません。リーダーは、励ましながら心の中では「奴では、やっぱりダメか」などと思っている可能性もあります。
チーム員がミスや失敗をした時、リーダー(上司)は、3つのことを考える必要があります。
1)失敗の事後処理
2)メンバーの能力評価と対応
3)リーダーとしての振り返りと成長
リーダーの役目は、チームとしての成果を上げ続けることです。チームとして失敗があっても、これらのことを考慮することで、チームのパフォーマンスを高め、メンバーのモチベーションを高く維持することで、チームが継続的に成果を上げるようになることが期待されます。

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失敗の事後処理

チーム内でミスなどが原因で失敗事象が発生したとき、リーダーは、その事象に対する処理をする必要があります。失敗の原因を突き止め、対策を立て、実行することが基本ですが、気を付けるべきことがあります。
1)メンバーに対して理解を示しサポートする
 リーダーは最初に、メンバーに対して理解とサポートの意思を示すことです。過度な非難や批判ではなく、むしろ失敗を受け入れ、その状況をどう改善できるかに焦点を当てます。とりあえず、
「ドンマイ」
というのは、この段階です。リーダーが事実を率直に受け入れてくれる姿勢を示すことで、メンバーから正しい状況報告を受けることができます。
2)失敗事象の終了確認
リーダーが、社員からミスや失敗したとの報告を受けたとき、その事象が終了しているのか、まだ継続しているのかを見極める必要があります。
例えば、リーダーがチーム員から、
「宛名間違いで、発注者ではない客様に商品を送ってしまいました。お客様から連絡を受けて、謝罪の上、正しい宛先に再送しました。」
と報告を受けたとします。その時、
「他に発送間違いはないか?」
「お客様は、納得されているか?」
といった確認が、リーダーには必要です。当事者は、「終わった」と思っていても、一連の事象が継続していることがあります。自分のミスなどが原因で、トラブルが発生した場合などでは、当事者は事を小さく、速く収めようという気が働きますので、リーダーは注意する必要があります。
3)改善策の共有とチームとしての学び
 リーダーは、失敗の原因を探り、改善策をチームとして共有することが大切です。改善策をチームとして共有することで、同じ失敗が繰り返さないように努めます。失敗は個々のメンバーだけでなく、チーム全体が学び成長する機会でもあります。リーダーは失敗をチーム全体の学びと位置づけ、次の挑戦に備えます。

メンバーの能力評価と対策

チームメンバーがミスや失敗をしたときリーダーが、その人の能力を評価し対応策をとることは、次に挑戦(業務)をする上で大切なことです。
例えば、ミスや失敗の原因に対して、担当メンバーの能力を比較します。
「対策があれば、担当を変えずに乗り切れるか?」
「他の人ならミスや失敗を起こさなかったのか?」
といったことです。ここで重要なのは、ミスや失敗をしたメンバーに担当の職責を果たす潜在的な能力(ポテンシャル)があるかどうかの見極めです。ミスや失敗の対策を行っても、それを実行する能力がなければ、同じことが起きます。
人が原因のミスや失敗に対して、リーダーができることは、以下のようなことです。
1)担当メンバーの教育訓練により能力を上げる。
2)担当者の能力の範囲で、ミスや失敗の再発防止策を実施する。
3)担当メンバーに職責を果たす能力がなければ、担当者を代える。
4)誰も出来ない仕事は、止めるもしくは回避する。
ミスや失敗をしたメンバーに対して、叱咤激励して本人の能力を上げることを期待し、再発防止を図ろうとするタイプのリーダーがいます。しかし、個人の能力向上には時間がかかります。また、人には限界があります。「誰にも出来ない仕事」を要求しているかも知れません。
例えば、書類作成時の「入力ミスゼロ」、「転記ミスゼロ」などです。ミスを容認して、ミス発生の対策をあらかじめ作るか、人の介入をなくしてしまうとの発想が、リーダーには必要です。

リーダーとしての振り返りと成長

個人的な失敗でも、チームとしての失敗でも、その原因には階層構造があります。
原因の階層構造とは、ベースのチーム員個人の判断ミスや行動ミスなどがあり、その上に組織、顧客、市場、社会などの問題要素が重なっています。
例えば、少年が犯罪を起こしたとき、その直接原因は本人であっても、その上に親、学校、社会など階層ごとの問題や原因が積み重なっています。犯罪の原因を「少年の行為」だけで説明はできません。上層の「貧困」や「家庭環境の悪さ」だけを原因としても説明できません。様々な階層に起因する要素に対して、対策を打たないと犯罪は減りません。
メンバーがミスや失敗をしたとき、
「リーダーである自分に、何ができたか?」
を考えることが重要です。リーダーとして、原因の階層毎に、
「社会状況の変化に気付かなかったか?」
「組織に問題があることに気付いたが放置したのでは?」
「リーダーの指示(作戦)が不適切だったのでは?」
「メンバーの技量不足を感じていて手を打ったか?」
等々、「リーダーとしての出来ることがなかったか?」と振り返ることが大切です。チームの失敗は、担当した当事者や組織の問題に原因や責任を求めがちです。
しかし、チームのミスや失敗の責任は、リーダーが取らねばなりません。リーダーが、会社からチームで起きた失敗の責任を厳しく問われるか問われないかは別にして、リーダーがチームの失敗を受け入れ、リーダー個人として「やれることがあったかどうか」を考えることは、とても大切です。なぜなら、それがリーダー自身の成長に繋がり、次のマネジメントに活かせるからです。

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まとめ

チーム員がミスや失敗をした時、リーダー(上司)は、3つのことを考える必要があります。
1)失敗の事後処理
2)メンバーの能力評価と対応
3)リーダーとしての振り返りと成長
リーダーの役目は、チームとしての成果を上げ続けることです。チームとして失敗があっても、これらのことを考慮して、チームが継続的に成果を上げることが期待されます。そして、重要なことは、チーム員もリーダーも失敗を通して成長し続けることです。

参考記事:部下を励ますときの3つのポイントは、「タイミング」「共感」「ものは考えよう」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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