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採用面接で応募者の深層心理を探る「ラダリング法」を使った質問応答

 
ラダリング法で質問する人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

採用面接で応募者の深層心理を探る「ラダリング法」を使った質問応答

 

「ラダリング法」というインタビュー法とは

「どうして当社を志望したのは、技術や事業内容が好きだからということですね」
「その技術や事業内容が、なぜ好きなのですか?」
採用面接で、面接官が応募者に対してこんな質問をすることがあります。これは、採用する側が、学生の世界観や価値観を知ろうという質問です。応募者の行動や発言から、その人の持つ価値観や深層心理を探るためです。これは、「ラダリング法」といわれるインタビューの手法です。(面接官は、そんな手法を使っていると意識していないかも知れませんが。)
このラダリング法(Laddering Technique)は、広告やマーケティングの分野におけるユーザーへのインタビュー法として知られています。
例えば、ラダリング法によるインタビュー調査では、ブランドやモノ、サービスが持つ属性が、ユーザーにとってどのような価値を持ち、どう評価されて購入に繋がったのかを知ることで、相手の潜在的な価値観を明らかにすることができます。
具体的には、調査対象者に、ブランドやモノ、サービスに関して
「なぜ、この商品を購入しましたか?」
「この商品は、あなたにとってどのような価値がありますか?」
といった質問を、はしご(ladder/ラダー)を上っていくように繰り返し行うことで、ユーザーの深層心理に迫ります。
この「ラダリング法」によるインタビューを採用活動に応用することで、応募者の価値観などを知ることができます。「ラダリング法」を面接の質問応答に使うには、いくつかのポイントがあり、以下の順でご紹介します。
1)ラダリング法を使った採用面接のメリット
2)ラダリング法の注意点
3)ラダーアップとラダーダウンの質問
ラダリング法は、オープンエンドの質問が繰り返されます。質問者と回答者が、会話を継続することで相互理解を深め、互いに価値観や人間性をより深く知ることができます。

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ラダリング法を使った採用面接のメリット

ラダリング法を採用面接で使うことで、応募者の本音を引き出し、企業と個人の相互理解を深めることが期待できます。そのメリットは、以下のようなものです。
1)応募者の志向性の理解
 ラダリング法を使った質問と応答で、応募者の志向や価値観を明らかにすることができます。たとえが、応募者が仕事を通してどんな「やりがい」を求めているか。企業が提供する環境や福利厚生が、応募者の期待にどのように応えているかを知ることができます。
2)企業の魅力の明確化
ラダリング法を用いることで、企業の強みや魅力を再認識することができます。採用担当者は、
「なぜ、この企業を選んだのか?」
といった質問を通じて応募者の深層心理に迫り、その情報をもとに企業の強みをより具体的に把握できます。
3)チームワークと文化の理解
ラダリング法は、応募者が仕事の中でどのように協力し、どうチームワークを築くことがきるかを知る手がかりになります。応募者の経験や価値観と、企業文化との適合性を評価できます。
4)職場環境への適応性の把握
ラダリング法を使用すると、新しい環境や変化に対する応募者の適応力を評価できます。適応性が高い個人は、新しい状況に柔軟かつ前向きに対応できる可能性があり、採用担当者はこれを把握することができます。
5)組織と個人の価値観の一致
ラダリング法は、企業の価値観と応募者の価値観が一致するかどうかを評価できます。採用プロセスの中で、応募者がどのように自身の価値観を大切にしているかを明らかにし、それが企業の価値観と調和しているかを確認できます。

ラダリング法の注意点

ラダリング法による面接にはいくつかの注意点があり、以下にご紹介します。
1)オープンエンドの質問をする
ラダリング法では、オープンエンドの質問が使用されます。これは、簡単に「はい」または「いいえ」で答えられないような質問です。 質問は階層的に構築され、面接相手が始めの回答を基に、詳細な情報を引き出していきます。これにより、深い洞察を得ることが可能です。
2)「なぜ」「どうして」質問
ラダリング法では、「なぜ」「どうして」といった質問が重要です。相手が感じたり考えたりする背後にある理由や動機を明らかにすることが目的だからです。応募者が、自分の体験の中で、なぜ特定の行動や選択をしたのか、その背後にある深層心理や価値観を明らかにすることができます。
3)質問者は、中立を保つ
質問者は中立で客観的な立場を維持する必要があります。相手の意見や感想に影響を与えないようにします。面接官は、オープンマインドで応募者の話を聴き、予断を持たずに新しい情報を受け入れる態度を持つことです。
4)面接官は、事前に準備やトレーニングをする
質問者は、事前に準備やトレーニングを受けておくことが必要です。質問の仕方や内容を理解しておく必要があります。質問は具体的で明確であり、相手に深い洞察を提供するように組みたてる必要があります。

ラダーアップとラダーダウンの質問

ラダリング法(Laddering technique)は、質問者と相手との対話を通じて深い理解を得る手法です。ラダリング法には、「ラダーアップ」と「ラダーダウン」と呼ばれる2つのアプローチ方法があります。この二つの手法を使い分けたり、併用したりして相手の深層心理に迫ることができます。
1)ラダーアップ(Upward Laddering
Q
:「当社を志望した理由は?」
 A:「高い技術力があるからです。」
Q:「なぜ、高い技術力に魅力を感じるのですか?」
 A:「自分も世界で通用する技術に関わりたいからです。」
「子供の頃から難しいパズルやゲームが好きですし、得意でしたから」
といったようにラダーアップでは、始めに事実や行動に焦点をあて、次にそれがどんな意味をもつのかといった抽象面や相手に深層心理に係る質問に拡張していきます。
このアプローチは、 対象者の個人的な価値観や意見、感情にアクセスすることを目的とします。
2)ラダーダウン(Downward Laddering
Q
:「大学の部活でどんなことをしましたか?」
 A:「サッカー部のキャプテンでした。」
Q:「キャプテンとして、どのようなことをしましたか。」
 A:「練習や対外試合の見直しをしました。」
Q:「具体的にどんなことをしたのですか?」
 A:「対外試合を増やし、より多くの部員が試合に出られるようにしました。」
Q
:「それで、どんな結果が得られましたか?」
 A:「これまで、知らなかったサブの選手の特徴を掴めました」
「どんな選手でも、必ずいい面があると信じています。」
こんな感じのラダーダウンでは、相手の具体的な行動や事実を問い、それがなぜ重要なのか、どのような価値観や信念に基づいているのかを尋ねていきます。
このアプローチは、相手の具体的行動や事実を問うことで、どのような価値観や信念に基づいて行動しているのかを探ることができます。

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まとめ

ラダリング法(Laddering Technique)は、広告やマーケティングの分野におけるユーザーへのインタビュー手法として知られています。この「ラダリング法」は、採用面接においても使うことができます。
ラダリング法は、オープンエンドの質問を繰り返すことで、質問者と回答者とが会話を継続します。これにより、質問者と回答者が相互理解を深め、互いの価値観や人間性をより深く知ることが期待できます。

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