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商品が「高くても売れる」ブランドの確立に必要なブランディング

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

商品が「高くても売れる」ブランドの確立に必要なブランディング

 

商品が「高くても売れる」ブランドの確立に必要なブランディング

「いい商品があるけど、利益がでない」
「すばらしいサービスと称賛されるが、儲からない」
そんな企業が、日本中に溢れています。簡単に言えば、提供するモノやサービスの価格が安過ぎるからです。
モノやサービスの価格を上げると「お客様が逃げていく」「他社の商品に取って代わられる」ことを恐れて、低価格を維持し続けているのが実態です。
日本企業は、製造業を中心に「良いもの安く」をスローガンに努力し続けてきました。ところが、製品のコモディティ化、デジタル化などが進み、デザインや性能に差がなくなり、安さだけを競う過当競争の世界に陥っています。
これから逃れるには、「高くても売れるもの」への転換が必要です。その切り札が、ブランドです。イタリアやフランスのバッグや香水、ドイツの高級車などは、高い価格でも売れています。スターバックスのコーヒーやプレミアルビールは割高ですが、人気商品です。これらには、ブランドとしての価値があり高価格でも売れます。
そのブランドとしての価値を付ける活動が「ブランディング」です。ブランディングは、単なる宣伝・広告といった活動とは、少し異なります。
「マーケティングは、どう売るか」
「ブランディングは、どう見られるか
ということを考え活動することです。更に言えば、マーケティングがモノやサービスといった商品を売ることを目的とした活動に対して、ブランディングは商品や会社の良いイメージを広げることです。
ブランディングにより、ブランドを確立することで企業にメリットが生まれます。
この記事では、
1)ブランド力があることで得られる優位性
2)商品ブランドと企業ブランド
3)ブランドに必要な3つの要素
を紹介し、商品が「高くても売れる」ブランドの確立に必要なブランディングについて考えます。

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ブランド力があることで得られる優位性

企業が、ブランドを確立し維持することで競争優位性が生まれ、長期的な成功を支える鍵となります。企業にブランド力があることで得られる優位性を以下に示します。
1)顧客の信頼性
強力なブランドは、お客様に信頼と安心感を提供します。お客様の高い信頼により、常に自社のブランド商品を選び続けてもらえます。
2)価格競争からの脱却
優れたブランドは、価格競争に巻き込まれる可能性が高まります。お客様は、ブランドに満足し、プレミアム価格を支払うことを嫌がりません。場合によっては、「値引きしないこと」がブランドの価値となります。これにより、企業は収益性を向上させ、価格競争から脱却し、持続可能なビジネスモデルを構築できます。
3)差別化
ブランドは、競合他社との差別化のポイントになります。お客様は、ブランドをモノやサービスの品質や価値と結びつけて選択します。ブランドは、特徴的なデザイン、技術、価値提案、または独自の体験を通してモノやサービスを差別化します。
4)新規参入の障壁
優れたブランドは、新規競合者にとって市場に参入する際の障壁となります。既存のブランドは市場における認知度と信頼性を持っており、新規参入者はこれらを築くのに時間と多くの経営資源を投入する必要があります。
5)イノベーションと成長の促進
強力なブランドを持つ企業は、お客様の信頼を背景に新製品や新サービスを出し易くなります。その結果、イノベーションと成長を推進します。アップルやグーグルが、次々と新商品を出せるのは、そのブランドに信頼があるからです。

商品ブランドと企業ブランド

ブランドに、商品ブランド企業ブランドとがあります。
例えば、GMにはシボレー、キャディラック、ビューイックといった商品ブランドがあります。トヨタには、レクサスがあります。商品ブランドは、レクサスのように意図的につくったものもあれば、GMの各ブランドのようにそれぞれの企業が合併したことで、企業ブランドが商品ブランドに変化したものもあります。
商品ブランドは、発売された当初は、単なる「商品名」です。その後、お客様が商品を使用し機能やサービスを経験する中で、その商品に対するイメージや評価が蓄積されブランドが確立されます。
企業ブランドは、商品を提供する会社としての信頼やイメージで形成され確立します。企業ブランドの確立には、その企業が提供しているモノやサービスについて、一貫したイメージの蓄積が必要です。企業ブランドが確立すると、商品がコモディ化して機能では差別化できなくても、SONYやパナソニックという企業ブランドで差別化することができます。

株価で企業ブランド力がわかる

商品のブランド力は、カテゴリー別のシェアやお客様評価などから判断できます。
企業ブランド力も企業別のシェアなどで分かりますが、企業間取引をメインで行っているような企業では、分かりにくいものです。(そもそもブランディングなどに興味がない企業が多いものですが。)そこで、PBRという指標が参考になります。
PBRとは、金融用語で「Price Book-value Ratio」の略称です。日本語では、「株価純資産倍率」と訳されています。PBRは、株価を一株当たりの純資産で割ることで得られます。株取引の世界では、PBRによって、株価が適正か、割高か割安かといった目安として利用されています。
このPBRについて、別の見方をすることができます。株価に発行株式数を掛けると、企業の「時価総額」となります。つまりPBRは、会社の時価総額に対する純資産を比べていることになります。PBRが1.0を超えているということは、世間は、その会社を純資産より高く評価していることになります。時価総額と純資産の差は、無形資産であり、これを「ブランド価値」言い換えることもできます。
PBRが1.0以下の日本企業は沢山あります。市場では、「割安株」と言われていますが、「ブランド力のない会社」ということです。米国のアマゾン、アップルなどのイノベーション企業は、総じて高いPBRを示しています。米国では、金融商品として株式投資の比率が高いという事情はあるとしても、その企業のブランド力を示す、一つの指標と考えることが出来るかも知れません。

 

ブランドに必要な3つの要素

ブランド力には、3つの要素があり、これが揃うことで強いブランドが出来ます。
1)特定のカテゴリーで際立っている
「高級○○市場で、売上No.1」「地域No.1」「子供向け○○市場でNo.1」といったように、特定のカテゴリーで際立っていることが、ブランドとしての強さになります。
「元祖○○」「業界初」といったファーストブランドは、継続した強さを発揮します。
2)モノやサービスに拘りがある
自社のモノやサービスを提供するにあたり、その企業の拘りが顧客に伝わり理解されることが、ブランド力になります。モノであれば、その機能やデザイン、サービスの質の良さに拘って提供されていることが大切です。
また、「販売個数に上限のある商品」「値引きをしない商品」「その日仕込んだ食材が切れると閉店する料理屋」など、顧客にちょっと不親切に思えることでも、
「儲けより、モノやサービスの質の維持に拘っている」
ことが、顧客に理解されれば、これもブランドとしての強さになります。
3)顧客のマインドシェアが高い
ブランドとして、重要なのが「顧客のマインドシェア」です。実際の販売や生産シェアではなく顧客心理の中でのシェアが重要です。
「餃子といえば、○○県」
「○○温泉といえば、ホテルA
といったように、顧客に最初に浮かぶブランドになることが重要です。実際の販売や生産シェアは、年によって変化し必ずしも常に1位というわけでなくても、顧客心理としては、常にシェア1位を維持し続けることが必要です。商品や企業のイメージをPRし続けることが、マインドシェア獲得には有効です。

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まとめ

商品が「高くても売れる」ためには、商品ブランドや企業ブランドを確立することが重要です。このブランド確立の活動がブランディングです。
ブランディングとマーケティングには、違います。それは、
「マーケティングは、どう売るか」
「ブランディングは、どう見られるか
ということです。マーケティングが商品を売ることを目的とした活動に対して、ブランディングは商品や会社の良いイメージを広げることが目的です。
ブランディングにより、ブランドを確立することで企業には、商品が高く売れるだけでなく、様々なメリットが生まれます。

参考記事:企業の「差別化戦略」は、「伝説」を作れるかどうかで決まる!

最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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