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会社において「集団浅慮」に陥る原因と逃れるための3つのポイント

 
集団浅慮のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

会社において「集団浅慮」に陥る原因と逃れるための3つのポイント

 

会社において「集団浅慮」に陥る原因と逃れるための3つのポイント

「開発、生産、販売部門から人を集めてプロジェクトを作り、開発した商品が不発」
「『こんなことでいいのか』と内心思いながら、『イジメ』に加わる生徒」
いずれも、後になれば誰しも、「売れる商品ではなかった」、「典型的なイジメをしてしまった」と分かるようなことです。ところが、その時は、集団のメンバーの誰しもが「違和感」を感じていながら、集団として平気で「間違った」結論を出し、行動をしてしまっています。
このような人が集団として、不合理で危険な意思決定することを「集団思考」と呼びます。特に、そのデメリットを強調して、「集団浅慮」とも言われます。
「集団浅慮」は、集団の意思決定時に、会社や学校、時には国家として起きます。昭和16年夏、専門家を集めて日米開戦を検討したにも関わらず、12月には太平洋戦争に突入しています。検討時において「米国に到底かなわない」と誰しもが、分かっていながらの開戦でした。典型的な「集団浅慮」が起きていました。
「集団浅慮」は、日本特有の「空気」と言われる同調圧力が大きく関与しているようですが、多くの研究報告によれば、国に関係なく海外の事例も多く紹介されています。例えば、1961年のキューバ侵攻作戦の失敗(「ピッグス湾事件」)などです。
「集団浅慮」に陥るのは、その集団に背景となる環境があります。
1)集団凝集性が高く閉鎖的
集団凝集性とは、集団に対する帰属意識が高い性質のことです。帰属意識が高い状態では、集団のルールや考え方が偏っていても、その集団のメンバーは気づきにくくなっています。また、物事を客観的に判断したり、さまざまな角度から見直したりすることができなくなり易くなっていきます。
2)リーダーや専門家など特定の人の影響
集団として、リーダーや特定の専門家を意識して、他のメンバーが意見を出しにくい状況で集団浅慮が起き易くなります。
3)集団が過度のストレスにさらされている
トラブル対処を時間内に終えなければならない、ノルマを達成しなければならいといったような集団が過度のストレスにさらされていると、行動を起こすことや結論を出すこと自体が目的になり、内容をしっかり検討できにくい状況になり、集団浅慮が生じ易くなります。
また、明確なストレスではなくても、「空気」と言われるような、同調圧力が働くと「集団浅慮」が起きます。
「集団浅慮」を避けるには、3つのポイントがあります。
1)意見の多様性を重視する
2)集団の意思決定に「違和感」を感じたら、それを口にする
3)リーダーが「決めつけ、思い込みを排除する」との姿勢を出す
これらを考慮して、「集団浅慮」のリスクを下げることが大切です。
この記事では、企業で起きる「集団浅慮」について考えます。


猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第8巻 日本人はなぜ戦争をしたか 昭和16年夏の敗戦

意見の多様性を重視する

集団の中で、様々な案が検討され、最適な結論が生まれるのですが、集団浅慮の状況に陥ると多様性が失われます。多様性が失われると以下のようなことが起きます。
1)検討する案が、早々に1つに絞られ、代替え案を吟味しなくなる。
2)情報が偏っていたり、情報に対する判断に偏っていたりしても気づかない。
3)そもそも目的や目標が適切かどうかの議論がなされない。
このような状況に気付いたら要注意です。意識して多様性を失わないようにすることです。
冒頭に挙げた私自身が関わった「開発プロジェクト」の例では、プロジェクトに様々な部署の人が参画していました。ところが、
「既存製品の性能を大幅にアップする」
という発想から抜け出せず、全く異なる競争相手の異なる素材を使用した製品に敗れさりました。後になってみれば、「競合が異なる素材を使っている」、「ユーザーが、性能重視から価格重視に変わってきている」との情報はあったのですが、集団として無視した形になっていました。

 

集団の意思決定に「違和感」を感じたら、それを口にする

集団浅慮に陥ったとき、集団の意思決定に「違和感」を感じるものです。
「これでいいのか?」
「こんなに簡単にいくのか?」
といった疑問が浮かぶようなら要注意です。そんなとき、それを口にし、それまでの切り口と異なる議論を投げかけることをお勧めします。
1)選択した案の危険性(リスク)を検討する。
2)一旦否定された案の再検討をする。
3)非常事態に対応する計画を策定する。
これらの異なる視点からの検討をすることで、集団浅慮の呪縛から逃れることができる可能性が高まります。

リーダーが「決めつけ、思い込みを排除する」との姿勢を出す

集団には、リーダーが存在します。たとえ、
「皆の意見に従う」
などと発言しても、無言の圧力がかかります。これを防ぐには、リーダー自身が、その立場を強く表明することです。具体的には、
「意思決定をするにあたり、一切の決めつけ、思い込みを排除する」
という姿勢を示すことです。
プロジェクトなどでは、職位が上位というリーダーの他に、コンサルタントや専門家と言われる人がメンバーとなることがあります。これらの人達も他のメンバーに対して、圧力を与えてしまいます。特に社長や会社幹部の肝いりで招いたコンサルタントや専門家の場合、その傾向が強まりますので、事前に「決めつけ、思い込みの排除」を宣言しておくことが必要です。

まとめ

人が集団として、不合理で危険な意思決定することを「集団浅慮」と呼びます。
「集団浅慮」を避けるには、3つのポイントがあります。
1)意見の多様性を重視する。
2)集団の意思決定に「違和感」を感じたら、それを口にする。
3)リーダーが「決めつけ、思い込みを排除する」との姿勢を出す。
これらを考慮して、「集団浅慮」のリスクを下げることが大切です。

参考記事:「決められない」非効率な会議の原因は、日本人の「話し合い絶対主義」の影響

挑戦せずに「何もしない方が得」なのは、日本の制度や暗黙のルールのせい

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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