「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

リーダーシップ能力の他に必要な日本の「出来る上司」の能力とは?

 
出来る上司のイラスト
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

リーダーシップ能力の他に必要な日本の「出来る上司」の能力とは?

 

日本で「出来る上司」になるには、「グレーゾーン」と「空気」を制御する能力がいる

「『出来る上司』とは、どんな人か。」
「『出来る上司』になるためには、どうすればいいのか」
こんな疑問を持つ上昇志向の方や、運悪く「出来る上司」と真逆の上司の下にいる方に、「出来る上司」とは、どんな人かをご紹介します。
ちなみに今流行のChatGPTで「出来る上司の特徴」と質問すると
1)コミュニケーション能力が高い
2)リーダーシップ力がある
3)詳細を把握している
4)部下を信頼している
5)妥協しない
という5点が出てきました。面白いのは、これらは全て上司の視点であることです。ChatGPTは、英語圏情報をベースとしたAIです。「出来る上司」とは、リーダーとしての能力があることを意味しているようです。
一方、日本で「出来る上司」をネットで調べてみると、
1)部下に慕われ尊敬されている
2)様々な立場から物事を考えることができる
3)人の動かし方を知っている
4)自己をコントロールすることができる
といったように、まず「部下からみた上司」ということが出てきます。
(出典:Life&Mind「できる上司とは?4つの特徴と今すぐやるべき5つのこと」
日本と米国など海外で会社勤務をして感じるのは、日本と欧米では、「出来る上司」の条件が、すこし違うということです。
日本で、「出来る上司」になるには、ChatGPTが示すように上司として、リーダーシップやコミュニケーション能力は必要ですが、それに加えて「部下からの信頼」など人間関係を構築する能力が必要です。もしも、日本で、
「あの人は、なんでも自分の手柄にしてしまう」
「あの人は、困ったときに助けてくれない」
こんな上司がいたら、部下の信頼を得られず「出来る上司」と、言われることはないでしょう。ところが、米国の上司は、
「俺のやったことは、これだけ」
「部下に指示したが、できなかった」
「部下に指示して、できなかったので、俺が助けてやった」
とハッキリと言います。(自分の米国での経験ではありますが。)これに対して、部下も「そんなもんだ」と思っているようです。むしろ、上司に対して、
「彼(彼女)は、適切な指示をしたか」
を問題にします。
日本において、「出来る上司」と言われる条件には、以下のことがあります。
1)リーダーとしての能力があること
2)規制のグレーソーンをうまく使えること
3)「空気」を作れること
つまり、日本で「出来る上司」になるには、「グレーゾーン」と「空気」を制御する能力が必要ということです。
この背景には、山本七平氏が提唱した「日本教」と言われる、日本の共同体化した組織内のルールが関係しています。
この記事は、小室直樹/山本七平著「新装版 日本教の社会学」(ビジネス社)と日米での会社勤務経験から書いています。


新装版 日本教の社会学

リーダーとしての能力があること

「出来る上司」として必須の条件がリーダーシップです。これは、万国共通で、様々な場面で語られています。
リーダーシップのベースには、
1)知識や経験
2)コミュニケーション能力
3)強い意志
4)部下から信頼されている
等々があります。
詳細は、ネット記事や本に沢山ありますので、ここでは省略します。

 

規則のグレーゾーンをうまく使えること

「部下から信頼される」
「部下に尊敬される」
といったことは、リーダーシップ能力の一部ではありますが、これら部下からの好感情を得るポイントがあります。それが、
「規則のグレーゾーンをうまく使える」
という能力です。
例えば、部下が経理に出す書類の期限に間に合わなくても、
「次は気をつけろ」
と言って受理してくれる。どうしたものかと悩んでいた飲食費を交際費扱いにしてくれる。それでいて、経理などから指摘されたら、見事な理屈で言い訳してくれる。そう、時代劇に出てくる大岡越守忠相みたいな人が、「出来る上司」です。
そんな上司は、部下に信頼されますし、その後出世する「出来る上司」に違いありません。このとき大切なのは、「堂々と屁理屈が言えること」です。一休さんのトンチのように、
「このはし、わたるべからず」
の看板を見て、堂々と真中をわたる理屈です。
「部下が、規定には、こう書いてあるのですが」
と言ってきたら、堂々と屁理屈で部下の希望を通してやる度量が期待されます。「言い逃れできる程度に規則を破る」能力が、「出来る上司」の条件です。言い換えると
「上司の持つ裁量権を最大限活用できること」
が「出来る上司」です。
「やんちゃだけど、憎めない」こそが、「出来る上司」の条件です。
なお、「談合ギリギリ」「下請法違反ギリギリ」のつもりが、本当に「談合」や「下請法違反」に問われようでは、「出来る上司」とは言えないことは、言うまでもないことです。

「空気」を作れること

日本の会社などの組織には、「空気」があります。皆と違ったことをしたくない、同じことをしたいという心理学でいう「同調圧力」と言われるものがベースになっています。この「空気」を作り、コントロールができる人が、「出来る上司」です。
会社の役員を決めるにあたって、ある会社の会長は、
「A氏の後任の役員は、○○氏がいい」
とは言いません。もう社長を退いた会長として、現社長を差し置いて新役員を指名できません。ところが、
「役員は、50代前半に代替わりすべきだ。」
「役員は、現場を知っていることが大事だ。」
などと、前提条件を盛んに発言します。すると、やがて「新役員は、こんな風な人」という「空気」が生まれ、結局会長の意中の人が新役員になっていました。
また、かつて私の上司だった部長は、自分と異なる判断をすると、否定せずに
「この件、君はよ~く考えて決めるんだろうな」
ときます。「よーく考えたんだろうな」が、否定の意味だとわからない部下がいたとしたら、「空気」読めないということで、脱落していきます。部長の考えと一致した判断をすると
「良く考えてくれた。さすが、△△君だ」
という反応があります。このようにして、この部長は、「空気」をつくり、「空気」をコントロールして部署の成績を上げ、自らも出世しました。
良い、悪いは別として、これが伝統的日本企業の「出来る上司」の姿です。

まとめ

日本において、「出来る上司」と言われる条件には、以下のことがあります。
1)リーダーとしての能力があること
2)規制のグレーソーンをうまく使えること
3)「空気」を作れること
つまり、日本で「出来る上司」になるには、「グレーゾーン」と「空気」を制御する能力が必要ということです。

参考記事:「理想の上司」とは、「部下を成長させ幸福にしてくれる人」のこと

「仕事が出来る人」に共通する特徴「行動の速さ」は、仮説思考から生まれる

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2023 All Rights Reserved.