「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

面談や会話を通して、部下を育成するためにする質問のコツ

 
上司と部下の会話のイラスト
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

面談や会話を通して、部下を育成するためにする質問のコツ

 

「部下の力を引き出す」ためにする質問のコツ

新年度になると上司と部下の面談が行われます。面談の目的は
「前年度の評価と新年度の目標設定」
といったことでしょうか。しかし、同時に面談は、
「部下の意見を聴く」
「部下を育成する」
といった目的もあります。ただし、面談が年に1、2度だけでは、「部下の意見を聴くこと」も、「部下の育成」においても不十分です。必要なのは、頻繁な会話です。
「部下を成長させるため」といって、
「ああやれ、こうやれ」
と一方的に指示しても部下は消化しきれなかったり、考えることをやめるようになってしまったりとなります。むしろ、部下に質問をして気付かせる方が効果的です。部下は、仕事の実務を担っています。最も仕事の実態を知っています。上司が質問することで、部下は自分の仕事の課題に気付いたり、課題解決のアイデアが浮かんだりします。一方的に指導するより、質問の形にして、自分で気づき考える方が、本人の力になります。「部下の育成」と言っても、実際は「部下の力を引き出す」と考える方が適切です。
「部下の力を引き出す」ためにする質問には、コツがあります。
1)質問の目的を明確にする
2)相手の為に質問する
3)良く聴く
4)盛り上がりを見逃さない
定型業務を処理するスキルを身に着けるには、理屈を知り上司のマネをし、繰り返し同じことをすることです。ところが、問題解決能力は、簡単に身に付きません。問題には答えが複数あり、しかも完璧な答えがないものばかり。これをさばくことができる人材に育てるには、会話を通しての「気付く力」や「考える力」などを引き出すことが重要です。


革新的な会社の質問力

質問の目的を明確にする

部下に対して目的を伝えず、頻繁に質問をしていると、
「ウザい」
と言う感情が生まれます。
「今度、顧客と商談があるのだが、この件について、意見を聞きかせてくれない」
「納期が心配なので、進捗がどうなっているかを教えてほしい」
と言った風に質問の目的を明確に伝えることです。重要な点は、質問の答えを聞いて、上司が行動をとってくれそうだと思えることです。
「いくら意見を言ったところで、どうせ取り上げてくれない」
と思われるのが、一番怖いところ。進捗の遅れを話せば、遅れ解消のヒントがもらえるかも知れないと思うなら部下は、
「ウザい」
とは思いません。

相手の為に質問する

「これで、間に合うのか?」
「どうしてこうなるんだ!」
これらは、質問ではなく、命令や詰問です。部下を脅し、服従させるだけの言葉です。部下からは、言い訳や反発が出てくるだけです。
質問が、部下の為になっていることが重要です。
例えば、部下がやっていること、やろうとしていることを質問し、その答えを評価してあげることです。良ければ、
「いいね」
と褒めます。間違っていれば、修正や補足を一緒に考える姿勢が大切です。また、直接答えを教えず、ヒントを入れた質問をする手法があります。
私が勤務していた会社に、部下の指導がとても上手な人がいました。ある時、彼は部下のA君に仕事の進捗状況を聞いてこんな質問をしました。
「君のやっていることは、固定的な仕事と変動的な仕事を分ようとしているのだね?」
後で聞いた話では、聞かれたA君は、固定的仕事と変動的仕事なんて、全く考えておらず、分離するといった発想はなかったそうです。ところが、「固定と変動」という言葉にA君は衝撃を受けました。A君は、上司の質問から人員配置の問題解決に「固定と変動」が使えることに気付き、うまく問題を解決する方法を見いだしました。会社で使う費用には、固定費と変動費があることは、入社の時から学んで知っていたとのこと。しかし、他でも使えるとは思ってもみなかったとのことでした。上司から問題解決のヒントを質問の形で教えてもらい、「世界が変わった」と言います。その後、様々な場面で「固定と変動」を考えることで、問題の解決策が見えてくることがあるようです。

良く聴く

部下と対話するとき、会話の大半(8割以上)は部下に話をして欲しいところです。
「会話は、まず聞くこと」
とよく言われます。ところが、実際に会話を始めると、発言が止まらなくなる上司が意外に多いものです。部下の意見を聞くことが目的でも、自分の持論と異なることや、不満を部下が話し出すと話が止まらなくなる上司がいます。
1)部下の話を終わりまで聴く
2)相手の答えがすぐに出なくても、辛抱強く待つ
この2点を注意することです。
最近、Zoomを使った面談をしたことがありました。記録のために録画していました。(録画は、他にパワハラの疑いを避ける意味もありました。)後で再生してみてわかったのは、注意していたにも関わらず上司が一方的に話していたことです。質問した後、相手から答えが出ず、沈黙に耐えかねて回答例を一方的にしゃべっている上司が録画されていました。面談(会議)を録画(録音)すると客観的に出席者の会話状況を知ることができます。「話しの比率」の他にも、「相手を見ていない」「声が聞き取れない」「表情が暗い」などに気付くことが沢山あるものです。

盛り上がりを見逃さない

部下と会話をしているとき、部下が身を乗り出してくる瞬間があります。自信があるとき、その話に興味があるとき、その話が部下の得意とすることなどが出ると急に部下の顔色が変わることがあります。「盛り上がりポイント」とでも言ったところです。
部下の「盛り上がりポイント」を見逃さず、その話題に会話を集中させ、発展させることです。
「盛り上がりポイント」から、部下のやりたいこと、得意なことがみつかり、実際のプロジェクトなどに発展する可能性があります。また、何より部下の興味や関心のあること得意なことを知ることで、信頼関係が築けます。

まとめ

部下の育成には、一方的な指導より上司から質問することで、「部下の力を引き出す」ことが有効です。
「部下の力を引き出す」ためにする質問には、コツがあります。
1)質問の目的を明確にする
2)相手の為に質問する
3)良く聴く
4)盛り上がりを見逃さない
会社の問題には答えが複数あり、しかも完璧な答えがないものばかりです。これをさばくことができる人材に育てるには、会話を通しての「気付く力」や「考える力」などを引き出すことが重要です。
参考記事:リーダーが、若い部下とのコミュニケーションで気を付けたい3つのポイント

成功する人が持っている「才能や知性」(IQ)より大切な「GRIT」とは?

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2023 All Rights Reserved.