渋沢栄一が教える「起業を成功させる4条件」は、今でも参考になる!
渋沢栄一が教える「起業を成功させる4条件」は、今でも参考になる!
渋沢栄一が教える「起業を成功させる4条件」
「起業したい!」
「新規事業を立ち上げて成功させたい!」
そんな希望を持っている人、そんな立場にいる人にとって手本となる人がいます。
それが、渋沢栄一です。彼は、明治から大正にかけて、現在にまで続く500社以上の企業や団体を創立し、「日本資本主義の父」と言われています。彼は、自分の経験を基に多くの言葉を残していますが、その中に「起業を成功させるための4条件」というのがあります。100年前の言葉ではありますが、読み直すと今でも通用することばかり、起業しようという人、新規事業を立ち上げようとする人にとって大いに参考になります。
渋沢栄一の教える「起業を成功させる4条件」とは、以下のものです。
1)事業が成り立つか探求する。
2)個人を利すると同時に国家・社会を利する事業である。
3)その事業が時機に適している。
4)事業が成り立った時点で、適切な経営者がいる。
(出典:渋沢栄一著 竹内均解説 「渋沢栄一 君は、何のために『働く』のか」⦅三笠書房⦆を要約)
これらは、今でも起業や新規事業の立ち上げの教訓となるものです。
渋沢栄一 君は、何のために「働く」のか―――絶対に後悔しない働き方、幸せになる働き方 (三笠書房 電子書籍)
事業が成り立つか探求する
今風に言えば、「ビジネスプランを固める」ということです。渋沢は、「長期的に見て、その事業が成り立つか」を検討しろと言っています。十分な勝算もなく、
「うまく行くだろう」
「需要があるだろう」
という「だろう勘定」を強く戒めています。企業家にとって第一に心すべきは、「数字の概念」とまで言っています。つまり、ビジネスプランを検証するのに、数字を使ってのシミュレーションが大切であるということです。
現代の教科書では、何(What)を、誰に(To whom)、いつ(When)、どのように(How)、いくらで(How much)で売るかを明確にすることが、ビジネスプランのベースであり、そこに行動計画が伴ってビジネスプランとなるとしています。渋沢は、基本要素を使って、ビジネスのシミュレーションをしろという意味のことを言っています。
個人を利すると同時に国家社会を利する事業である
渋沢は、
「その事業が、個人を利すると同時に国家・社会をも利するかどうかを問え」
と言っています。渋沢と同時代の実業家もこのことを口にしているが、自分の利益ばかりを追求する輩がいると嘆いています。
自分の利益ばかりに着目していると、一時的には隆昌を極めても、いずれ社会の信用を失い悲運に陥るときがくると言っています。「ブラック企業」という言葉がありますが、今は渋沢の生きた時代以上にSNS等で会社の評判が速く広がります。逆に
「社会の役に立つことをしている」
との評価があれば、広く人々から支援をもらえる時代です。慈善団体や地域活性化団体がクラウドファンディングであっという間に資金を集めた話が沢山あります。
その事業が時機に適している
いくらビジネスプランがしっかりしていて、公私にとって利益がある事業でも、
「時機に適さないものであれば、成功の見込みはない」
と渋沢は言います。時期の良し悪しを十分に見抜いてから起業や投資はすべきと言っています。
渋沢は、日露戦争時の好景気に起業し、その後の不景気で失敗した会社を例に挙げています。最近では、新型コロナの流行やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー高などが、時代の潮流としてあります。株式投資の世界では、市場全体が上げ相場、下げ相場に逆らった投資をして利益を上げることは、至難の業と言われます。
私には、1990年代不況にあえぐ米国で工場建設のプロジェクトに参加した経験があります。建設期間の3年間、不況の中で、計画中止もしくは延期が何度も検討されました。それでも、不景気が終わるのを期待して建設を続行。不況のお陰で、建設の人手を集めやすく工期が短くなり、資材の値下がりもあって建設費が計画を下まわりました。そして、工場が稼働を始めるのと時を同じくして景気が回復。製品が苦も無く売れ、事業としてうまくいきました。「不況の時に投資をして、好況の時に回収する」ことができた例です。
事業が成り立った時点で、適切な経営者がいる
渋沢は、起業を成功させるには、起業を立ちあげたのちの経営が大事ということを言っています。これは、起業時に見落としがちな大切なポイントです。
起業する人は、自分のアイデアにある意味「酔って」いて、事業を立ち上げようとがむしゃらに努力します。「企業家」とは、そんな人達のことです。ところが、事業が立ち上がった後、経営がうまくいかず倒産する例が、枚挙に暇がありません。
2022年版 中小企業白書から計算すると起業後3年目までに半数近くの会社が倒産していることがわかります。これは、全業種の平均であり、飲食業やベンチャー系では、この数字はもっと低いものになります。
渋沢は、
「社会の諸事業は、何はさておき人物次第」
と言っています。事業成功には、様々な人材が必要だということです。起業するタイプの人と会社経営をするタイプの人とは、すこし違います。素晴らしい発明やアイデアをもって起業しても、経営の段階でつまずいた例は沢山あります。
勿論起業する才能も経営の才能も持っている人もいます。起業する人が、自分を冷静に見て経営の能力があるかを見極めておくことが大切です。
まとめ
渋沢栄一の教える「起業を成功させる4条件」とは、以下のこと。
1)事業が成り立つか探求する。
2)個人を利すると同時に国家・社会を利する事業である。
3)その事業が時機に適している。
4)事業が成り立った時点で、適切な経営者がいる。
これらは、今でも起業や新規事業の立ち上げの教訓となるものです。