「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

セールスに使える物語のテンプレート、「ヒーローズジャーニー」(英雄の旅)とは

 
英雄の旅のイラスト
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

セールスに使える物語のテンプレート、「ヒーローズジャーニー」(英雄の旅)とは

 

モノやサービスを売るには、「物語」が必要

「ビデオカメラで、お子様の運動会での活躍が残せます。」
「凍えるような冬の朝、この1台で台所のお母さんの足元が温まります。」
こんなセリフで、ジャパネットたかたの元社長高田明氏は、通販で成功しました。高田氏は、商品そのものの性能や価格を前面に出さず、お客様が主人公の「物語」を伝えたところが凄いところです。高田氏の「物語」にお客様が共感することで、商品が売れました。
モノやサービスなどを買うのは、お客様が「自分の物語」をつくるからです。「自分が幸せになる物語」に必要な商品だから買うのです。
例えば、「だらけた生活」をしていた主人公であるお客様が、スポーツジムに出会い、試練を乗り越えて、引き締まった体になって「モテるようになる物語」を心に抱ければ、ジムに通う気になります。
こんなセールスで重要な役目を果たす「物語」の筋書きには、法則があります。それが、ヒーローズジャーニー(英雄の旅)です。
ヒーローズジャーニーが教えてくれる物語の基本的構成要素は4つです。
1)主人公が、
2)宝物を得るために、
3)様々な試練に打ち勝つことで、
4)幸せになる。
これを、先ほどのスポーツジムに当てはめれば、
1)太ったお客様が、
2)引き締まった体を得るために
3)スポーツジムでトレーニングの苦しさに打ち勝ち
4)体だけでない幸せを得る
といった物語になります。こんな物語をお客様がつくることができれば、ジムの会員になってもらえます。もし、ジムで「トレーニングが長続きしない」「怪我で体を痛める」など会費がムダになるような物語をお客様がいだけば、会員になってもらうのは無理でしょう。
モノやサービスのセールスを買ってもらうための「物語」をつくる3つのコツがあります。
1)ヒーローズジャーニーの要素に従う
2)主人公が必ず幸せになる話にする
3)商品は「メンター」との出会いと心得る
売る側が、お客様の気持ちになり提供するモノやサービスに出会って幸せになる「物語」がつくってみましょう。そして、その「物語」をお客様に示し、共感してもらえれば購入が期待できます。


世界のトップデザインスクールが教える デザイン思考の授業

 

ヒーローズジャーニーとは

ヒーローズジャーニー(英雄の旅)の提唱者は、神話研究者のジョーゼフ・キャンベル。彼は、世界中の神話を調べて、英雄たちの冒険譚に共通する型を見つけました。そして1949年に著書「千の顔を持つ英雄」で、その型をヒーローズジャーニーと呼びました。ヒーローズジャーニーは、神話のストーリー展開を12ステップで一般化したものです。その後、クリストファー・ボグラーにより、その著書『神話の法則』でヒーローズジャーニーは整備され、映画の脚本や小説のテンプレートになっています。「スターウォーズ」「マトリックス」「ロードオブザリング」は、典型的なヒーローズジャーニーと言われています。
冒頭、物語の基本要素は4つと書きましたが、もう少し詳しく8つのステップで、トレーニングジム売り込みの例で考えてみます。(キャンベルの分類によれば、12のステップですが、小説でもないので。)
1)日常の世界
主人公(お客様)は、日常どんな生活をし、どんな課題が存在するか。(太っていて、不健康、モテない)
2)冒険への誘い
現状のぬるま湯の世界をきっかけになる出来事。(健康診断でメタボを指摘された)
3)迷いと葛藤
冒険(ダイエット)にでることで得られるものと、失うもの(お金、時間)との葛藤
4)メンターとの出会い
思いもしない支援者の現れ。(会員制のスポーツジムと好感の持てるインストラクター)
5)試練
宝もの(健康な体)を得るために越えなければならないハードル(筋肉痛、仕事との両立)
6)報酬
試練を越えて得られた報酬(健康な体)
7)帰還
冒険を経て、現実の世界に戻ってきて気づいた多くの学び(怠惰な生活からメリハリのある日常生活)
8)宝物を手にする
結果的に大成功した姿(健康な体と異性からモテる自分)


千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

主人公が必ず幸せになる物語をつくる

ヒーローズジャーニーは、必ずハッピーエンドです。セールスで、お客様に提供するモノやサービスの価値は、「幸せ」を届けることです。悲劇で終わらせることはできません。
たとえ、不安を煽って商品を売る保険であっても、物語はハッピーエンドです。保険という商品に出会い、事故や病気といった試練に出会っても、それを乗り越えていく物語があるから売れます。「保険があっても、所詮『焼石に水』」といった物語では、売れません。

神話の法則 夢を語る技術

商品は「メンター」との出会い

これまでの例で説明したように、セールスする商品(モノやサービス)は、物語に出てくるメンターです。「思いもしない支援者」といったところです。新鮮さやワクワク感がなければ、メンターではありません。必ずしも商品ではなく、文字通り支援者の時もあります。
スポーツジムがあることは、皆知っています。ところが、本当のきっかけになるのは、友人がスポーツジムに通っていて誘われるとか、YouTubeで見た好感の持てるインストラクターがいるといったことです。
セールスにおいて、モノやサービスをお客様に初めて紹介するとき、「思いもしない支援者」としての役目を演出することです。

まとめ

セールスで重要なのは、お客様へ商品の性能や価格より、お客様が主人公の「物語」を伝えること。
お客様にとって魅力的な物語をつくるのに、ヒーローズジャーニーでというテンプレートがある。ヒーローズジャーニー(英雄の旅)とは、世界の神話に共通する型から見いだしたステップ。基本構成は、
1)主人公が、
2)宝物を得るために、
3)様々な試練に打ち勝つことで、
4)幸せになる。
これに沿って、売りたいモノやサービスの「物語」をつくり、お客様に提示することでセールスの成功が期待されます。

参考記事:「売れない」「お客が来ない」と嘆く前に、潜在顧客を掘り起こせ!

最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2023 All Rights Reserved.