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クレームにリピーター増など、ビジネスで使える「ピーク・エンドの法則」

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

クレームにリピーター増など、ビジネスで使える「ピーク・エンドの法則」

 

ビジネスで使える「ピーク・エンドの法則」とは

「タイタニック」
「猿の惑星」
だいぶ前に公開された映画のタイトルです。観た人にどんな映画だったかを聞けば、途中の話は忘れていて、「主人公が舳先に立つシーン」「自分の到着した惑星が地球だったと分かるラストシーン」の話をすることになるでしょう。卒業して何年もたった同窓会で、思い出の話となると日々の学校生活ではなく、文化祭や体育祭、就学旅行、人によっては初デート、卒業の日などが出てきます。つまり、最も印象に残ったことや最後のことが、強く記憶として残ります。これらには、「ピーク・エンドの法則」と言われる心理が働いています。
ピーク・エンドの法則(peak–end rule)とは、
「自分自身の過去のことを「そのピーク(絶頂)時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)ならびにそれがどう終わったかだけで判定する」
という法則です。ピーク以外のことを忘れているわけではないのですが、記憶として弱くなっているということです。
この法則の事例としてテーマパークのアトラクションがよく出されます。乗る前に長い時間待たされたことよりも、乗り物に乗った時の興奮が強く記憶に残ります。「楽しかった」「興奮した」という印象が残り、「長い待ち時間」を忘れ、「また乗りたい」という気持ちにさせます。
このピーク・エンドの法則は、ビジネスに利用することが出来ます。
1)コンテンツの作成とPR
2)リピーターを増やす
3)クレームの対応
などです。様々なビジネスシーンにおいて、ピークとエンドを意識して、お客様に接することが大切です。


よくわかる行動経済学

コンテンツの作成とPR

映画(動画)や小説などのコンテンツを売る商売では、ピーク・エンドの法則に沿った作品にすることが必須条件です。ただし、いくらピークやエンドに大きな盛り上がりがあっても、そのピークやエンドに至る前に、視聴者や読者が作品から離脱したら終わりです。
映画やドラマ、小説の予告宣伝では、ピークやエンドを「少しだけ見せる」工夫がされています。例えば、
「久ぶりに集まった高校の男女同級生。そこには、驚くべき冒険が待っていた・・・」
なんて事前に宣伝がある映画なら、退屈なシーンが続く作品でも、「驚くべき冒険」を期待して待ちます。
映画や小説に限らず、ビジネスにおけるプレゼン、講演でも、
「本日は、皆さんにとってとてもお得になる内容を入れていますので・・・」
と前ぶりされれば、「お得な内容」まで聞こうという気にしてくれます。
ただし、ピークやエンドで、どれだけ受け手に印象付けできるかは、内容次第であることをお忘れなく。

リピーターを増やす

人の心理として、とても欲しかったものでも一旦手に入ると「飽きる」という現象が起きます。買った時の喜びが、次第に薄れていくのです。
例えば、とても欲しかったブランド物のバックを買ったばかり時は、嬉しくていつも持ち歩いていたのに、そのうちに使わなくなり、忘れられるといったようなことです。
つまり、1回だけの買い物になりかねません。
ところが、これを「パリまでいって買った」とか、「好きな人と一緒に選んだ」とかの体験を伴うと、バッグへの思いが長続きすることになります。ことによったら、その思いからまた購入すること可能性もあります。
お客さまに続けて買ってもらうリピーターになってもらうには、モノやサービス単体ではなく、「体験」を伴って買ってもらうことが有効です。「パリまで行って買った」とか「好きな人と一緒に選んだ」は、偶然に近いものですが、意図的に「体験」を創り出して、リピーターを増やすことも行われます。
例えば、製作過程を見せたり、お客様オリジナルのデザインや色の注文を受けたりなどの「体験」を前面に出して、モノを記憶に変換し、かつ最高の印象(ピーク)とすることで、いつまでも「飽きさせない」工夫がされています。
また、飲食店では、ピークである料理をおいしく味わってもらう時と、エンドであるお客様が店を出るときの印象が重要です。お客様がリピーターになってもらえるかどうかは、これで決まると言っても過言ではありません。どの店も、料理をおいしく提供することには、細心の注意を払っているものです。また、おいしいと感じるかどうかは、お客様次第でもあります。しかし、エンドであるお客様が店をでるときに、好印象をもってもらうことができるかどうか配慮は、店によって差があるようです。勿論、エンドにおける最大のイベントは、支払いです。金額、スピーディさ、従業員の笑顔などが相まって、「お客様が気持ちよく」エンドを迎えることができます。
ある地域で人気の小さな中華料理店の店長は、レジでお金を受け取るとき
「味は、どうでした。もし、辛かったら次はマイルドに仕上げますよ」
などど、お客様に声をかけます。これが、人気の理由かどうかは定かではありませんが、店長の人柄が好かれ、多くのリピーターを持ち繁盛しています。

クレームの対応

「終わり良ければ、全てよし」
とういう言葉があります。ピーク・エンドの法則をそのまま言葉にしたようなものです。
何か、トラブルがあっても最後にうまく解決でできれば、周囲に好印象を与えることができます。
商品やサービスに対するクレームは、どう対応するかによって、お客を失うかどうかが決まります。ピーク・エンドの法則に基づいてクレーム対応を行うことで、顧客の満足度を向上させることも期待できます。
例えば、クレームを受けた際は、まず問題のピークを管理することが重要です。クレームが最初に受けた瞬間や最も深刻な問題が解決された瞬間がピークとなります。これらの瞬間において、迅速かつ効果的に問題を解決することが、顧客の印象を大きく左右します。
また、クレームの終了時点も非常に重要です。クレームが解決され、顧客が満足したと感じる瞬間に焦点を当てることです。顧客に感謝の意を表し、サービスや商品の品質を改善する取り組みを紹介することで、ポジティブな印象を与えることができます。

まとめ

ピーク・エンドの法則(peak–end rule)とは、
「自分自身の過去のことを「そのピーク(絶頂)時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)ならびにそれがどう終わったかだけで判定する」
という法則です。
このピーク・エンドの法則は、ビジネスに利用することが出来ます。
1)コンテンツの作成とPR
2)リピーターを増やす
3)クレームの対応
などです。様々なビジネスシーンにおいて、ピークとエンドを意識して、お客様に接することが大切です。

参考記事:リピーターを増やすには、どんな業種であれ「接客力」を上げること

会話がうまい人には、「また、会話をしたくなる」ようにさせる技術がある

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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