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離職を防ぎ、やる気を高める「トータル・リワード」という非金銭報酬とは

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

離職を防ぎ、やる気を高める「トータル・リワード」という非金銭報酬とは

 

転職の理由と「トータル・リワード」の6つの要素

「期待していた若手がやめた!」
「採用面接でいきなり『在宅勤務できますか?』と聞かれた」
最近、経営者や人事担当が、こんな経験に遭遇することが多くなりました。誰しもが、「報酬」と「出世」を目指して頑張る時代が終わり、社員がそれぞれの価値観で働く時代になりました。
転職する理由について、転職支援をしているdodaの調査によれば、(転職理由ランキング2020年度」)
「営業系」の転職理由の1位が「会社の将来性が不安」(11.6%)、2位「ほかにやりたい仕事がある」(11.4%)、3位「業界の先行きが不安」(11.2%)、4位「給与に不満がある」(8.8%)5位「残業が多い」(5.9%)、6位「市場価値を上げたい」(5.5%)となっています。
「企画・管理系」の転職理由は、1位「業界の先行きが不安」(22.8%)、2位「会社の将来性が不安」(11.4%)、3位「ほかにやりたい仕事がある」(7.7%)、4位「給与に不満がある」(5.7%)、5位「市場価値を上げたい」(4.7%)、6位「専門知識・技術を習得したい」(4.6%)となっています。
つまり金銭報酬に対する不満である「給与」より、非報酬系といわれる「会社の将来性」や「働き甲斐」、「労働時間」などが転職理由として大きくなっています。
非金銭報酬の重要性に関して、様々な研究があります。米国の教育機関、ワールド・アット・ワーク(World at Work)は、「トータル・リワード(Total Reward」という考え方を提唱しています。
トータル・リワードとは、仕事に対する報酬は、「お金」や「地位」と言った金銭的報酬だけに限らず、相手によって様々な報酬を考え、与えるべきだという考え方です。この非金銭的報酬について5つの要素を示しています。
1)A: 「Acknowledgement(感謝と認知)」
2)B: Balance of work and life(仕事と私生活の両立)」
3)C: Culture(企業文化・組織の体質)」
4)D: Development Career/Professional(成長機会の提供)」
5)E:「Environment work place(労働環境の整備)」
これに加え、行動科学マネジメント研究所所長の石田淳氏は、
6)F:「Frame(具体的行動の明確な指示)」
を加えて6つの要素としています。
これらの要素により、社員の離職をすくなくし、働き甲斐を与えます。各職場、社員個人に合わせ、金銭報酬とこの6つの非金銭報酬「トータル・リワード」を組み合わせることが重要です。


組織が大きく変わる「最高の報酬」 トータル・リワードを活用した行動科学マネジメント

6つのトータル・リワード要素

感謝と認知

社員を仕事の大切なパートナーとして認知し感謝することです。勘違いするのは、仕事の結果を「認知」ではなく、仕事をした社員を認めるということです。
たとえすぐ結果がでなくても、努力している行動を認めるということです。よく、
「結果がすべて」
などというマネージャーがいますが、それだけでは部下の社員は、不満をもつことになります。
「よくやった」「ありがとう」
そんな言葉が、上司から頻繁にでることが大きな励みになります。

仕事と私生活の両立

人は、野心がある一方で、暮らしを充実させたいから働いています。現在、コロナ禍でリモートワークを経験したり、過労死の問題がクローズアップされたりで、仕事と私生活のバランスを重視する人が増えています。
育児休暇も女性だけでなく、男性社員も気兼ねせずとれる環境が望まれます。

企業文化や組織の体質

会社の理念やビジョンが浸透し、自由に意見やアイデアを述べることができる会社。皆が「他の社員が困っていたら助けよう」
「常に成長を感じる会社」
そんな企業文化、体質があることが、社員にとって大切です。
ただし、いくら経営者が好ましい人物であり、ビジョンを発信していても、社員にとっては、「直属の上司の態度や言葉」が企業文化に見えます。マネージャー層の質が重要です。

成長機会の提供

転職理由の上位にある「成長のチャンスが欲しい」は、有能な社員ほど求めています。仕事にしろ、趣味にしろ、「自分の成長が確認できる」とやる気が出てくるものです。
必ずしも研修やセミナーに行くことだけが、成長の機会ではありません。むしろ、仕事そのものに、自分が成長する実感を与えられることが重要です。
例えば、老舗の寿司屋に入るとまず食器洗いから始まります。そして、順次仕事がレベルアップし、寿司を握り、やがてのれん分けして自分の店を持てるというビジョンがあります。すると、食器洗いも次のステップの準備と思うと苦になりません。ところが、ずっと食器洗いとして雇われたのであれば、つらい仕事にしか思えないのではないでしょうか。たぶん、時給の金額だけが人を引き留める要素になります。

労働環境の整備

オフィスの立地や居心地は、社員にとって重要です。ただし、これらが劣悪だと不満は感じますが、すこぶる好条件であっても満足には、なりません。
かつて、会社中のトイレや給湯室の蛇口をすべてお湯も出るように改修したことがあります。さぞかし、感謝されるかと思いきや、感謝してくれたのは、トイレ掃除のおばちゃんたちだけからでした。

具体的行動の明確な指示

これは、石田淳氏が提唱している要素です。
「何をどうしたらいいのか」
「どんなことをすれば、評価されるのか」
こんな具体的で、明確な仕事の指示が、重要です。
マネージャーは、社員に正しい仕事の進め方を指示する。結果につながらないムダな仕事をさせないことが大切です。

まとめ

トータル・リワードとは、仕事に対する報酬を「お金」や「地位」と言った金銭的報酬だけに限らず、相手によって様々な報酬を与えるべきだという考え方です。この非金銭的報酬について6つの要素があります。
1)感謝と認知
2)仕事と私生活の両立
3)企業文化・組織の体質
4)成長機会の提供
5)労働環境の整備
6)具体的行動の明確な指示

参考記事:仕事へのモチベーションを根本的に上げる価値観に注目した2つの方法

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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