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イノベーションを起こすために、プラットフォームビジネスについて知っておくべきこと

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

イノベーションを起こすために、プラットフォームビジネスについて知っておくべきこと

 

GAFAだけが、プラットフォームビジネスではない!

Facebook(フェイスブック)」
Uber Eats(ウーバーイーツ)」
「デパート」
「タレントのファンクラブ」
ビジネスとして、これらには共通点があります。これらは、すべて「プラットフォームビジネス」です。
プラットフォームビジネスとは、さまざまなモノやサービスを取引するための「場所」を提供するビジネスモデルのことです。扱うモノやサービスは様々です。提供される「場所」は、ネット空間のこともあれば、デパートのようにリアルな空間のこともあります。
最近はネットビジネスが隆盛を極めており、「プラットフォームビジネスの時代」と呼んでもおかしくありません。場所を提供している事業者を「プラットフォーマー」と呼び、代表的なものが「GAFA」(Google、Apple、Facebook、Amazon)です。Amazonは、商品が集まる場所を提供し、Facebookは情報が集まる場所を提供しています。
プラットフォームビジネスというと、GAFAのようなネットを活用したビジネスを想像しますが、これまでもリアルのプラットフォームビジネスはありました。デパートは、プラットフォームビジネスです。デパートは、プラットフォーマーとして売り場を提供し、そこに各ブランドが独自に商品を並べています。タレントのファンクラブも場を提供して、タレントとファンの交流、ファン同士の交流が行われています。
競輪や競馬などのギャンブルも一種のプラットフォームビジネスです。昔から、ギャンブルで一番儲かるのは胴元と決まっています。競馬は売上の25%、宝くじは40%を胴元がピンハネして利用者に還元されます。基本的にプラットフォーマーは、儲かるようになっています。しかし、継続して儲けるには、プラットフォームに多くの利用者を集める必要があります。そこに登場したのが、デジタルプラットフォームです。ネット上のプラットフォームに商品の提供者や買い手を集めるのに、ほとんどコストがかかりません。場所や時間の制約もありません。ネット環境が整備されたことで、様々なプラットフォームビジネスが繁栄しています。
コロナ禍で客が競馬場に客が来なくなると、競馬会は馬券をすべてネット販売に切り替えるとういうデジタルプラットフォームを使うことで、売上を伸ばしました。(今は、リアル販売と並立しています。)リアルとデジタル空間をうまく組み合わせることで、プラットフォームビジネスが成功した例です。
プラットフォームビジネスは、場の提供者であるプラットフォーマーも、プラットフォームに参加する立場の人(企業)にも、メリットがあります。プラットフォーム提供者であれ、利用者であれイノベーションを起こす可能性があります。そのためには、プラットフォームビジネスについて知っておくべきポイントがあります。それは、以下のようなものです。
1)パイプライン型事業(従来事業)とプラットフォーム型事業の違い
2)デジタルプラットフォームとリアルプラットフォーム
3)成功しているプラットフォームを利用する
4)特化した小さなプラットフォームをつくる
プラットフォームビジネスは、必ずしもデジタルである必要はありません。また、規模が小さなプラットフォームビジネスもあります。伝統的産業、中小企業であってもプラットフォームビジネスという視点で業容を見直すと、イノベーションが生まれる可能性があります。この記事では、プラットフォームビジネスの視点で、ビジネス全般がどう考えられるかを紹介します。


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パイプライン型事業とプラットフォーム型事業

従来型事業の多くは、パイプライン型事業(ビジネス)です。パイプライン型事業とは、一連の企業活動を結合・制御することにより価値を生み出す「バリューチェーン」をベースとした事業です。つまり、原材料を仕入れ、様々な工程を経て、最終製品にして販売する事業です。一般的に規模が大きいほど、利益が大きくなり、巨大企業に有利です。車や家電などの製造業やスーパーマーケットなどは、パイプライン型事業です。この型のビジネスは、企業活動に必要なすべての資産(設備、技術、資本など)を持つ必要があります。逆に言えば、このことで新規参入者を防いでいます。
強いパイプライン型事業ですが、「スマイルカーブ」と言われる現象に直面します。利益率が、バリューチェーンの最も川上である原料に近い部門と最も川下の販売部門に利益が集中して、中間工程では利益が出にくい問題です。例えば、パソコンの生産販売では、原材料であるインテルなどプロセッサー(ロジック半導体)を供給する会社と販売をしている会社が主に利益を上げるといった具合です。
これに対して、プラットフォーム型事業では、つくり手と買い手とをプラットフォーム上で直接繋ぎ合わせます。プラットフォーマーは、プラットフォームに川上から川下までの関係者を集めることで、価値を生み出します。スマイルカーブで、利益の上がりにくい中間工程の参加者も川上や川下の役目を担えます。そして何より、プラットフォーム型事業は、サプライチェーンを単純な1本のパイプから、バイパスなど複数のルートを持つ構造に変えることで様々な人(企業)に価値(利益)をもたらします。

 

デジタルプラットフォームとリアルプラットフォーム

プラットフォームビジネスには、ネット空間を利用したGAFAのような「デジタルプラットフォーム」とデパートのような「リアルプラットフォーム」があります。リアルプラットフォームも順次デジタル化されています。例えば、株式取引や商品取引は、電子化自動化により取引所は、デジタルプラットフォーマーとなっています。日本の本屋は、売れ残りの本を出版元に返品することができる、実質「売り場を提供する」リアルプラットフォーマーです。しかし、こちらもデジタルプラットフォーマーのAmazonに、その地位を脅かされています。
デジタルプラットフォームビジネスは、低コストで利用者と運営者にメリットをもたらします。代表的なメリットに以下のようなものがあります。
1)ユーザー数の増加が利便性につながる
プラットフォームビジネスは、ユーザー数の増加によって、商品やサービスのラインナップが豊富になります。提供者としてのユーザーと、利用者としてのユーザーが増えるためです。Amazonも楽天も利用者が増加することで、販売者が増え、益々利用者が増えます。
2)プラットフォーマーは、製品開発の必要がない
プラットフォームの提供自体がサービスとして成り立つため、個別に提供するモノやサービスの開発を行う必要がありません。そのため、本来かかるはずだった商品開発のコストを、ビジネスの拡充や販促に当てられます。初期費用としてコストがかかるものの、ユーザーの母数を獲得することが、ビジネス成功のカギになります。
3)蓄積したデータを今後のビジネスに活かせる
プラットフォームは、マーケティング戦略を立てるための基盤として利用可能です。利用者が増えると、それに比例して情報が収集できるため、潜在ニーズまで細かくリサーチできます。集めたビックデータは、次のビジネスアイデアに繋がる可能性があります。

 

成功しているプラットフォームを利用するイノベーション

繁栄しているプラットフォームビジネスは、プラットフォーマーだけでなく、プラットフォーム上への商品の「提供者」(売り手)「利用者」(買い手)にとっても大きなメリットがあります。提供者や利用者に大きなメリットがあるからこそプラットフォームへの参加が多く、プラットフォームビジネスが成功しているのです。
プラットフォームを利用して、イノベーションを起こすのは、プラットフォーマーとして場を提供するだけではありません。参加者として、プラットフォームを最大限利用してビジネスを改革するようなイノベーションもあります。
例えばTwitterやLineに掲載される広告は、デジタルプラットフォームを利用したビジネスです。ネット広告は、すでにTV広告の金額を上回っています。
ある地方の手作り工房は、商品をネット上での販売を始めました。利用したのは、Amazonでした。Amazonには、「グローバルセリング」というサービスがあり、商品を米国など海外にも紹介しました。すると円安の追い風もあり、海外から多くの注文を受けるようになったのです。かつては、商社にサンプルを託し売り込みをお願いするなどハードルが高かった輸出が、Amazonというプラットフォームを利用することで、簡単に輸出企業になれたのです。
他にも、SNSを利用したマーケティングなど、成功しているプラットフォームビジネスを利用したイノベーションの可能性が沢山ありそうです。

 

特化した小さなプラットフォームをつくってイノベーション

プラットフォームビジネスは、リアルであれデジタルであれ、一定数の参加者を集められれば成立します。小さなビジネスでも、特化したプラットフォームをつくることで、イノベーションとなる可能性を秘めています。
ある地方の経営コンサル会社で、顧客のコミュニティを作った例があります。このコンサル会社は、経営改善に興味にある会社50社ほどに「○○経営塾」と称する場を提供して勉強会を開催しています。このコンサル会社は、小さなプラットフォーマーになったのです。参加は、無料。勉強会の中で、コンサル会社は、共感した参加企業とコンサル契約することがあります。あるいは、顧客同士が情報を交換したり、本業の取引が成立したりしています。当初、3か月の1度リアルに集まっていたのが、コロナ禍もありオンライン利用で月1回の頻度になりました。ネット上に「ルーム」を設けて、参加企業間の情報交換など盛んになっています。
他にも、芸能人のファンクラブや商品のユーザークラブは、リアルとデジタルを混合させたプラットフォームビジネスです。ハーレーダビットソンのオーナーズクラブは、メーカーが提供するプラットフォームです。少子化の影響でかつてのように順調ではないようですが、ヤマハの音楽教室はプラットフォーマーであるヤマハと利用者である生徒の関係です。

 

まとめ

プラットフォームビジネスは、場の提供者であるプラットフォーマーにも利用する立場の人(企業)にもメリットがあります。プラットフォーマーであれ、利用者であれイノベーションを起こす可能性があります。そのポイントとして知っておくべきポイントがあります。
1)パイプライン型事業(従来事業)とプラットフォーム型事業の違い
2)デジタルプラットフォームとリアルプラットフォーム
3)成功しているプラットフォームを利用する
4)特化した小さなプラットフォームをつくる
プラットフォームビジネスという視点で業容を見直すと、どんな企業でもイノベーションが生まれる可能性があります。

参考記事:イノベーションの定義と中小企業における「イノベーション経営」

「オープンイノベーション」のメリット、デメリットと成功させる3つのポイント

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