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必ず「努力は報われる」のではなく、「正しい努力だけが報われる」

2022/06/05
 
努力が報われた人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

必ず「努力は報われる」のではなく、「正しい努力だけが報われる」

 

「努力が報われない」のは、「正しい努力」をしていないから

「努力は報われる」
こう子供の時から親や先生に言われ、「努力すること」は、日本人にとって美徳になっています。しかし、すべての努力が成果に結びつくことはありません。すると、
「努力が報われるとは限らない。しかし、努力しないで成功した人はいない」
などという「名言」まで生まれています。
「努力は報われる」という言葉は、日本において一種の宗教です。信じることで、更に努力を引き出す効果はありますが、論理的には必ずしも「努力は報われる」が正しいとは言えません。努力とは、結果を出すためのプロセスです。つまり、「経過」や「過程」ということです。「努力」は、辞典を引くと「ある目的のために力を尽くして励むこと」(デジタル大辞泉)とでてきます。要するに努力とは、目的に至るプロセスで投入されるエネルギーとも言えます。エネルギーがなければ、何も生まれませんが、方向違いにエネルギーをつぎ込んでも結果にはつながらないのです。
「努力が報われない」のには、3つの理由があります。
1)努力が足りない
2)間違った努力をしている
3)結果が出る前にやめている
車を走らせて、目的地に向かっていて、アクセルを踏み込んでいる状態を思い浮かべてください。アクセルを踏み込むことが、「努力」です。アクセルを踏み方が足りない。間違った方向に走っている。目的地に到着する前に車を止めてしまう。こんな「報われない努力」に気づくことが大切です。「正しい努力」だけが、結果をもたらします。

 

努力が報われないのは、努力が足りない

努力には、質と時間があります。人によって努力の受け止め方が違います。本人が勝手に「努力した」と思っていても、他の人からみると努力が足りていないかも知れません。
スポーツや事業で成功した人は、その才能に目が行きがちですが、その陰で想像を絶する努力をしているものです。
陸上100mの世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)は、突出した才能の持ち主です。しかし、身体的にみると100m選手にしては、背が高過ぎてスタートに不利。脊椎側彎症と言われる背骨がS字に曲がっているハンデがあり、これらをものすごいトレーニングで克服しています。
自分の基準で
「これだけ努力したのだから結果が出ないはずはない」
と思うのは、ひとりよがりです。成功する人は、想像以上の努力をしているものです。


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「間違った努力」では、「努力は報われない」

「努力」さえすれば、必ず結果がでるわけではありません。努力への思い違い、アプローチ法を間違えていれば、努力は報われません。かつて甲子園に出場するような高校野球チームでは、猛練習が当然のように行われていました。1日に200球以上投げる投手、文字通り1日に1000本のノックを受ける野手。深夜まで練習しているチームが当たり前でした。ところが、最近は、データを重視し、休養を取りながら、効果的な練習がされるようになっています。その結果、150キロ以上の球速を投げる投手も珍しくなくなりました。速い球を投げるのに必要な筋肉量が明確になり、筋肉量を増やすのに効果的なトレーニングと栄養摂取法が確立されたからです。
成功を手にしたいのであれば、他の人からの助言やこれまでの結果を振り返ることが大切です。「努力する」とは、「このアプローチ方法が正しいか?」と疑問を投げかけ、「正しい」と確信したことを継続することです。
会社においては、社内教育でのOJTは、要注意です。営業であれ、生産現場であれ、先輩社員が、
「こうやって一人前になった」
「これができるようになるには5年。一流になるには10年」
と言った考え方で、若手社員に当たることがあります。確かに、5年や10年の間、先輩のマネをする努力を続ければ、一人前になれるでしょう。これで、「努力は報われた」と思うこともあるかも知れません。しかし、教育の効率が悪過ぎます。むしろ、「努力が報われない」と考えた方がいい例さえあります。
生産現場を担当していた時、
「この機械を運転できるようになるには5年かかる」
こうベテランの職人達が話していた仕事がありました。確かに5年は、「努力」しないと一人前にはなりません。ところが、海外で生産をすることになり、素人の外国人社員に運転法を教える必要が出てきました。教育期間は、6か月。当初は、日本の職人を海外に派遣しようとしましたが、その国の就労制約でダメ。どうしても6か月で、素人を一人前にしなくてはなりません。新人の外国人社員に座学、模型を使ったシミュレーション、実践とシステマチックに教育・訓練を続けました。実際に機械を動かし、原料を機械にセット・加工・取り出しをします。そして、実践した回数を数えていきました。面白いことに、日本の職人が5年で経験する回数をこなすとベテラン並みの技量になっていました。6か月の「努力」で一人前になれたのです。
その後、日本の職人育成についても内容を見直しました。長い年数、教育・訓練をしているのですが、技能の本質を学ぶ時間は意外に少ないことが判りました。いくら高速道路を運転しても運転の技量は、そう上がらないのと同じです。車庫入れ回数や狭くて曲がった道の運転経験を増やすことで技量が上がります。
目的に向かって「正しい努力」がなければ、報われません。買う気のない顧客に営業努力するのは、魚のいない場所で釣りをしているようなものです。魚のいる場所を探すか、魚をそこに集める努力が必要です。ただ、体を動かす、時間を使うのは、「間違った努力」として修正していくことです。

努力しても、結果が出る前にやめている

努力して、結果が出るには、時間がかかります。スポーツでは、練習量をしても成果が出ない「停滞期」(プラトー)が必ず来ます。この時、
「自分には才能がない」
「努力してもムダ」
と思いこみ、努力することを放棄してしまう人がいます。まさに「努力は報わない」との結論になるのでしょう。怖いのは、
「いつか結果がでる」
と思い込み、「間違った努力」をし続けてしまうことです。効果のない努力になっていないか、常に見直すことです。試行錯誤しながら努力し続けることが必要です。

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まとめ

「努力は報われる」と言われますが、必ずしも努力して結果が得られるものではありません。「努力」とは、結果を出すためのプロセスです。つまり、「経過」や「過程」ということで、結果ではありません。
「努力が報われない」のは、3つの理由があります。
1)努力が足りない
2)間違った努力をしている
3)結果が出る前にやめている
「努力が報われる」には、努力の質と量と時間が重要です。

参考記事:「頑張っているのに結果が出ない」部下に対してリーダーがすべきこと

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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