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面接で「結論から」「具体的に」話すときにハマる「落とし穴」とその回避方法

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

面接で「結論から」「具体的に」話すときにハマる「落とし穴」とその回避方法

 

「結論から」「具体的に」話すときにハマる「落とし穴」とその回避方法

「面接では結論から話す」
「具体的に話す」
この2つは、採用面接に限らず相手に説明するときのセオリーとして、数多くのネット記事やマニュアル本に紹介されています。実際の理系学生の採用面接で自己PRをお願いしたところ、こんな回答がありました。
「私の性格は、粘り強いところです。」(結論)
「たとえば、サッカーを小学校から大学まで続けました。卒論のNMRを使った分子構造の解析実験では、10回以上実験を失敗しても、あきらめずに解析に成功しました。」(理由)
私たち面接官は、当初この回答が模範回答のように感じました。しかし、やがて「この学生は、本当に粘り強いのか?」との疑問を抱きました。「単に惰性で工夫もなく同じことを続けただけ」と思えてきます。「結論から話す」といってもその「結論」が正しいのかとの疑問が湧いて来たのです。また、NMRといわれても分かりませんし、10回以上実験すること」がすごいことかどうかも分かりません。就活生が、「具体的に話した」と思っていても、面接官達はさっぱり理解できませんでした。
セオリーに従い「結論から話す」「具体的に話す」際、
① 相手の考え方と異なる結論から話してしまう
② 相手が理解できない言葉や数字を出してしまう
という「落とし穴」にハマり易いものです。そんな落とし穴に陥らないための、2つのポイントがあります。
1)「結論から話す」前に、その結論が正しいか考える
2)「具体的」に話すには、相手の理解度を考慮する
一般的にセオリーとして言われている面接の話し方テクニックも形ばかりマネしてもうまくいきません。面接などで相手に説明するとき、重要なのは相手の気持ちや理解度を察することです。自分が正しいと思った結論も相手が受けいれる保証はありません。相手に理解できない言葉や数字は、具体的のように見えても相手の理解には役に立ちません。
この記事では、「結論から話す」「具体的に話す」際に陥りやすい「落とし穴」とその回避方法を紹介します。

 
説明の一流、二流、三流 (ASUKA BUSINESS)
 

「結論から話す」前に、その結論が正しいか考える

先の例で、学生は演繹的な発想をしていました。
1)長く続けることができることは、粘り強い性格。粘り強い性格は、いいこと。(前提)
2)自分は、サッカーを長くやった。NMRの実験を何度もやった。(事実)
3)だから自分は、粘り強い性格。(結論)
演繹法の弱点は、前提が正しいかどうかで結論がひっくりかえることです。この学生は、「同じことを長く続けること」を「粘り強い」ことだと信じ、面接官も同じ考えだろうと勝手に思っていました。ところが、面接官に
「同じやり方を繰り返すことが、『粘り強い』のか?」
との疑問が湧いて、面接官の印象は逆転しました。「粘り強さ」とは、「目的を変えることなく、様々な方法で挑戦し続けること」との前提を持つ面接官には、結論が全く違って見えてきたのです。同じことを続けることが、「粘り強い」のではなく、「融通が利かない」と感じてしまいました。
自分で話を組み立て、「結論から話す」には、まず「前提」が相手にとって正しいことか考えてみることです。もし、この学生が
「私は、自分が一度決めた目標に向かって、挑戦し続けられる粘り強い性格だと思っています」
と話し始めたら、面接官の評価は違ったものになったはずです。結論に自信がなければ、
「自分で思っているだけかもしれませんが...」
といった補足を付けることも有りです。

 

「具体的」に話すときには、相手の理解度を考慮する

いくら具体的な話をされても、相手が理解できない言葉や事柄は、相手に理解されません。また、数字を出してもピンときません。相手の立場に立って注意するポイント2つを紹介します。

相手が理解できない言葉や事柄は、類比(例え)をする

「NMR」といわれても普通の人では、分かりません。「核磁気共鳴」と言われたらもっと分かりません。そんなとき、相手に馴染みのあるものと比較などするのです。
NMRは、最近脳ドックなどで使われるMRIと同じ原理で、画像化していない分析方法です。」
といった説明が有効です。同じようなもの、正反対のモノとの対比など相手がイメージしやすい例を並べることでが、相手の理解を深めます。

 

数字は、比較する基準を示すと意味がわかる

16ヘクタール」
といわれても相手はピンときません。そこで
「甲子園球場4個分」
などと基準を加えます。先の例では、「10回の実験」の重みが分かりません。
「NMR測定そのものは、1回1時間ほどですが、その前のサンプル作成に1日、測定前の機材調整に数時間、解析に数日かかります。
そんな説明を加えると「10回の実験」の大変さが良く分かります。他にも、
「合格率10%以下の○○資格を取得」
「私は、応募者100人から3人の中に選ばれました。
といったように数字を出すときは、基準を加えるとその意味が理解できます。

 まとめ

採用面接における話し方のセオリーとして「結論から話す」「具体的に話す」というのがあります。この際、
① 相手の考え方と異なる結論から話してしまう
② 相手が理解できない言葉や数字を出してしまう
という「落とし穴」にハマり易いものです。これを回避するには、
1)「結論から話す」前に、その結論が正しいか考える
2)「具体的に」話すには、相手の理解度を考慮する
こと。面接などで相手に説明するとき、重要なのは相手の気持ちや理解度を察して話すことです。

参考記事:コロナで「ガクチカが書けない」就活生は、ガクチカを勘違いしていないか?

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