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リーダーが、部下の目標を一緒に立てるときに注意すべき3つのポイント

2022/02/25
 
目標を議論する人達のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

リーダーが、部下の目標を一緒に立てるときに注意すべき3つのポイント

 

リーダーが、部下の目標を一緒に立てるときの3つのポイント

「今年度のチーム目標は、売上○○%アップ」
「各自目標に向かって頑張って欲しい」
よくリーダーが、こんな号令をかけて目標を示してマネジメントをしています。チームが成果を上げていく上で、目標設定は重要です。チームのメンバーのとっても個人として成果を上げて、昇格・昇給する、スキルアップするなど目標設定は、大きな励みになります。マネジメントの手法として、目標設定が効果的であることが広く知られています。しかし、目標の設定の仕方によっては、チームとして力を出させるどころか、目標を「負担」に感じ、チーム員がバラバラになってしまうこともあります。
リーダーが、部下と一緒に目標を立てるとき、3つのポイントがあります。
1)目標設定のプロセス
2)目標の難易度
3)目標期間の使い分け
これらを考慮して目標設定すると、個人の頑張りを引き出すと同時にチームに一体感が生まれ、チーム員が互いに協力するようになります。チーム全体が目標に対して「負担」ではなく、「ワクワク感」を覚えるようになることが期待できます。

目標設定のプロセス

目標の設定のプロセスは、職場の事情によりいろいろありますが、大切なのは、組織目標と個人目標が繋がっていること。各自の目標が、組織として認知されていることです。以下に目標設定プロセスの例を紹介します。

① チーム目標を伝える
チームリーダーは、部下に「なぜ頑張るのか」の意義を伝える必要があります。日本能率協会「2019年度 入社半年・2年目 若手社員意識調査結果」によれば、会社のビジョン・戦略と自分の仕事との繋がりを感じている社員の8割が、会社組織への満足度が高いとの調査結果が出ています。会社のビジョン・戦略に基づいて、チームリーダーは、チームの目標を設定し伝えることです。

② 部下に自分の目標を考えさせる
人は、自分で決めた目標でなければ、本気になれないものです。これを「自己決定理論」(参考記事:「部下のやる気を引き出す『自己決定理論』とは?」といいます。リーダーとしては、「こうしろ」と指示したいのですが、じっくり考える時間を部下に与えることです。たとえリーダーにとって不満足な目標でも、次のステップで修正されます。

③ チーム全員の前で、各自の申告目標を公開する
チーム全員の間で、自分の目標を明らかにすることが重要です。会議を開いて、各自の目標をチーム全員に開示させることです。
かつて私は、部下に対して個人の目標設定を個人面談で決めていた頃がありました。部下と話をして上司としての立場から、「いい目標設定」をしてあげていた積りでした。とこが、これではチーム員どうし互いに助け合う気持ちが生まれないことに気づかされました。部下と1対1で、褒めるたり励ましたりするのですが、他のチーム員には関係ありません。「励ましている」積りでも、他のチーム員から見ると、「また叱られている」ようにしか思えません。とても、チームワークなど期待できません。そのうちに、未達が続く者の中には、「自分の目標だけが高すぎる」などと、不公平感が生まれてしまいました。こんな経験から、チーム全員の前で、各人の申告目標を公開するようにしました。

④ 申告目標をチーム員で調整し、目標とする
チーム全員の前で各自の申告目標を公開した後、正式の目標にするためには調整が必要です。各自の目標を足しても、チームの目標に到達しない。他の人から見て、目標が低すぎ得るなどを調整します。
「そんな高い目標にしろと言われても、私には無理です」
そういうチーム員に対して、
「こうすれば、達成できるよ」
などと「どうするか」まで含めた助言が出ることもあります。チームリーダーが「こうしなさい」と指示するより、チーム員にはよほど心強い言葉に感じるものです。助言したチーム員は、その後助言した相手をフォローをしてくれます。個人目標設定における不公平感の軽減とチームワーク醸成にチームでの目標調整は、大いに役に立ちます。

目標の難易度

チームとして、メンバーに達成不可能と思える高い目標を立ててしまうと、
「みんなで『未達』は、怖くない」
といった風潮になり、目標が意味をなさなくなります。コロナ禍のようなことが起きると、個人も各部署もすべて「コロナ」のせいにして、「目標未達」が当たり前、怖いともなんとも感じなくなります。もっともコロナ禍も3年目に投入すると、コロナのせいとは言えなくなりますが、相変わらず皆なで「コロナ禍」と言っておけば無難といった風潮ができてしまいます。
目標設定の難易度を設定するとき、こんな基準があります。

① チームにおいて目標を達成する人が7割。未達の人が3割ぐらいになるようにする。
未達が、6~8割と超えると組織が疲弊し、「目標未達」が当たり前になります。「そもそも無理な目標を押し付ける会社やチームリーダーが悪い」といった雰囲気になりかねません。

② 本人の感覚で、目標達成が「半々」と思える難易度
やる気をもっとも引き出せる目標レベルは、「達成できるかどうか半々」と、「目標設定論」を提唱したエドウィン・ロックが言っています。(参考記事:目標設定理論のメリットとデメリット
難しい理論を引っ張り出さずとも、自分のこれまでを振り返ると「達成できるかどうか」の時が、もっとも頑張れた経験を思い出すのではないでしょうか。

この2つを考慮して、部下の目標設定を支援していくことです。

目標期間の使い分け

営業部門で、毎月の売上目標を決めて管理をしていると、どうしても目標に追われている感覚が生じます。各月の売上集計が出て、少し内容を確認するのみで、次の手を打つ時間もなく次月になっています。
企業やチームとして年度目標の下に、目標期間を使い分けると効果があります。
① 3か月、半年目標:検証して、更なる飛躍を狙う効果
② 1か月目標:3か月、半年目標の達成確率を高める効果
③ 1日、1週間の目標:「今やるべきこと」に集中する効果。一種の「To Doリスト」
この例は、PDCAサイクルを1回まわすのに、3か月から半年かかるとの前提で紹介しています。PDCAサイクルを1か月で回せることができれば、企業活動がよりダイナミックになります。ネット通販などでは、PDCAサイクルを速く回せます。受注から納品まで数か月を要する商品では、無理です。自社の商品の特性などを考慮して、目標期間を使い分けることが大切です。


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まとめ

リーダーが部下と一緒に目標設定をするとき、3つのポイントがあります。
1)目標設定のプロセス
2)目標の難易度
3)目標期間の使い分け
これらに注意して目標設定すると、個人の頑張りを引き出すと同時にチームに一体感がうまれ、チーム員が互いに協力するような風土ができることが期待できます。

参考記事:意味のある目標設定にするには、「結果目標」に「行動目標」を付けること

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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