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誰でもするミス、避けられない人間の2種類の「行動ミス」と3つの対策

2023/08/20
 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

避けられない人の2種類の「行動ミス」と3つの対策

 

「人間の3つの行動段階」と2種類の「行動ミス」

「データの入力ミス」
Aさんへの連絡が抜けていた!」
仕事や私生活において、人は沢山のミスをします。「人間だから仕方がない」とも言えますが、ここ一番の場面でミスは、したくないものです。誰でもミスをします。このミス対策の一つが、「人間の3段階の行動原則に従う」という考え方です。
そもそも人間が行動するには、どんなことであれ以下の3つの段階があります。
1)認知 2)判断 3)行動
ミスが発生し分析して対策をたてるとき、
「この3段階のどの段階でミスが発生したの?」
「どの段階でミスが多い?」
「人は、どの段階でミスしやすいのか?」
そんな疑問を持ち、分析と対策をすることが効果的です。これが、「人間の3段階の行動原則に従う」ミス防止対策です。

この考え方は、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
参考記事:ミスの多い人、ミスが多い職場の「ミス対策」は、3段階の行動原理に沿ってすること

人間の3つの行動段階のうち、仕事や生活でのミスの多くが、「行動」の段階です。
ABを取り違える」
後でやるつもりで忘れる」
表示に気付かずスルー」
などなど、行動段階でのミスは、様々あります。しかし、整理すると2つに集約されます。それは、
1)間違う
2)忘れる
です。上記の例も「間違う」か「忘れる」かのいずれかであると分かります。これらは、「うっかり」「思い込み」「勘違い」といわれ「ミスが多い」と指摘される人の多くは、この種のミスを起こしがちです。この2つのことを念頭において行動し、ミス防止策をたてることで、行動ミスは減ります。
この記事は、製造部門や分析部門で実践した行動ミス防止を紹介します。

行動ミス「間違う」

どう行動すべきかよく理解していても、人はなぜか「間違い」ます。「うっかり」とか「ぼんやり」とかの現象です。この対策は2つです。

ミス率を減らすセルフチェックや第3者チェック

2007年第1次安倍内閣を窮地に追い込んだ「社会保険庁の年金記録問題」がありました。年金記録がずさんに扱われ「年金に関して何を信用していいかわからない」という状況になり社会問題化しました。年金記録が間違いだらけになった原因は、旧システムから新システムへの切り替え時の問題、漢字とカタカナの変換間違い等、理由がはっきり分かったものを除いて、「原因不明」が10%以上残りました。おそらく、その半分の5%程度は、単純な入力ミスであった推測します。例えば2007年06月17日の朝日新聞ニュースなどに、アルバイトのずさんな入力実態が掲載されています。
実際に伝票の数字をコンピューターに転記する作業で統計をとったことがあります。入力しただけの段階で、ミスはデータの2~7%ありました。平均3%ほどです。年金に関する入力作業が、その発生率から「入力しっぱなしでチェックがまともに行われなかった」と容易に想像できます。
例に上げた実際の転記統計では、その後入力者が「ミスの統計を取られている」と意識しだしたとたんにミス発生率は0.5~2%に減りました。実は、「ミスの統計を取られている」ことが分かり、入力者が自分の入力したデータをセルフチェックするようになっていました。
「人は、3%ミスする」との前提にたつと、入力しっぱなしでは3%のミス入力をしています。もし、入力した人がセルフチェックを1回したら、
0.03x0.03=0.0009
つまり0.09%のミス発生率になります。さらに第3者がチェックすると
0.0009x0.03=0.00027
つまり27ppmになります。簡単な計算でセルフチェックや第3者チェックが、絶大な効果を上げることがわかります。ただし、手間と時間が増加する問題があります。また、人が介する限り、どんなにチェックしても「ミスゼロ」にはなりません。

人を介さなければミスはない(自動化)

「間違い」に対しては、「ポカヨケ」といわれる機械の誤操作防止対策などあります。「インターロック機能」と言われています。究極の対策は自動化です。
人を介さなければ、ミスがおきません。ただし、自動が正常に動いていることが必要です。手作業による入力をやめ自動入力するプログラムを導入しても、切替え直後、そのプログラムが正常に働くかどうかの確認が必要です。プログラムを作るのも変更するのも人がやる限り、ミスがつきものです。


「忘れる」を防ぐチェックリスト

やるべきことを「忘れる」ミスを防ぐには、「意識」することです。しかし、意識していてもすぐ忘れます。「忘れる」ことの対策が「チェックリスト」です。よく個人が使う「To Doリスト」は、チェックリストの一種と考えることができます。
チェックリストは、広く使われ効果を上げています。チェックリストは、たまに発生する業務、漏れがあってはいけない安全管理業務、手順が多くある煩雑な業務に向いています。
職場においては、誰が何をすべきか、したのかを明確にできるため、業務改善やトラブル発生時にも責任の所在が確認できます。対処方法を見つけるためのヒントにもなります。
また、チェックリストを作り、チェックする中で、作業全体の流れをつかむこともできます。精神的には、チェックリストを活用することで漏れがないかを逐一考える必要がなくなるため、不必要なストレスが減ります。
しかし、チェックリストには2つの問題があります。

チェックリストに漏れがある

チェックリストは、作業手順に従い作成します。ミスに繋がる「重要なこと」、「忘れそうなこと」をリストアップします。通常、工程の重要なポイントや過去に「忘れて」トラブルになったことをリストに入れます。
「洩れなく」を実現するのに、MECEという考え方が使えます。「MECE」はミーシーと呼ばれており、「Mutually(お互いに)Exclusive(重複せず)Collectively(全体に)Exhaustive(漏れがない)」の略です。一般に「洩れなくダブりなく」と称されます。MECEの考え方を使うと、何か行動をするとき工程や要素を、まさに「洩れなくダブりなく」分解します。MECEで洩れなくチェック項目を出したあと、項目の絞り込みが運用上大切です。絞り込みをしないとチェックできないほどのチェック項目が生まれます。

チェックリストは形骸化しやすい

立派なチェックリストを作成しても、そのチェックに手間がかかったり、ほとんど異常が無ければ、チェックの手抜きが発生します。「形骸化」と呼ばれます。
チェックリストは、定期的に見直すことが重要です。チェックリストの見直しは、無駄な業務の見直しでもあります。意味のない項目、現場に行かなくても機械的に「レ点」を打ってしまうものなど、記入方法の工夫が必要です。現在では、タブレット端末や音声入力で形骸化を防ぐ方法がとられる例もあります。


仕事の「ミス」をなくす 99のしかけ

まとめ

人間が行動するには、どんなことであれ以下の3つの段階があります。
1)認知 2)判断 3)行動
この内、行動段階でのミスが多くあります。
行動段階でのミスは、
1)間違う 2)忘れる
に集約されます。「間違い」に対しては、セルフチェックや第3者チェックと自動化が有効。「忘れる」に対しては、チェクリストが有効です。

参考記事:仕事を失敗して落ち込む3つの理由と早く立ち直る対策とは

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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