「挨拶をしない職場文化」を変えるためにリーダーがすべき3つのポイント
「挨拶をしない職場文化」を変えるためにリーダーがすべき3つのポイント
「挨拶をしない人」が多い職場になる理由とリーダーがすべきポイント
「おはようございます」
と声をかけても返事がない。職場にも家の周りにも「挨拶をしない人」がいます。都会で生活していると、どんなに多くの人とすれ違っても挨拶をすることは稀です。職場や家族で挨拶をしないことは、良好なコミュニケーションが形成されにくくなります。
挨拶をしない人が多いのは、挨拶をしない人に囲まれているからです。「挨拶をしない職場文化」が出来ているからです。
私は、職場(事業所)によって、「挨拶をしない人」がどのくらいいるか調べたことがあります。同一の系列企業において、ほぼ同じ400人規模の日本の工場、米国の工場、日本の研究開発部門の3か所で調査した結果です。
① 国内工場では、挨拶をしない人が10%以下
② 研究開発部門では、挨拶をしない人が70%
③ 米国工場では、挨拶をしない人はゼロ
これは、企業の事業所の門の前で、出勤してくる人全員に、挨拶の言葉「おはよう!」「Good morning!」と実際に声をかけて、返事が返ってきた比率です。徒歩通勤者と車通勤合計の数字です。(詳しくは、後に記します。)
挨拶を交わすことが、職場のコミュニーション作りの第一歩であり、その効能は広く知られています。しかし、挨拶をしない人が多い職場が存在します。挨拶をしない人が多数派の職場では、新しく入ってきた人も挨拶をしなくなります。これが「挨拶をしない組織文化」になります。
職場の人が互いに挨拶すると、以下のような効果があります。
① 接する人が増えます
一度でも挨拶をしたことがあると、仕事上の相談や連絡で話すハードルが格段に下がり、接する人が増えます。
② 相手に親しみを感じます
人は、接する回数が多いほど親しみを感じ好きになるという「ザイアンス効果」が発揮されます。職場の雰囲気が良くなります。
③ 職場のチームワークが良くなります
職場に一体感が醸成されます。コミュニケーションも良くなります。
「挨拶をしない職場文化」を「挨拶をする職場文化」に変えるのが、リーダーの役目です。リーダーがすべき3つのポイントは、
1)挨拶し続ける
2)挨拶に一言加える
3)挨拶の輪を広げる
です。挨拶をする人が一旦増加し始めると、加速度的に挨拶する人が増え多数派になります。職場文化が変わります。コミュニケーションが良くなり、職場の生産性向上に繋がります。何よりも働く人の幸福度が上がります。
事業所の門で、出勤者に挨拶をした結果
ある会社では、毎年7月の安全週間と12月の年末交通安全運動に合わせて、社内の安全グループで事業所の門に、始業1時間前からスローガンを書いたタスキをかけ、安全を呼びかけるビラを配りながら、出勤してくる人に「おはよう!」「ご安全に!」などと挨拶の言葉をかけていました。昨年(2020年)は、コロナで中止したのですが、それまで毎年実施し、私も参加していました。
そこで、挨拶に応えてくれる人の比率が、冒頭に上げた数字です。日本でも米国でも、工場は、挨拶をする人の比率が高い結果でした。米国の工場は、中西部の田舎にあるというせいでもないのでしょうが、挨拶をしない人はゼロ。挨拶にプラスして会話を自分からしてくる人が多いとの結果でした。
ところが、研究開発部門においては、結果が全く異なっていました。全平均で挨拶をする人は30%程度。挨拶をしない人の方が多いのです。会釈や聞き取れないほどの小さな声での挨拶はあったのかも知れませんが、まとめると以下のような比率です。(正確な統計ではありませんが、活動グループで確認した数字です)
① 入社1、2年目社員の30%は、挨拶をしない
② 管理職の40%は、挨拶をしない
③ ①②以外の社員では、挨拶をしない人が70%以上
④ 挨拶をしないことに関して男女差はない
挨拶に対して無関心な人が多く、まるで選挙で駅前に立ち乗降客に挨拶をする候補者のようです。一緒に活動した若手は、
「学生時代のティシュ配りのアルバイトを思い出した」
と言っていました。唖然としてる私を
「配ったビラをすぐ捨てる人がいないだけでもマシですよ」
と若手が慰めてくれたほどです。
この事業所が、都市近郊にあること、研究開発やITを中心に仕事をしているからと理由を考えてみました。入社間もない社員が挨拶をするのに、数年すると挨拶をしなくなる。ということは、「挨拶をしない職場文化」がこの職場にあり、挨拶をしていた新入社員が、次第に「挨拶をしない職場文化」に従うようになると考える方が自然です。
個別に新入社員や転職者、転勤者に聞いてみると
「はじめは、挨拶をしていたのですが、職場で挨拶をしない人が多く、挨拶をしなくなった」
「皆さん忙しそうにしていて、挨拶をしにくい雰囲気がある」
といった答えが返ってきました。まさに「挨拶をしない職場文化」があると認識しました。
初期の理由は分かりませんが、今は「挨拶をしない職場文化」が形成されていて、挨拶をする人が浮き上がって見える職場になっているようです。
「挨拶をしない人」を減らすためにリーダーがすべき3つのポイント
挨拶をしない人の内、特別な意思をもってしない人は稀です。恥ずかしい、親しくない、挨拶のタイミングがつかめない、自分だけするのが変といった理由で挨拶をためらっているだけです。そんな「挨拶をしない職場文化」を打破することが必要です。どんな環境でも、人は周囲からの働きかけで挨拶をするようになります。その働きかけをするのが職場のリーダーです。以下にリーダーが、「挨拶をしない職場文化」を壊すためにすべきことを3つ上げます。
1)挨拶を続ける
「ザイアンス効果」を信じて、挨拶を続けることです。少々ウザいと思われても、これがリーダーの仕事と思うことです。反応のあるなしは、気にせず続けること。これまでの経験から、3か月も毎日挨拶を続けると相手は変わります。
2)挨拶に一言加える
単純に「おはよう」「失礼します」等の言葉に慣れてきたら、もう一言加えると相手との距離が縮みます。強引に声をかけるとセクハラ、パワハラと誤解されるので注意が必要です。さりげない言葉、独り言風の言葉でも十分です。
3)挨拶の輪を広げる
「挨拶をする組織文化」を作るには、挨拶の輪を広げる必要があります。リーダーが挨拶を広げようと何人かに呼びかけ、挨拶を実行してもらうことです。
最近は、コロナ禍のためテレワークが普及して職場で顔を合わせる機会が減っています。大声を出すことも控えています。だからと言って、リモート会議が互いに挨拶もなしに始まるのには、耐えられません。リーダーの気持ちのいい挨拶とこれに応える声でリモート会議が始まることを期待します。
まとめ
職場で挨拶をしない人が多いのは、「挨拶をしない職場文化」が出来ているからです。「挨拶をしない職場文化」を「挨拶をする職場文化」に変えるのが、リーダーの役目です。リーダーがすべき3つのポイント
1)挨拶を続ける
2)挨拶に一言加える
3)挨拶の輪を広げる
挨拶をする人が一度増加し始めると、加速度的に挨拶する人が増え多数派になります。そして、職場文化が変わります。コミュニケーションが良くなり、職場の生産性向上に繋がります。何よりも働く人の幸福度が上がります。
参考記事:「挨拶を返さない人」に挨拶を返させるコツは、「視線を向ける」こと
リーダーと部下との間のコミュニケーションを改善する5つのポイント