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直接労働時間と間接労働時間の最適比率は、全社、各職場、個人で違う!(生産性9)

2021/09/17
 
本社と工場のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

直接労働時間と間接労働時間の最適比率は、全社、各職場、個人で違う!

 

直接労働時間と間接労働時間の最適比率は、全社、各職場、個人で違う

労働時間には、モノづくりやサービスを通して直接付加価値を生み出す「直接労働時間」と直接付加価値を生み出さない「間接労働時間」とがあります。製造業でモノを作っている時間は、直接労働時間(=直接作業時間)です。会議や掃除の時間は、間接労働時間です。大阪から東京に出張し、2時間の営業活動をすると、2時間分が直接労働時間で往復の移動に要した6時間は、間接労働時間となります。全体の労働時間に対する直接労働時間の比率を「直接労働率」と呼ぶことにします。「直接労働率」の定義は、以下のようになります。

「直接労働率」=「直接労働時間」/「総労働時間」
       =「直接付加価値を生み出すために使われた時間」/「総労働時間」

「直接労働率」という言葉は、一般的では無いようです。企業の仕事を製造部門と本社などの間接部門に分けて人数比率を表す「間接部門比率」が、よく使われています。高い間接部門比率をみて、
「本社の肥大化。小さな本社にすべき」
などと、コンサルがよく言っています。この数字の問題点は、直接部門と言われる製造現場でも間接業務をしている場合があり、会社としての真の間接業務比率を表せないことです。

会社全体として、生産性を高めるには、全社の直接労働率を上げることです。ただし、職場や個人、その時の仕事量で、最適な直接労働率は変わります

「直接労働率」は、職場や役職で異なる

実際に受注生産でモノづくりをしている中堅企業で調べた例では、直接労働率は、工場現場で仕事をしている人の平均が75%、現場リーダーが50%、営業担当で30%位でした。最近、営業部門では、コロナ禍で出張が減っています。代わりにリモート商談が増えて移動時間が減り、この数字が上がっています。各自の労働時間を「直接労働時間」と「間接労働時間」に分ける時、定義の仕方で数値が大きく変わることに注意して読み進めてください。

分析してわかるのは、「直接労働率」も労働生産性と同じで、仕事量と関係が強いことです。例に上げた数字は、コロナ禍前、順調に仕事があった時のものです。極端な話、仕事が無ければ、直接労働時間がゼロです。(仕事量と生産性の関係は、本ブログ「仕事量と労働生産性の2つの関係」を参照)

「直接労働率」は、高い方がいいのか?

直接労働率を調査すると、仕事が十分にある状況でも、職場ごとにその数字が大きく異なることに気づきます。現場前線でモノづくりをしている人の直接労働率は、どの職場でも70~85%ですが、職場リーダーでは、30~80%と大きく差がでます。職場リーダーは、いわゆるプレーイングマネージャーです。自分でモノづくりをしながら、現場のモノや人の管理をしています。生産量が少ない時は、管理中心の仕事をして、忙しくなるとモノづくり要員になるという仕事量に対するバファー機能を持っています。

「『直接労働率』は、高い方がいいのか?」
との問いに対して

「会社全体として労働生産性が最大になる数字が最適である」

が正しい答えです。本社を小さくして「間接部門比率」を下げた結果、製造現場のリーダーに仕事が移り、会社全体として「直接労働率」が下がった例があります。要は、会社全体で「間接労働時間」を減らすことです。ただし、「間接労働時間」の中にも、未来につながる企画・調査、教育、社外PRなどの時間が含まれていれば、減らすことが良いこととは言えません。
目指す会社像、職場像を前提として、直接労働率目標を決めることです。

ある職場で、直接労働率を65%と決めたところがありました。ところが、実行段階では、職場全体で85%を超えて収益も高く上司からも褒められました。ところが、職場リーダーが困った顔をしています。
「やるべき会議や教育、お客様PRなどの対応時間が取れていない。」
「今はいいが3か月先、半年先の『種まき』が出来ていない」
と心配していました。不幸にもリーダーの予想が的中し、受注のピークが過ぎると次の受注が無くなっていました。代わりに違う仕事をしようにも多能工化教育ができておらず対応できませんでした。仕事の変化に備えた職場教育など、未来に対する仕事をしていない不安が現実になった例です。



生産性と直接労働率の関係

労働生産性の2つの要素である「能率」や「効率」と「直接労働率」との関係を補足説明します。
直接労働率が高いということは、労働生産性で言えば、効率が高いことです。直接労働率が100%ということは、時間のすべてを付加価値創造に使っていることになり効率100%です。しかし、能率は別問題です。
ある仕事をAさんは、1日8時間かけてモノを作ったとします。仕事は、1万6千円の付加価値がありました。直接労働率も効率も100%です。能率は、16,000円/8時間=2,000円/時間です。一方、Bさんは4時間で作り、後の時間は掃除や片付けをしていました。直接労働率、効率は、50%です。能率は、16,000円/4時間=4,000円/時間です。1日あたりの生産性は、掃除や片付けの価値を無視すれば、AさんもBさんも16,000円/日で同じです。

事務処理系の職場でよくみられる現象は、仕事の量に関わらず、直接労働率が一定の現象です。忙しい時は、仕事が速くなり、暇な時は、ゆっくり(=チンタラ)となる現象です。本人は、「丁寧に仕事をした」と言うでしょうが、仕事の出来栄え、ミスの比率は、忙しさと必ずしも関係がありません。

まとめ:生産性は、総合的に評価すること

「生産性」とは、1日や月単位でみるものであり、職場単位、企業全体として評価すべきものです。もちろん要素としての「能率」「効率」「直接労働率」は重要ですが、それぞれに関係があり、どれか1つが単独で高くても意味がありません。リーダーや管理者、経営者の方は、生産性を総合的に評価していただきたいと思います。

参考記事:労働生産性を上げる4つの要素と労働生産性の3つの表現方法


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