もしかしたら「チャンス」かも、「無能な上司」に当たった時の対処法
もしかしたら「チャンス」かも、「無能な上司」に当たった時の対処法
「無能な上司」に当たったらチャンスかもしれない
「言うことが、毎回違う」
「決断が遅く、指示される時は、締め切りギリギリ」
「仕事が分かっておらず、丸投げされる」
部下から見た、上司(リーダー、課長)への不満です。これらの不満が溜まり、いつしか部下は「無能な上司」と思うようになっています。そう思いはじめると、部下のモチベーションは下がり、人間関係の悪化、業績の低迷は避けられません。
「なぜ、あんな人が上司になったの?」
と部下が疑問を抱く「無能な上司」。上司の上(上層部)からみれば、その上司の評価は、業績を上げてくれるかどうかです。部下からみた「無能な上司」も、上層部からから見たら評価は、業績次第です。しかし、いくら業績が上がっても、案外上層部は、部下と同じ評価をしているものです。上層部は、その上司に対して
「昇格させたのに、期待を裏切った」
と思いながら見ています。
「なんとか、部下とうまくやって成果を上げてくれ」
と思っています。
あなたの会社勤務人生の中で、たまたま「無能な上司」に当たった位で、即転職していたら、何度となく転職しなくてはなりません。どんな会社に行っても、「無能な上司」がいます。自分で起業しない限り、「無能な上司」から逃れることはできません。逆にあなたが、ずっと「有能な上司」の部下だとしたら、その人を超えた地位を得ることは困難です。
「無能な上司」に当たるということは、部下であるあなたにとって、チャンスかも知れせん。上司に変わって、自分の力を出すチャンスです。
実は、上層部にとって「無能な上司」の存在は、部下であるあなたよりも厄介に感じているはずです。任命した責任と、「無能な上司」の扱い、無能な上司の悪影響に苦労しているはずです。
この記事は、部下として「無能な上司」、幹部として部下である「無能な上司」に長年にわたり手を焼いてきた経験から紹介する「無能な上司のトリセツ」です。
「無能な上司」の特徴
発言に一貫性がなく、よく変わる
上司の発言に一貫性がなく、意見が頻繁に変わると、部下は振り回されます。状況変化が早い時代ですので、指示することが変わることは、ある程度仕方ありません、しかし、一度決めたことを状況の変化もないのに、自分の迷いや人の意見だけでコロコロ変える上司は、迷惑でしかありません。
ミスを部下に責任転嫁する
上司が、自分のミスや失敗の責任を取らず、部下に責任転嫁するようでは、上司としての信頼が得られようがありません。上司の給料は、責任の重さで支払われているようなものです。* 部下のミスや失敗でも、上司が責任を取るべきとの常識がある日本では、最も嫌がられる「無能な上司」です。
*責任と給与の関係について参考記事:意味のある目標設定にするには、「結果目標」に「行動目標」を付けること
自分の言葉で指示できない
社長や経営幹部、顧客の苦情を言われた通りに「指示」するのは、能力のない「無能な上司」です。「メッセンジャー課長」なんで悪口を言われる人です。自分の考えがなく、判断を放棄しているタイプです。それでいて、幹部の指示を強引に押し付けるだけの上司は、部下との摩擦が絶えない「無能な上司」です。
自分で仕事を抱え込む
部下にとっても、経営陣にとっても厄介なタイプが、自分で仕事を抱え込んでしまうタイプの上司です。抱え込んだ仕事を処理できればいいのですが、仕事が遅延し、会社のボトルネックになってしまうことになります。性格的なことも原因していますが、上司として最も重要な「組織を使うこと」ができない「無能な上司」です。
判断・決断が遅く、新しいことに否定的
新しいことに否定的で、現状維持が一番と思っているような「無能な上司」がいます。新しいことに対して、理解できない場合やリスクを恐れて新たな試みに挑戦しないのが原因です。
仕事を丸投げする
チームで取り組む仕事を、部下の能力に合わせて振り分けるのが上司の仕事。上司が抱え込むのも問題ですが、業務を割り振っただけ、いわゆる「丸投げ」も問題です。仕事を振ったあと、進捗確認やフォローもろくに行わないため、部下は「仕事を押し付けられた」と感じてしまいます。部下が、業務の質問や相談したとき、的確な答えが示せない「無能な上司」です。リピート業務ならともかく、初めての仕事では、コミュニケーションを取って仕事を分担する必要があります。
自分の無能さに気付いていない
説明の必要がありません。コミュニケーション能力が低く、会話の中に裏付けとなる証拠やロジックがなく、感覚で物事を判断する「無能な上司」のタイプです。このタイプは、自分に能力がないことを気付いておらず、部下は不満を溜め込んでしまいがちです。
なぜ「無能な上司」が、存在しているのか
これまで様々な「無能な上司」のパターンを上げました。では、「なぜ、無能な上司が、存在するのか?」という疑問に対して、教育学者ローレンス・J・ピーターが提唱した「ピーターの法則」*で説明できます。それは、
「人は、自分の能力の限界値を超えたところで、無能化し出世は止まる」
というものです。現場で優秀だった社員が出世したものの、管理職になった途端に無能な上司に転じる現象は、この法則で説明できます。言い換えれば、課長の地位で止まっている人は、「課長としての能力」を満たしていないから、その地位にいるということです。もし、課長としての成果を発揮した人であれば、次の段階に出世しているはずと説明されています。欧米と異なり、日本の年功序列制の組織では、課長から出世するにも、決められた年数を経過する必要があり、そう単純ではありませんが、無能な課長ばかりに見える現象を言いあてているようです。実際の日本の組織では、年功序列のお陰で、能力が低くても上司になっている人と、能力があるのに経過年数不足で昇格を待たされている課長が混在していて、そう単純ではありません。
* 参考:ピーターの法則について、例えば、「ピーターの法則とは...」
ピーターの法則に従う「無能な上司」であれ、年功序列の結果生まれた「無能な上司」であれ、その無能な上司の特徴を表す原因は、以下のようにまとめられます。
1)上司としての仕事の仕方に切り替えられない:
部下に仕事がふれず、仕事を抱え込むタイプ。他部署からきて、部下の仕事が理解できていない。
2)意思決定が遅く、自信がない:
あれこれ考えて、判断・決断が遅れるタイプ。発言に一貫性がない。柔軟性がなく、新しいことに否定的。
3)見栄っ張りで上司の体裁を保ちたい:
自分より上位者の前で、態度が変わる。責任を部下に押し付ける。仕事を丸投げする。部下の気持ちが読めない。
「無能な上司のトリセツ」
様々な「無能な上司」のパターンを示しましたが、残念ながら部下は上司を選べません。「無能な上司」の下で仕事をしなくてはなりません。「無能な上司」でも、上司のトリセツに沿って対応すれば、逆に昇進・昇格のチャンスになるかもしれません。上司が本当に無能なら上層部は、部下以上に「無能」と知っている可能性が高いのです。部下が、うまく上司と仕事をして成果を上げたら、幹部は部下を評価します。うまく上司と仕事をする「無能な上司のトリセツ」を紹介します。
上司の仕事方法に切り替えられない
部下に仕事がふれず、仕事を抱え込むタイプ。他部署からきて、部下の仕事が理解できていない、理解しようとしない人が、陥り易い「無能な上司」です。
1)部下からコミュニケーションを取る
「その仕事、こちらでやりましょうか」「事情を説明しましょうか」と言った部下からの言葉が有効です。上司は、仕事の内容が理解できていない、部下の能力や分担を知らないと言ったことが、仕事を抱え込む原因です。とにかく、部下の能力を信頼させることでしょう。部下であるあなたが、仕事を仕切り、権威として上司にいてもらえばいいのです。
意思決定が遅く、自信のない上司
本人の性格や習慣からか、スピード感のない「無能な上司」です。そんな判断・決定が遅い自信のない上司への対応です。
1)判断・決断の期限をこちらから設定する
2)どう判断すべきかの選択肢をいくつか提示する
3)他社や他部署でもやって成功しているという実例を教える
4)失敗のリスクが、どの程度か説明する
こちらから、判断の締め切りを設定し、かつ判断の選択肢を提示することで、判断しやすい状況を作ることができます。
また、失敗に対する恐怖心が強くて、決められないことも多くありそうです。「他社で既にやっています」「失敗しても、損害はほとんどありません」などの言葉が、決定の後押しになります。とにかく、始終「例の件、課長のご判断はどうですか?」とフォローし続けることです。。
見栄っ張りな上司
責任を取りたがらない、仕事を丸投げする、上層部の前で意見が変わる、いい格好をしたがる「無能な上司」は、能力がないのに、あるように見せたい見栄があります。部下の気持ちが読めず、浮いた感じになり易いものです。
1)上層部の権威を活用する
2)部下から仕事の仕方を伝え、上司の指示とすり替える
3)思い切って、自分が責任を取って進めることを伝える
「無能な上司」に対し、「課長、部長が『この仕事は、〇〇ルートで攻めたらいい』と言ってましたよ」なんて、言葉が有効です。わけのわからない指示を上司にされ、後でそれを上層部が知って、上司から命令の変更をされるのはたまりません。このタイプ、上層部にからっきし弱いので、うまく上層部の権威を活用することです。この際、上司を超えて上層部と接することで、あなたへの理解が得られます。
また、見栄っ張りタイプは、失敗が直接自分への評価になることを恐れます。「失敗したら、私が責任を取ります」と言ったことに対する、リスクはありますが、責任感と意欲の高さを評価される可能性があります。仕事の成果がでれば、昇進・昇格のチャンスとなります。
それでも、「無能な上司」と仕事がしたくない時
前述のトリセツで対処しても、「無能な上司」との仕事がうまくいかない。トリセツのしたがって仕事をするとは、部下が上司の代行をしているようで、やはり納得できない人の対応を最後に紹介します。
「無能な上司」より上位の人(上層部)や人事に相談する
問題の上司の上(上層部)に、これまでの経緯、納得できない理由などを相談することです。直接上層部でなくても、人事などを通す手段もあります。会社によっては、専用の窓口やカウンセラーと話ができるホットラインを開設しているところがあります。
ホットラインは、セクハラ、パワハラ、コンプライアンス違反の通報などが、主目的で開設されています。しかし、相談内容には、パワハラの原因が「上司が無能なため」と判断されるケースも多いようです。
ホットラインを設けている会社では、規定として上司への通知、状況ヒヤリングが、義務付けられています。そして、上層部との相談で、その上司への指導、上司や部下の配置転換などの対応がなされます。上司か無能であるということは、その部署・チームに成果が出ないということになりますので、会社として対処を怠ることはできません。
それでも納得できず、上層部も「無能な上司」ならば、転職する
どんな手を打っても上司との関係が改善されない、上層部も同様に「無能な上司」なら、その会社の将来が危ういと思えます。転職を考えてもよいかもしれません。
現場の不満を解消しようとしない会社は、社員への誠実さに欠けています。無能な上司に関することだけでなく、今後様々な場面で会社への不満が顕在化してくることもあるでしょう。ならば、自分が納得して働ける会社への転職を考えてもよいかもしれません
まとめ:「無能な上司」に当たったら、チャンスかもしれない
「無能な上司」とは、1)発言に一貫性がない 2)責任逃れをする 3)判断・決断が遅い 4)仕事を抱え込むなどの特徴があります。そんな上司でも、無能な上司に合った対応を取ることで、仕事の成果を上げることができます。上司が仕事をしないのですから、考え方によっては、自分が成長し、成果を上げるチャンスとすることができる可能性があります。ただ、いろいろ対応しても納得できず、上層部も「無能な上司」ならば、転職を考えることも有りです。