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「町内会あるある」とメンバーが辞めたくなるほど不快になる原因

 
町内会の会議のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「町内会あるある」とメンバーが辞めたくなるほど不快になる原因

 

「町内会あるある」とメンバーが不快になる原因

町内会あるいは、マンションションの自治会など、本来任意に参加する組織なのですが、本人の意思とは関係なく入会せざるを得ない。しばらくすると役員が回ってくる。役員は、結構な負担なのに、周囲からは当たり前と思われている。町内会について、以下に「あるある」を並べてみました。
「町内会あるある」一覧
① メンバーの常識・文化がバラバラ
② 会費を滞納する人がいる
③ やたら仕切りたがる人(老人)がいる
④ 当番制の役職がある
⑤ 命令系統や緩く、決めたことが守られない
⑥ 会議で何かを決める時は、互いに牽制してやたら時間がかかる
⑦ 家族構成、収入、資産など事情に関係なく義務は同等、採決は一人一票
⑧ 回覧板を止める人がいる
⑨ 連絡事項や会報はろくに読まれない
⑩ 地域の清掃、通学の見守り、市の依頼事項など謎の仕事がある
⑪ 参加しないと周囲が冷たく村八分になる
⑫ よそ者にはちょっと冷たい
⑬ みんな本当はやめたい
(以上、谷本真由美氏著書「世界のニュースを日本人は何も知らない」(ワニブックス)及び朝日新聞Reライフアンケート・みんなの体験談:「本音をぶっちゃけ 自治会組織のココがイヤ」を基に作成)
上記の「あるある」で、あなたの住んでいる町やマンションの自治会にいくつ当てはまったでしょうか。これらは、町内会に限らず、任意で参加する団体で起きる問題に共通しています。元国連職員の谷本真由美氏は、その著書(前述)で、これらは国連の抱える問題と同じであるとも述べています。
任意団体である町内会のメンバーが、不快な気持ちになるのには理由があります。
1)構成メンバーの経歴・価値観が異なる
2)任意団体と言いながら、半強制的に参加させられている
3)組織として強制力がない
これらが、町内会など任意参加の組織に問題を起し、メンバーが不快になるという構造を作っています。
この記事では、町内会メンバーを不快にする理由を探り、打開策を考えます。

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構成メンバーの経歴・価値観が異なることによる摩擦

町内会のような団体は、メンバーの経歴、世代、家族構成、知識、経験等が異なり、考え方や価値観に大きな違いがあります。その上、最近は外国人もいて、「あたり前」と思っていることのズレも大きいのが現実です。こんな様々なメンバーで構成されている組織を運営していくのは、難しいものです。
ところが、町内会の運営の中心を担う人の多くは昔からの定住者(長年その地域に住んできた人々)であり、新たに引っ越してきた転入者(単身者、共働き世帯、外国人居住者など)に、従来のやり方を押し付けがちです。運営者は、「昔からのしきたり」「地域の伝統行事」を重視して、年中行事や神社仏閣との関係を「当然のこと」ととらえます。一方、転入者や若年層は合理性を重視し、「なぜそれをしなければならないのか」と疑問を抱くことが少なくありません。
さらに、職業上の経歴も影響します。元公務員や会社役員、商店主などは組織運営に自信があり、会議での発言力も強くなりがちです。一方、会社勤めの人や共働きの女性、育児中の世帯などは、時間的制約が多く、町内会活動の参加に消極的になりがちです。これに対して「最近の人は協力しない」と定住者側が非難的な姿勢を取れば、関係性は悪化し、不快感が生まれます。

 

任意団体と言いながら、半強制的に参加させられていることへの違和感

町内会は法律上「任意団体」であり、参加するかどうかは本来自由です。加入しないことによる法的な不利益は存在しないはずですが、実際には加入が「当然」であるかのような雰囲気が醸成されています。このギャップが不快感を生む大きな要因です。
たとえば、マンションに入居した際、不動産会社や管理会社から「町内会費の徴収があります」と一方的に通知されます。たとえ、賃貸マンションであっても、選択肢が提示されないまま町内会費が家賃とともに引き落とされるケースがあり、居住者は「任意」とされるはずの制度に強制的に組み込まれてしまうのです。
また、加入を断った住民に対して、地域社会からの無言の圧力やあからさまな排除が発生することもあります。ゴミステーションの利用を拒まれたり、回覧板が回ってこなくなったり、町内行事に誘われないといった「村八分」的なことが起きることもあります。これでは「加入しない自由」はありません。住民の自治ではなく、同調圧力の支配に他ならないということです。
さらに問題なのは、町内会が、自治体から託された災害時対応や防犯対策といった公共性の高い機能を担っている点です。災害マニュアルの共有、防災グッズの配布、避難訓練などが町内会を通じて行われる場合、非加入者はそれらから排除されてしまいます。つまり、任意団体であるにもかかわらず、事実上のインフラ機能を持ってしまっているのです。このような「形式上の任意と、実質的な強制」の矛盾は、住民に強い不満と不信感を抱かせることに繋がります。

組織としての強制力のなさと、それに伴う責任の曖昧さ

町内会には法的な拘束力や明確なガバナンスがありません。役員の選出、会計の透明性、意思決定プロセスなど、多くの面で曖昧さが残ります。
「意見を言っても意味がない」
「声の大きい人が決めてしまう」
等々組織運営における不満が多くあります。
例えば、毎年の役員交代が「輪番制」で決まっている地域では、
「忙しいのに断れない」
「共働きで時間がないのに押し付けられた」
といった不満がたまります。拒否した場合は、不利益を被ったり、嫌がらせをされたりと、暗黙のルールがあることもあります。
ところが、強制力がないために、会費の未納者、会合に無断で欠席する人、回覧板を停留させるといった人に対して、組織として断固たる態度が取れません。その結果、他のメンバーには不公平感が残ることになります。
また、役員が高齢化している地域では、そもそも活動自体が停滞していたり、意思決定が遅延していたりします。Lineなどを利用すれば、連絡網など簡単にできそうですが、いまだに連絡は、回覧板、放送、電話連絡網といった方法しかなく、デジタル化など程遠いのが現実です。

 

求められる町内会制度の再設計

町内会制度に対する住民の不快感は、「人間関係の多様化」「同調圧力と自由のねじれ」「責任の不明確さ」といった現代風の問題と深く関係しています。かつては地域共同体として機能していた町内会も、現代では社会構造の変化に追いつけていない部分が多くなっています。
今後、町内会制度を持続可能な形で維持するには、「参加の自由」を明確に保障しつつ、「合理的な運営」「透明な情報共有」「柔軟な活動方針」といった改革が必要でしょう。デジタル技術の活用や、若年層にも意味のある活動の提案、外部機関との連携など、新しい町内会像を描く必要があります。
問題は、町内会の改革を誰がするのか、ということです。行政がやれば、任意参加の自治会ではなくなりますし、町内会のメンバーがやるには、古いメンバーの抵抗が予想されます。現実には、メンバーと行政が一体となって古いメンバーに仕掛けていくことが有効です。
「回覧は、Lineを活用します。Lineの出来ない方には、使い方を指導します。ただし、当面回覧も併用します。これは、市方針として推奨されており、これにより追加の補助金がもらえそうです。」
私の属する町内会の関連組織では、こんなアナウンスをして、改革を進めLineの連絡網が実現しています。(まだまだ、この先の道は長いようですが)
町内会等が住民の「不快の源」ではなく、「共感と信頼の場」として再構築されることが、地域社会の健全な未来を築く第一歩と考えます。

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まとめ

任意団体である町内会のメンバーが、不快な気持ちになるのには理由があります。
1)構成メンバーの経歴・価値観が異なる
2)任意団体と言いながら、半強制的に参加させられている
3)組織として強制力がない
これらが、町内会など任意参加の組織に問題を起し、メンバーが不快になるという構造を作っています。

参考記事:「決められない」非効率な会議の原因は、日本人の「話し合い絶対主義」の影響

中間管理職に「改革が必要」との危機意識が生まれない3つの理由

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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