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行動経済学の「プロスペクト理論」を野球やゴルフ、勉強に当てはめてみたら?

 
見逃し三振をした打者のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

行動経済学の「プロスペクト理論」を野球やゴルフ、勉強に当てはめてみたら?

 

行動経済学の「プロスペクト理論」を野球やゴルフ、勉強に当てはめてみたら?

「内野ゴロ、ゲッツーかと思ったらボールはイレギュラーバウンドして、ピンチ拡大」
「ゴルフで、コースど真ん中へナイスショット。ところがボールの所へ行ってみると、デボット(ショット跡などの凹み)の中」
こんな場面に遭遇した、プレーヤーは気落ちしてしまいます。特に、それがきっかけで敗戦したり、スコアを大きく乱したりしたら、その後も悔やみが続きかねません。
そんな不運の裏には、同じ確率で幸運が起きています。バウンドが変って、ボールが取れた。林の中に打ち込んだ球が、木に当たってコースの真ん中といったことです。ところが、ゲームが終わる頃には、そんなことは忘れて、つい不運なことばかりが記憶に残ってしまいがちです。
これは、「損失バイアス」と言われる行動経済学の「プロスペクト理論」の1つの例です。この理論では、「人は、同じ額を得した時と損をした時とでは、損をしたことの方を大きく感じる」ということが言われています。この理論は、経済活動に限らずスポーツや試験勉強にも適用できます。
「プロスペクト理論」をスポーツや試験勉強に適用すると以下のようなことが分かります。
1)不運やミスを過大に感じる
2)過剰なリスク回避行動をしがちになる
3)ミスや失敗後の気持ちの切り替えが重要
これらのことを考慮するころで、ミスや失敗を過大に感じ、それらを避けるために過剰な回避行動をしてしまうような行動に押し入らず、本来の力を発揮することができます。
この記事は、スポーツや学習で陥る心理を「プロスペクト理論」から考えます。

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不運やミスを過大に感じる

スポーツのプレーは、不運やミス、失敗に対して過度な後悔や恐怖心から、プレーが乱れることが起きます。
例えば、野球選手がエラーや打たれた失点を「損」として強く意識し過ぎると、次の守備や打席に影響が出ます。ピッチャーでは、ホームランを打たれた後に自信を失い、コントロールが乱れるといったことです。
ゴルフでもOBや3パットなどの「損失」が心理的に大きく感じられ、次のショットにおいて、慎重になり過ぎたり、消極的になったりすることがあります。
また、学生が試験で失敗すること(不合格や低得点)を過剰に恐れるあまり、勉強を始めること自体にプレッシャーを感じたり、非効率な学習スタイルに拘り過ぎたりといったことがおきる可能性があります。
学習においては、試験や練習問題での間違いや低得点で、「自分はダメだ」という結論に結び付け、自信を失うといったことがあります。ポテンシャルがあっても、自己評価が低いため努力を継続できなくなるといったことが起きる可能性があります。

過剰なリスク回避行動をしがちになる

ミスや失敗を「損」と感じ、これを回避しようと過剰な行動をすることがあります。
たとえば、野球ではミスを恐れるあまり、守備範囲を狭めたり、攻撃的な走塁を避けたりするなど、消極的なプレーが増えてしまいます。ゴルフでは、リスクを避けるために安全なクラブばかり選ぶ、パッティングで強く打てないといったことが起きます。
ミスや失敗のあと、意図的に「次のプレーに集中する」ことを心掛けることが大切です。
また、学習においては、一度試験で失敗すると、苦手な科目に拘り過ぎて、他の科目を疎かにしたり、逆に苦手科目として避けたりとバランスを欠く学習となる例があります。
これらは、プロスペクト理論において「損失回避行動」と言われます。利益を得ることより、「損失を避けたい」という行動が優先されます。残念ながら、世の中にリスクゼロでリターンだけを得られるものはありません。許容できるリスクの範囲を考えて、萎縮せず行動することです。

 ミスや失敗したあとの気持ちの切り替えの重要性

スポーツでミスや失敗したとき、チームメイトや監督が、
「ドンマイ!」
とよく声を掛けます。この「ドンマイ」は、「Don’t mind.」から来ています。直訳すれば、「気にするな」「心配するな」でしょうか。失敗して気落ちしている人を励ますには、いい言葉です。「励ます」の本質は、「気持ちを切り替えろ」ということです。
ただし、いくら「ドンマイ」といわれても、気持ちを切り替える意識がなければ、それは唯の「合いの手」や「掛け声」にしかなりません。
例えば、野球のバッターが前の打席の三振を意識してしまい、次の打席でも消極的なスイングをしてしまうといったことが起きるのは、気持ちの切り替えができていないからです。ゴルフでは、1m以内の短いパットを外して3パットした後などは、次のティーショットに集中できずにミスするといったことが起き易いものです。(これをしないのが、一流プレーヤーでしょうか。)
「ドンマイ」は、ミスや失敗直後より、次のプレー前に意識すべき言葉と考えるべきかも知れません。
気持ちを切り替えるポイントは、「損」よりも「得」を意識することです。つまり、ミスよりいいプレーを意識すること。或いは、試合全体を意識することです。通常のルーティンを淡々と行うことが、気持ちの乱れを防ぎます。
また、学生が試験でミスをしても、それは「成長の糧」と考える習慣をつけることです。「少々のミスは、織り込み済み」とでも考えることです。
一方、 教師や親は、「失敗しても大丈夫」というメッセージを伝えることで、ミスをしてもくよくよしない精神的安定感を与えることができます。
日頃のスポーツの練習、学習において、小さなミスや失敗を積み重ねることは、「成長に繋がること」と信じられるようなポジティブマインドをつくることが大切です。

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まとめ

プロスペクト理論をスポーツや勉強に適用すると以下のようなことが分かります。
1)不運やミスを過大に感じる
2)過剰なリスク回避行動をしがちになる
3)ミスや失敗後の気持ちの切り替えが重要
不運やミスを過大に感じ、それを避けるために過剰な回避行動をして、また失敗する。このパターンに陥らないために、気持ちの切り替えを意識することが大切です。

参考記事:ポジティブ思考を使って成功するために必要な3つのポイント

消費者が買いたくなる心理、「スノッブ効果」と「バンドワゴン効果」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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