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「投影バイアス」が強い人と会話すると不愉快に感じる理由

 
社長に説教される社員のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「投影バイアス」が強い人と会話すると不愉快に感じる理由

 

「投影バイアス」が強い人と会話すると不愉快に感じる理由

「一方的に、自分の推している芸能人やドラマの話をする人」
「自分が不快に思った出来事に共感を求める人」

そんな人と会話をして不快に思ったことはありませんか。私は、時として相手に幼児性を感じることがあります。また、北国に住んでいる人が、テレビニュースで、
「東京で大雪が降って大変です!」
などと東京しか頭にないような発言を聞くと、不快感を抱くこともあると言います。
この不快感は、相手が自分の思いや置かれている状況を相手も同じとの認識で会話をするために生じるものです。これを「投影バイアス」と言います。
行動科学の言葉である「投影バイアス」は、他者の信念、価値観、感情などを、自分のものと同じと推測してしまう認知的バイアス(認知的偏り)のことです。「自分の内面を他人にも投影してしまう」ということで、投影バイアスと呼ばれています。
具体的には、
・自分の関心事に対して、他人も同じように関心があると思い込む
・自分が好きな俳優は、他人も同様に好感をもっていると考える
といったことです。
自分の内面を他者に投影して過剰に一般化してしまうのが、投影バイアスの特徴です。
投影バイアスが強い人と会話すると不愉快に感じることが多いのは、相手が自分の感情や考えを一方的に押し付けてくるためです。このバイアスが強い人は、自分の見方が普遍的で当然だと考えがちで、相手が異なる意見や感情を持っている可能性があることを考慮せず会話をしてしまいます。
投影バイアスの強い人が、起こし易い3つの問題があります。
1)相手に不快感を与える
2)相手から幼児的と見られる
3)相手のニーズ、気持ちを掴めない
投影バイアスが強い人は、相手の感情に寄り添いやすい面もありますが、他者の実際のニーズや感情を正確に理解するのが難しく、会話などのコミュニケーションを阻害する場合があります。「自分が投影バイアスを持って会話をしていなか」ということを意識する姿勢が重要です。

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相手に不快感を与える

投影バイアスが強い人と会話すると不愉快に感じることが多いのは、相手が自分の感情や考えを一方的に押し付けてくるためです。バイアスが強い人は、自分の見方が普遍的で当然だと考えがちで、相手が異なる意見や感情を持っている可能性をあまり考慮していません。会話を不快に感じるのは、以下のような要因があります。
1)自分の意見や感情を他者に押し付ける
投影バイアスが強い人は、しばしば自分の価値観や感じ方が「普通」であり、他人も同じように感じているはずだと考えます。そのため、相手が自分と異なる意見や感情を示すと、その違いを理解しようとせず、自分の意見を正当化しようとしがちです。
また、他人の立場や気持ちを十分に考慮しないため、無意識に相手の感情を無視したり軽視したりしがちです。たとえば、相手の悩みに対して「そんな風に感じるはずがない」と決めつけるなど、共感を欠いた発言をすることがあり、相手にとっては冷たく思いやりのない態度に感じられるかもしれません。
2)会話がかみ合わない
投影バイアスが強い人は、相手の言葉を自分の考えに合わせて解釈することがあり、相手の意図や真意が伝わりにくくなります。このため、会話が一方的になりやすく、誤解やすれ違いが増えことになりがちです。
3)柔軟性の欠如
投影バイアスが強いと、他者の意見や感情を柔軟に受け入れることが難しく、自分の見方や感情が当然と考えがちです。このため相手に歩み寄ることが少なく、頑固さや固執した態度を示すことになり、相手は圧迫感や不満を感じやすく、不愉快さが増します。

このように、投影バイアスが強い人との会話では、相手の視点や感情が尊重されないと感じることが多いため、不愉快さが生じやすくなります。

 

相手から幼児的と見られる

投影バイアスが強く、自己中心的な発言や行動を取る人に対して、「幼児的」と見られることがあります。幼児の思考や感情の仕組みは、投影バイアスの心理的なメカニズムに共通する特徴があるからです。若手社員の我がママな行動に対して、
「まだ子供だな!」
という感想をいだく上司。年寄りの身勝手な行動に
「子供と一緒」
と感じる介護者の心境です。
幼児期には自己中心的な視点(エゴセントリズム)が強く、他人の視点や感情を理解することが難しい段階があります。幼児は自分が「知っている」ことや「感じている」ことを他者も同様に感じていると考えがちです。このような考え方が、投影バイアスの原型となっています。
投影バイアスの強い人と接するには、相手が「未熟な子供である」として接することが、一つのコツであるとも言えます。

 

相手のニーズ、気持ちを掴めない

自分の感情や考えを他人に投影しすぎると、相手の実際の気持ちや考えを誤解することがあり、誤った行動を取ってしまうリスクがあります。例えば、親が
「自分は子供時代、野球をしたかったから、子供もしたいに違いない」
と考え、子どもが嫌がる野球をやらせてしまうといったことです。
気を付けたいのは、「自分は中立」と思っていても、投影バイアスがあって状況を正確に掴んでいないことがあることです。
例えば、2024年7月の東京都知事選において、テレビなどのマスコミは、現職の小池百合子氏と蓮舫氏の一騎打ちと予想していたのですが、結果は、なんと小池氏と石丸伸二氏との争いとなり小池氏が当選。(蓮舫氏は3位)
2024年11月の兵庫県知事選では、パワハラ問題で辞職した前知事の斎藤元彦氏に勝ち目はないと予想していたのが、斎藤氏が再選されるという結果になりました。
この「予想」は、新聞やテレビなどオールドメディアの「予想」です。新聞やテレビニュース編集者やワイドショー番組に出演している解説者やコメンテーターが予想したものです。選挙結果が出たあと、事前の予想が外れたことに対して、「SNSの役割が大きかった」と一様に解説(弁明)していました。確かに、石丸氏や斎藤氏の発信するSNSの影響力は大きなものがありましたが、そもそもオールドメディアの出演者が、選挙の現場、SNSを見ていたのかという疑問が湧きます。
選挙の行方をきめるのは、浮動票です。目玉となる政策やスキャンダルに対する感情で投票先を決めます。有権者の感情をオールドメディアは、掴みそこなったということです。私には、オールドメディアに投影バイアスが働いていて、自分達の思うことと有権者の思うことは同じとの思いがあったと思われます。

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まとめ

「投影バイアス」の強い人が、起こし易い3つの問題があります。
1)相手に不快感を与える
2)相手から幼児的と見られる
3)相手のニーズ、気持ちを掴めない
投影バイアスが強い人は、相手の感情に寄り添いやすい面もありますが、他者の実際のニーズや感情を正確に理解するのが難しく、会話などのコミュニケーションを阻害する場合があります。「自分が投影バイアスを持って会話をしていなか」ということを意識する姿勢が重要です。

参考記事:新規事業や起業の失敗原因となる「確証バイアス」の怖さ

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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