人が詭弁(きべん)を使う代表的な3つの理由とその対処法
人が詭弁(きべん)を使う代表的な3つの理由とその対処法
巷にあふれる詭弁(きべん)を使う3つの理由
「個別の話については、控えさせていただきます。」
「今後、皆さまには丁寧に説明させていただきます。」
「誤解を与えたならお詫び申し上げます。」
これらは、記者会見で政治家が良く使うフレーズです。丁寧に答えているようで、実際は何も説明をしていません。これを「詭弁」と呼びます。
企業の不祥事が発覚して、幹部が記者会見するときも同様です。
「結果的にそうなったのであって、不正をする意図はありませんでした。」
「既に大方の調査は終了しておりまして・・・」
といった具合です。さすがに
「記憶にございません。」
と言えば、誰しもウソだと思います。しかし、詭弁といわれる「ゴマカシ」を見破るのは、意外に難しいものです。
詭弁とは、「1)道理に合わないことを強引に正当化しようとする弁論。こじつけ。2)論理学上、外見・形式をもっともらしく見せかけた虚偽の論法」(大辞泉)です。
詭弁は、様々な場面で使われています。日常では、ちょっとした失敗の「言い訳」なども一種の詭弁です。ウソではないのですが、自分の都合のいい部分だけを話すようなことが行われています。また、ナット上の記事やSNSの投稿には、ウソや詭弁が溢れています。ウソなら気付き易いのですが、巧妙な詭弁を使われると、それを見抜けず影響を受けることとなります。
人が詭弁を使う理由は多岐にわたります。その代表的な理由が、以下3つです。
1)自分の立場を守るため
2)相手を意図的に操作する
3)議論に勝つため
これらの理由で、詭弁が使われたとき、賢い対処法がいくつかあります。
例えば、 詭弁に対して感情的に反応するのではなく、冷静に論理的に対応する。感情的になると、相手の詭弁に引きずられてしまう可能性があります。相手の主張に対して具体的な例や証拠を求めることで、詭弁を明らかにすることができます。あるいは、相手の詭弁に気付いてもあえて納得したフリをして「貸し」を作ることもあります。
この記事では、代表的な詭弁とその対処法を紹介します。
自分の立場を守るために詭弁を使う
自分の意見や行動が批判されたとき、それを正当化するために詭弁を使うことがあります。また、自分の支持基盤を維持するために、詭弁を使って都合の良い情報や解釈を提供することがあります。
冒頭に挙げた政治家の答弁などは、自分や政党(派閥)を守るために詭弁を使う例です。
「説明を控えさせてもらいます」
「誤解を与えていたらお詫び申し上げます」
など、上の立場を最大限利用しての詭弁です。言い方が丁寧なので、誠意をもって答弁しているようですが、冷静に考えれば、
「説明する必要がない」
「謝る必要がない」
と言っていることが分かります。
相手の立場、気持ちを考えると、この種の詭弁は容易に打ち破ることができます。しかし、
「それでは、答えたことになっていません!」
と反論したところで、相手が答える意思がなければ、
「先ほど、申し上げた通りでございます」
と突っぱねるだけです。こんな風景は、国会の議員質問でよく見かける風景です。
こんな場合の対処法は、詭弁を使って自分の立場を守ろうとしている人の立場を脅かすことをほのめかすことでしょう。
「説明をしないことで、偽証罪にとわれますよ」
といった発言です。
他に、相手に対して「あなたの詭弁は分かっているが、見逃します」とのサインを出すことも戦術の一つです。この場合、相手に「貸し」を作ることになります。
部下が遅刻した言い訳に詭弁を使っていたら、
「悪天候で、遅れたならばしかたないな」
と上司が納得したような顔をして、
「次は、早起きしろよ」
と言われた部下は、上司が事実を知っていて容認してくれたことに安堵するはずです。
個人的感想ですが、マスコミの政治報道も政治家の詭弁が分かっていて、相手に貸しを作る形で記事を書いているように見えますが、どうでしょうか。
相手を意図的に操作するための詭弁
政治や広告などの分野でよく見られるのが、相手を意図的に操作するための詭弁です。相手にこちらの都合のいい判断や行動をとってもらうのが目的です。
このためには、選択肢が3つ以上あっても、2つしかないようにみせる。難解な問題を簡単に説明するために、事実を歪めたり誤った論理を使うといったテクニックが使われます。
かつて小泉元首相が、「郵政民営化に賛成か、反対か」で選挙に臨み大勝利したことがあります。このスタイルを「ワンフレーズ・ポリティックス」と呼び、賛否両論が沸き上がりました。
こんな詭弁に対しては、1)他の選択肢を問うことや2)具体例を求めることが有効です。複雑な問題に対して、何が省略されているかを明確にすると相手の詭弁を使っている意図が分かります。
安倍内閣時代、政府として「規制緩和」を進め、その実績をアピールしていました。確かに規制が緩和された部分もありましたが、全体の規制数(法律数)で言えば、残念ながら一方的に増加していました。
詭弁を使って相手を説得しようとされたとき、数値を示してもらうことが有効です。
議論に勝つために詭弁を使う
相手を議論で勝つことが目的で詭弁を使うことがあります。論理的に相手を論破するのではなく、とにかく「言い負かす」ことが目的の詭弁です。
よくある手が、
「そんなことをする人の話は信用できない」
といった、議論の内容ではなく、相手の人格を問題にした議論です。最近の政治では、予算委員会と言いながら「議員の失言」「政治資金問題」が中心になって、予算とは全く関係のないところで攻防戦が繰り広げられています。
更に感情が議論に入り込むと、より論理的なものから離れていきます。
相手が議論に勝つために詭弁を使ってきたとき、議論の目的を相手と共有し、建設的な対話を目指すことを確認することです。相手が詭弁を使っている場合、その行為が議論の目的に反していることを指摘することで、誠実な対話を促すことができます。
また、自分と相手だけで議論が進むと、感情的になり易いものです。第三者的な意見が述べられる人を議論に加えることで、公平な視点から論理の正当性が評価できます。
まとめ
人が詭弁(きべん)を使う理由は多岐にわたります。その代表的な理由が、以下3つです。
1)自分の立場を守るため
2)相手を意図的に操作する
3)議論に勝つため
これらの理由で、詭弁が使われたとき、感情的な反応をせず、その理由に合った対処法をとることが重要です。