セールストークで使う商品の「メリット」と「ベネフィット」の使い分け
セールストークで使う商品の「メリット」と「ベネフィット」の使い分け
「リピート客」になってもらいやすい事業となりにくい事業
スポーツジム、スイミングクラブ、ゴルフ場、カルチャークラブなど、会員制をとっている事業において、サービスを頻繁に利用する会員がいる反面、ほとんど利用しない「幽霊会員」が存在します。もっとも、「幽霊会員」全員がサービスを利用しようとしたら、施設やスタッフのキャパをオーバーしてしまいます。「幽霊会員」は、リピート客として戻ってくることもありますが、やがて脱会してしまう人がほとんどでしょう。
会員制事業の形態として、最近は「サブスク」と言われる月会費、年会費を払うとその期間内は、自由にサービス利用できるものが広がっています。しかし、そんなサービスで会員を集めても、会員数を維持できない会社(店)が多くあることも事実です。
会社(店)が提供する商品(モノやサービス)は、事業の業態やお客様の状況により、お客様を繋ぎとめる力が違います。お客様が「リピート客」になりやすいかどうかで、事業を2つのタイプに分類できます。
1)安定顧客型事業:学習塾、事務設備のリース事業などお客様が離れにくい事業
2)不安定顧客型事業:スポーツジムなどお客様が離れやすい事業
3)都度利用型事業:家電量販店など、必要により利用する客が主体の事業
学習塾や複合機等の事務設備リースでは、初めにどんな商品(サービス)を選ぶかが、お客様にとっての課題です。そして一度決めると、顧客は通う塾やリースの契約先を変更することはほとんどなく、安定顧客になってもらえます。事業が成功するかどうかは、多くのお客様に自社の商品を選んでもらえるかにかかっています。
一方、スポーツジムなどは、会員になって通い始めて数か月で来客しなくなる「幽霊会員」が生まれ易い事業です。このタイプの事業の成功は、いかに顧客を維持していくかにかかっています。
この2つのタイプの事業では、セールスの重点が違います。違いとは、お客様に対して「メリット」を中心に伝えるかと、「ベネフィット」を中心に伝えるかです。
例えば、自社のモノやサービスを選んでもらうには、「メリット」を説明することが有効です。つまり「商品説明力」が重要です。
一方、スポーツジムなどお客様が離れやすい業種で、モノやサービスを使い続けてもらうには、継続することで得られる「ベネフィット」を伝え実感してもらうことが必要です。つまり、担当者の「接客力」が重要となります。
お客様へのセールスや接客では、業種やお客様に応じた「メリット」と「ベネフィット」を伝えることが、事業成功のポイントになります。
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神・リピート集客術
メリットとベネフィットの違い
「メリット」と「ベネフィット」は、どちらも「利益」や「恩恵」を意味しています。しかし、セールストークや接客で使うときには、明確な差があります。
1)メリット:その商品(モノやサービス)が持っている機能的価値。商品の「メリット」を伝えることは、その優位性を他との比較により強調する際に有効です。
2)ベネフィット:お客様が、その商品を使用して得られる恩恵。「ベネフィット」を伝えることは、お客様にとっての利益や恩恵、具体的な問題解決や生活の質の向上を強調する際に有効です。
これを、セールストークで使うと以下のようになります。例えば、「メリット」では、
「この車のメリットは、燃費が他の同クラスの車よりも優れている点です。」
「この掃除機のメリットは、他のモデルに比べて吸引力が強く、さらに軽量なことです。」
といったことなります。一方、「ベネフィット」では、
「この車は、燃料費を気にせず家族で長距離旅行やキャンプを楽しむ生活をすることができます。」
「この掃除機により、ダニやカビなどを完全になくすことで、アレルギー症を抑制して健康な生活がおくれるというベネフィットがあります。」
お客様に対して、「メリット」を強調するか、「ベネフィット」を強調するかは、商売の形態やお客様の状況によって違います。
例えば、車を買おうかどうか迷っているお客様には、車を持つことで得られる「ベネフィット」を説明することが有効です。一方、車を買い替えようという人には、その車の「メリット」を伝えることで、自社の車を選んでもらうことに繋がります。
安定顧客型事業は、メリットを示せ
学習塾、リース契約の複合機など、始めにお客様と契約すると継続して利用して頂ける事業では、いかにお客様を集めるかが、事業の成功に直結します。言い換えると、成功はお客様に会社(店)の商品を選んでもらえるかにかかっています。
そこで、重要なことは、提供する商品(モノやサービス)が、いかに優れているかを理解してもらう「商品説明力」です。説明のポイントは、他社の提供するモノやサービスより、自社の提供するものに他より「メリット」があることを伝えることです。単にその商品の持つ、機能、価格、使いやすさなどを伝えるだけでなく、お客様の身になって商品説明をすることも大切です。お客様の置かれた状況によっては、思わぬものがメリットとなっていることがあります。
不安定顧客型事業は、ベネフィットを示せ
スポーツジム、習い事教室など、お客様の気持ちで通うことをやめてしまう事業は、お客様を集めることより、継続して利用してもらう方に力を入れる必要があります。客がリピーターとして継続利用してもらえるかどうかの鍵は、「接客」にあります。それも、商品の優秀さをメリットとして示すことよりも、継続して利用することでお客様が得られるベネフィットを示すことが重要です。
「他より設備の整ったこのスポーツジムに通うのはお得です」
というジムのメリットではなく、
「継続してこのジムに通うことで、健康的な体を得ることできます。自分に自信がでてきます。異性にモテるようになります。」
といったお客様のベネフィットを示すことが大切です。更に接客担当が、お客様と「なりたい姿」を共有できれば、もっと継続する気持ちが強くなります。
せっかくサブスクのサービスを取り入れた商売をしているのに、利用する客が少ない。一部の客は定着するが、多くの客がサブスク契約を継続しないということがあります。これは、サブスク契約することで、「格安である」「利用の優先権がある」といったメリットばかりを示すことに問題があります。サブスク契約をして、継続してサービスを利用することで、お客様の体や生活にどんな変化が期待できるかといったベネフィットを示し、接客担当者と目標を共有できれば、リピート客を維持できることが期待できます。
まとめ
会員制やサブスクを使った事業には、お客様が「リピート客」になりやすいものと、なりにくいものがあります。それは、
1)安定顧客型事業
2)不安定顧客型事業
です。安定顧客型では、お客様に商品の「メリット」を示す「商品説明力」が重要です。一方、不安定顧客型事業では、お客様の得られる「ベネフィット」を伝え実感してもらえる「接客力」が重要になります。