ムダな「過剰な気遣い」をやめるには、「やめるルール」を示すこと
ムダな「過剰な気遣い」をやめるには、「やめるルール」を示すこと
ムダな「過剰な気遣い」をやめるには、「やめるルール」を示すこと
メールやチャットに書かれている
「お世話になっています・・・」
「お疲れ様です・・・」
といった言葉は、それ自体にあまり意味はなく、相手に対する気遣いとして使われています。たいした手間ではありませんが、使っている全ての時間と手間を集めると結構なムダとなっています。他にも慣習的な手紙、例えば役員交代時の挨拶、株主総会終了時の挨拶などを書面で送る会社が多数派です。伝えるべき内容は、1、2行なのですが、それなりの長文の挨拶が添えられています。これらもムダと思いつつ、「やめられない」という事例です。
「やめる」ことが、ムダ排除に有効と分かっていても、相手を気遣って「やめられない」ということは、仕事や生活で溢れています。例えば、年賀状を出すのをやめたのに相手から来たので、相手を気遣って返信として年賀状を出す。翌年は、年賀状が前年来た事を覚えていて、出したら元旦に相手から来ない。ところが、数日して相手から返事としての年賀状が来たといったバカバカしいことになった経験があります。
仕事や日常生活において、ムダと感じ「やめたい」と思っていることを「勝手にやめた」と思われたくない気遣いから、やめられないという「過剰な気遣いによるムダ」をやめるコツがあります。それは、
「ムダとわかっている行為をやめたい時、相手に『やめるルール』を示すこと」
です。最近は、
「退職を機に、本年をもって年賀状を出すことをやめます。」
などと宣言して、最後の年賀状を出される方がいます。この宣言は、自分の「やめるルール」を相手に示しています。同様に職場の「やめるルール」を相手に示すことで、「過剰な気遣い」によるムダを省くことができます。
「やめるルール」を相手に示すことで、「過剰な気遣いによるムダ」を省く例をご紹介します。
1)メールやチャットの不要な「気遣い」
2)「気遣い残業」の禁止宣言
3)会議への「気遣い出席」
他にも、過剰な気遣いによって「やめられない」ことが多々あります。今やっていることが、「過剰な気遣い」によるムダな行動なのか、本当に必要な行動なのかを見極めることが大切です。
この記事は、身の回りにある「過剰な気遣い」による「やめられない」ことについて考えます。
メールやチャットの不要な「気遣い」
冒頭の例に挙げたメールにおける相手への「お疲れ様」や「お世話になります」といった決まり文句は、要件をのみを書くことで、相手に抵抗感が生まれるのを気遣って本文の前後に加えられています。
要件のみを伝えるには、Lineやslackなどチャットを利用することが適しているはずですが、気が付くとチャットであっても「お疲れ様」とか「よろしく」の文字が並んでいます。
ある会社では、
「社内文書、社内メールでは、敬称や形式的な挨拶文句の使用をやめる」
との「やめるルール」を出しました。社員の多くも、そう思っていたのか、その後メールは簡潔になっています。
会社によっては、全社的に「さん付け運動」をしているところがあります。メールに「○○部○○課△△殿」などと書くことは、書くこと自体手間がかかります。また、もし会社名や部署名が間違っていたら失礼に当たるので、初めてや久しぶりに連絡を取るときは、部署名や役職が正しいかどうかの確認が必要になります。
ある会社では、メールには、定型文として
「弊社におきましては、『さん付け運動』を実施しており、役職名や敬称を略させていただきます。」
が入るようにして、「やめるルール」を外部に示しています。これによって、「さん付け」実施率は、ほぼ100%です。
ただし、注意点があります。もともと「さん付け運動」は、社内の風通しを良くする目的で、かなり以前から実施していた会社があります。社内の会話において、
「○○部長」「△△課長」
と役職名を言わず、
「○○さん」「△△さん」
と呼ぶようにしようというものです。ところが、「役職者の自覚が希薄になる」「組織の役割意識がなくなる」といった弊害を指摘する声も多く、文書の簡素化にはなりますが、組織運営上は、弊害もあることを認識する必要があるようです。
参考記事:「役職者を『さん付け』する会社が崩壊するワケ」
「気遣い残業」の禁止宣言
極めて日本的な「気遣い」として、上司や同僚が会社に残っている中、「先に帰ることに気が引ける」といった「気遣い残業」をしている例があります。多くの会社には、残業について、
「残業は、上司の許可をもって行うこと」
といった社内規程があるはずですが、実際には本人の判断で残業している例が多いようです。上司が、残業のルールについて曖昧にしていることが、「気遣い残業」の原因です。明確に
「今日は、この仕事の関係者以外は、残業をしてはいけない」
といった「やめるルール」を示すことがムダな残業削減には有効です。
他にも、仕事が終わっているのに、定時まで会社いるといったことがあります。定時まで会社にいることが給与の支払い条件になっている職場では仕方がないことではありますが、テレワークなどが普及したことなどを考慮して、ルールを変えても良いかも知れません。
例えば、
「仕事が終わったら定時前でも帰宅を許可する」
といったルールを作ることです。これで、仕事がないのに定時まで会社にいるといったムダがなくなります。人は、時間があると自分で何か仕事を創り出します。あるいは、必要以上に丁寧に仕事をして与えられた時間を使い切ります。
仕事が済んだら帰宅する仕組みは、一種のジョブ型労働を意味しています。生産性向上の意味からも検討の余地がある「しくみ」かも知れません。
会議への「気遣い出席」
会社や組織では、多くの会議が行われています。大企業の幹部社員では、仕事の半分は会議への出席という方も珍しくありません。
会議へ出席し、有用な情報を得たり、意見を出したり、決定に参加できればいいのですが、単に出席しているだけの人もいます。本人が出席することがムダと感じていても、「勝手に欠席した」と思われたくなく「気遣い出席」を続けることになります。
あるシステム部門の担当者Aさんは、いつもこう嘆いていていました。
「何の会議でも、システムに絡むことがあるかも知れないというので、『念のため』に会議に出席してくださいと依頼されるのですが、ほとんどの会議で発言することはありません」
というのです。本心は、会議のメンバーから外して欲しいのですが、主催者から毎回案内があると、出席を拒絶できないと言います。
Aさんのように会議の案内を受けた側から出席を拒否することは、言いづらいものです。会社のルールとして、会議メンバーの人数制限などルールを明確化することで、ムダな出席者を減らせます。
会議の出席者制限、会議時間の制限などをルール化することは、会議を効率化するためにも必要です。ある会社で、
「会議は、7名以内で、最大1時間まで。それ以上の人数、時間の会議は、部長に許可を得ること」
と宣言した部長がいました。混乱が心配されましたが、その後スムーズな会議運営がなされています。
まとめ
「やめるルール」を示すことで、「過剰な気遣い」によるムダを省くことができます。例えば、
1)メールやチャットの不要な「気遣い」
2)「気遣い残業」の禁止宣言
3)会議への「気遣い出席」
などです。今やっていることが、「過剰な気遣い」によるムダな行動なのか、本当に必要な行動なのかを見極めることが大切です。