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「客層」と「顧客満足度」から考える、商店や企業が「突然顧客を失う」3つの理由

 
客層の違いのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「客層」と「顧客満足度」から考える、商店や企業が「突然顧客を失う」3つの理由

 

「客層」と「顧客満足度」から考える、商店や企業が「顧客を失う」3つの理由

「他の店より安いわけでもない」
「同じものは他からも買える」
それなのに、潰れずに何十年も続いている商店や企業が、どんな町にもあるものです。それは、お客様にこの店から「買う理由」があるからです。言い代えると「この店に満足している」ということ、つまり「顧客満足度」が、確保されているということです。
「顧客満足度」(CS= Customer Satisfaction)とは、顧客の商品(モノやサービス)に対する期待値と実際に商品を使った時の感覚の差で判断されます。商品がモノであれば、品質、納期、価格といった項目で判断されます。更に、感情的な要素である接客、信頼といったものが満足度の測定項目に加えられます。
「顧客満足度」は、顧客の持つ期待度によって変わります。期待度は、競合店の商品によって変わります。競合店が、大幅な値下げをしたり、接客サービスを改善したりすれば、期待度が上がります。これに対して、何もしなければ、顧客満足度が下がり「突然顧客を失う」ということが起きかねません。
「顧層」「顧客満足度」から考える、商店や企業が「突然顧客を失う」3つの理由があります。
1)自社の客層を正しく把握していない
2)自社の顧客が「何に満足していか」を知らない
3)客層に合致しない商品を提供している
ビジネスは、提供する商品と顧客との関係で成り立っています。商店や企業が「顧客を増やせない」、あるいは「突然顧客を失う」のは、提供している商品が顧客を満足させていないからです。その原因が、商品にあるのか、客層の変化なのかを把握することが重要です。

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自社の客層を正しく把握していない

「客層」という言葉があります。「客層」とは、モノやサービスといった商品を購入する人達の階層です。例えば、性別、年齢、職業、所得などで顧客を区分したものです。「若者向けの店」「富裕層相手の店」「高齢者向けの店」といった具合です。
客層は、提供者側が意図的に作り出す場合と、結果的にそうなった場合とがあります。初めから裕福な外国人観光客を狙ったホテルがある一方で、SNSに投稿された写真がきっかけで、突然多くの外国人が来るようになった旅館があるといったことです。
自社の客層を詳細に把握できれば、客層に会ったモノやサービスを提供でき、結果として顧客満足度が上がり売上も増えます。顧客満足度は、マスコミやSNS、評判として拡散し、結果として益々繁盛します。
客層として、性別、年齢層、外国人といったことは、容易に把握できます。しかし、一見しただけでは、分からない要素の客層があります。例えば、来店する客が、店からどのくらい離れた場所に住んでいるかは、簡単に知ることはできません。車で来店するお客様なら、歩ける範囲をこえているだろう位は想像できます。しかし、正確に知るには、店の会員登録などを利用して、住所を直接聞くしかありません。会員登録をしてもらって、店に来るお客様が、案外遠くからきているとか、職場が近いところにあるとかがわかり、客層として把握できます。
ところが、そんな詳細を調べもせず、客層を思い込みで決めつけてしまっている経営者がいます。
私の住んでいる町には、全国展開しているスーパーマーケットがいくつもあります。そんな中、地元の老舗スーパーマーケットがあります。そんな小さいながらも長く経営している店主のAさんと話をしたことがありました。Aさんは、
「うちの店は、徒歩や自転車に乗ってくるような近所の方、それも高齢者が多いので、やっていけるのです」
と言っていました。その時思ったのは、確かに徒歩や自転車で来る客は多いのですが、車で来る客もいます。高齢者だけでなく、子連れの若い人達も見かけて、不思議に思っていました。
それから、しばらくして1キロほど離れたところに大手のYスーパーが開店しました。すると、たちまち客を奪われて、経営が怪しくなっていきました。それまでも、大手のスーパーEが、500メートルも離れていないところに出店したのですが、大した影響がありませんでした。ところが、今度のYスーパーは1キロほど離れているのに、客を奪われてしまったのです。
後で気づいたことではありますが、スーパーEの店は極近くにありましたが、Aさんの店との間には、幹線道路と鉄道がありました。特に鉄道は高架ではなく、線路を横切るのに狭い踏切を渡る必要があります。一方、Yスーパーは、スーパーEより距離的には遠いのですが、Aさんの店と同じ線路の北側でした。この町では、線路を挟んで北と南では、顧客の行動が違うのです。線路の南の顧客は、線路を超えてAさんの店には来ていなかったのです。線路の南にスーパーEが開店しても客が減らなかったのはこのためでした。ところが、Yスーパーは、線路の北側、Aさんの店と同じ側に出店したことで大きな影響を受けたのでした。残念なことに、Aさんは自店舗の客層は、単純に「店の近くの人」と思い込んでいたことで、線路北に開店したYスーパーに客を奪われることになってしまいました。

自社の顧客が「何に満足しているか」を知らない

自社の商品(モノやサービス)を長く買ってもらえるお客様は、満足する「何か」があるからです。ところが、その「何か」を知らない、或いは間違って理解していることがあります。
ある金属部品のメーカーの社長が、
「弊社は、高い技術力で大手自動車メーカーから長年部品を受注しています」
と売り込みに来られたことがありました。お聞きするところ、決して安い単価ではないが、高い技術力で長年受注してきたそうです。
ところが、1年ほどたったころ、この社長のもとに、自動車メーカーから「減産の影響で部品の購入を打ち切ります」との連絡が入りました。納入量の変化は、これまでも度々あった話でしたが、発注量ゼロは経験がありません。自動車メーカーに理由を問うと、「その部品を社内で作ることにした」とのことでした。社長は、自社の「高い技術」が、顧客の高い満足を得ていたと思い込んでいたのですが、あっさり内製化されて愕然としてしまいました。
この会社では、毎年顧客に対するアンケートを実施、いつも「技術力◎」「価格〇」「納期〇」という結果が続いていました。結果にウソはありません。しかし、自動車会社の「内製化」というライバルとの比較で見ると、どの項目も同等という評価だったのしょう。この会社が自動車メーカーに重宝されていたのは、内製と同じ技術レベルを持っている上に、供給量に自由度があるということでした。供給量ゼロを含めて、必要な量だけ供給してくれることが、顧客である自動車メーカーにとって最大の満足ポイントだったのです。この会社の社長は、自社が自動車メーカーにとって「欲しい時に欲しいだけ買って、要らなくなったら切り捨て可能」という位置付けに気付いていなかったのです。
いま商売ができている商品の「何が」顧客を満足させているかを正しく理解していないと、状況の変化で思わぬ危機に陥る可能性があります。(ラッキーもあるかも知れませんが。)

客層に合致しない商品を提供している

提供している商品が、顧客を満足させなければ、顧客は去っていきます。逆に提供している商品に高い満足感を持つ人が増え、客層として定着していきます。
商売を安定させるためには、狙った客層に合致した商品を提供することが大切です。客層に合っていない商品(モノやサービス)は、変えていかなくてはなりません。変えなければ、客を失うか、客層が変わります。
韓国に頻繁に出張していたころ、食事をするのに目新しさを求めて開店したての飲食店に通って気付いたことがあります。本格的な和食店、中華料理店とのふれこみで開業した店は、当初日本人や中国人が多く来店します。店は、日本や中国で食事をするような料理やサービスを提供しています。ところが、半年も経過すると、ほとんどの店が、いきなり食べ放題のキムチを出すようになります。そして、来店する客は韓国人に代わっていました。キムチを出すのが先か、韓国人客の増加が先か分かりませんが、客層が韓国人中心になると、提供される料理やサービスが韓国風になっていました。
逆に日本にある韓国料理も中華料理も日本人客がメインであれば、日本風の味やサービスに変化しているはずです。これは、客層に合致した商品でなければ、ビジネスの継続は難しいという事例です。

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まとめ

「顧層」「顧客満足度」から考える、商店や企業が「突然顧客を失う」3つの理由があります。
1)自社の客層を正しく把握していない
2)自社の顧客が「何に満足していか」を知らない
3)客層に合致しない商品を提供している
商店や企業が「顧客を増やせない」、あるいは「突然顧客を失う」のは、提供している商品が顧客を満足させていないからです。その原因が、商品にあるのか、客層の変化なのかを把握することが重要です。

参考記事:「品質」、「コスト」、「納期」(QCD)の優先順は、お客様によって決まるもの

「売れない」「お客が来ない」と嘆く前に、潜在顧客を掘り起こせ!

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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