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「危機的状況は、人を成長させる」というのは、本当か?

 
危機的状況の部下を見守る上司のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「危機的状況は、人を成長させる」というのは、本当か?

 

危機的状況が、「人を成長させる」機会を与えてくれる3つのこと

様々な分野で成功した人に聞くと
「危機的状は、人を成長させる」
という主旨の言葉が返ってきます。本当にそうなのでしょうか?
まず、「危機的状況を乗り切る能力を持った人だから成功したのではないか?」との疑問が湧きます。正しくは、
「危機的状況を乗り越えることができた人は、成長する」
というべきかも知れません。本当は、危機的状況を乗り越えるケースより、危機的状況に沈んでしまうケース(「失敗」とも言う)の方が多いのではないかと思います。すると、
「失敗を経験した人は、成長する」
という言い方もできます。
危機的な状況に遭遇し、命を落とすような再起不能な状態に陥らない限り、人は成長するチャンスがあるといえます。結論は、
「危機的状況は、人を成長させる機会を与えてくれる」
ということです。
危機的状況に遭遇し、これが成長の機会となるのは、以下のようなことです。
1)創造性や革新性の発揮
2)人間関係の構築
3)精神的成長
危機的状況で、上手に乗り切るか、沈んでしまうかは別として、上記のような成長の機会を与えてくれます。危機的な状態のときは、対応で精一杯ですが、後から振り返ったとき「成長の機会を与えてくれた」と思えるような教訓を得たいものです。

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創造性や革新性の発揮

危機的状況に陥ったとき、通常の手段では乗り越えられません。「非常事態」ということで、普段行わないような対応が必要になります。リスク管理の中で、あらかじめ想定されている「危機」なら、どう対応するかは分っています。ところが、想定外のことであれば、いきなり「応用問題」が待っています。
この状況こそ、危機的状況が「成長の機会」を与えてくれると考えることです。危機的状態から脱出するためには、創造性や革新性を発揮して、対策を考える必要があります。これまで、やっていたことを変えなくてはなりません。
例えば、コロナ禍をきっかけに「リモート会議」「リモートワーク」が広がったこと。「脱ハンコ」」が進んだのも、危機的状況に陥ったことがきっかけです。もともと、「良いと分かっていたこと」が、何かの理由でできないでいたことも、危機的状況がそれをする機会を与えてくれます。
かつて私は「自動車用材料の生産ラインにおいて、ステンレス製の薬剤タンクを破損して生産がストップしたこと」があります。薬剤タンクは修理不能で、新調すると2~3週間かかるといいます。このラインでは、自動車会社向けの材料を生産していて、あと数日この状況が続くとお客様の生産ラインが止まります。自動車会社の生産ラインを止めれば、1日数億円の機会損失が生まれます。工場として「危機的状況」というより、「危機」そのものでした。
関係者が集まって、様々な知恵を出しましたが、最終的には、近くのホームセンターから最も大きなバケツを10個以上買い集め、同数の水中ポンプをビニールホースで連結させて、危機的状況を脱出したことがあります。危機的状況において、工業用の製品に家庭用品を当てるという発想の転換が、危機的状況でせきたものでした。

人間関係の構築

危機的状況から脱出するのに、自分だけ自社だけの努力では乗り越えられないことが多くあります。そんなとき他社の協力や連携が不可欠です。他者からの支援、協力やコミュニケーションを通じて、新たな人間関係が築かれます。
危機的状況に陥ったときは、人間関係を深めたり、広めたりする絶好の機会です。実際、
「危機的状況を通して、家族や職場の絆が生まれた。」
「危機的状況にあったとき、他社から助けられた。」
といった話をされる経営者の方が多くいます。それまで、浅かった人間関係、知らなかった人間関係を構築できる機会であり、その後長く付き合いが続くこともあります。
また、SNSが普及した現在、
「初めて住む土地で、○○で困っています。誰か、助けてください」
なんて投稿すると、解決策を教えてくれる人が現れるものです。
危機的状況を周囲の人、或いはSNSを使って多くの人と共有することができ、人間関係構築ができます。

精神的成長

危機的状況を正面から向き合うことで、問題解決能力や対処能力を向上させ、困難に立ち向かうスキルを磨く機会になります。更に強いプレッシャーのかかる中での対応であり、精神的な面での成長の機会となります。危機的状況に直面すると自分(自社)の強さや弱さを見つめ直し、自己認識が向上します。
私は、勤務していた会社で、品質に関する不祥事が発生し、官庁や多くの顧客から「取引停止」を通告されるという事態を経験したことがあります。記者会見における記者からの辛辣な質問、容赦ない新聞やテレビなどマスコミからの批判。関係する社員のみならず、他の部署の社員、家族まで、世間からの強い風当たりを感じずにはいきませんでした。
その時、精神的に助けてくれたのは、ベテランの社員や幹部です。
「あの時に比べたら何でもない!」
「正直で誠実であれば、いずれ世間も許してくれる。」
そんな言葉が、苦悩している社員を救ってくれました。理屈ではなくベテランの体験談は、大きな説得力を持ちます。内容的には異なる危機に直面しても、「うまく乗り切った」、「うまく行かなかったが、生存している」ということが、自信になります。この自信は、次の危機的状況において、自分自身を励ますだけでなく、他の人を励ます力になります。

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まとめ

危機的状況は、人を成長させる機会を与えてくれます。そして、これが成長の機会となるのは、以下のようなことです。
1)創造性や革新性の発揮
2)人間関係の構築
3)精神的成長
危機的な状態のときは、対応で精一杯ですが、後から振り返ったとき「成長の機会を与えてくれた」と思えるような教訓を得たいものです。

参考記事:「若い時の苦労は買ってでもせよ」とは言うが、「苦労」自体に価値はない!

「ツキ」は運、「流れ」は実力。「ツキ」に頼らす「流れ」を待つこと

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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