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ライバルを一瞬にして葬り去る「レッテル貼り」の怖さと有効活用術

 
レッテルを貼る人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

ライバルを一瞬にして葬り去る「レッテル貼り」の怖さと有効活用術

 

「レッテル貼り」の影響

「山下君(仮名)は、マザコンか」
これは、上司が冗談のつもりで放った一言でした。すると、「山下君はマザコン」が勝手に社内に広がり、彼は精神的に追い詰められノイローゼ気味になり、その後職場を去ることになりました。これは、実際に私が職場で体験した「レッテル貼り」の怖さです。
「あの会社は、『問題を起こす会社』ですから、信用しない方がいいですよ」
ライバル会社が営業活動なかで、意図的にライバル会社に張り付けた「レッテル」です。レッテルを貼られたのは、私のいた会社。このレッテル貼りで、社員の受けた精神的なダメージ、「レッテル」を剥がすための労力と時間は計り知れませんでした。

「レッテル貼り」とは、物事を1つの型にはめ込んで、全体を一括りに判断することです。「レッテル貼り」には、他人に対して「真面目」や「几帳面」「ほがらか」などプラスイメージを持つものと、「臆病」「嘘つき」といったマイナスイメージを持つものがあります。先に挙げた「マザコン」「問題を起こす会社」は、マイナスイメージを持つレッテル貼りです。マイナスイメージを持つレッテル貼りは、大きな力を持ちます。時として、最初に発した人の想像超えて拡散し、相手に取り返しのつかないような大きなダメージを与えます。

SNSで「炎上」するのは、一種の「レッテル貼り」現象です。ある人がSNSに投稿したとき、その内容よりも投稿者に関心が高まることがあります。そして、「あの人は、○○な人」といったレッテルが貼られると、一気に炎上してしまいます。日本人は、議論をする時、内容と人格とを区別することが苦手です。SNSへの投稿に対して、内容ではなく、発信者の人格にレッテルを貼り、発信者を極端に「いい人」か、極端に「悪い人」に区別してしまうことが起きます。

レッテル貼りには、意図的なものとそうでないものがあります。意図してライバルにマイナスイメージのレッテルを貼って葬り去ることもできます。外交の場で繰り広げられるプロバガンダは、まさに国どうしの「レッテル貼り」合戦です。
「〇〇は、現代のヒトラー」
なんて叫んでいる大統領や首相が、あちこちの国にいます。
この記事では、「レッテル貼り」の影響、広がる理由について、職場の事例などから考えてみました。


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貼った「レッテル」が広がる条件

そもそも「レッテル」という言葉は、広辞苑によるとオランダ語で「letterです。文字や商品名の意味。英語では、ラベル(label。文字通りに解釈すれば、「レッテルを貼る」とは、人や組織に対して「キャッチコピーを書いた札(ふだ)」を付けることです。ただし、これは見えない札です。必ずしも、すべてのレッテルが広がるわけではありません。貼った「レッテル」が広がり定着するには、いくつかの条件があります。例えば、以下の2つです。
1)多くの人が感じていることと「レッテル」が合っている
2)その「レッテル」が多くの人にとって「都合がいい」、「願っていること」である
レッテルが広がるのは、そこに広める人々の心理があります。人々が思っていることと全く相いれないレッテルは、いくら貼っても広がることはありません。皆が「なんとなく」感じていること、思っていることが「レッテル」になると明確になり、人々の間で定着します。

不用意なマイナスの「レッテル貼り」が、深刻なダメージを与えた例

先ほど例に上げた山下君(仮名)についたレッテルの話をします。
山下君は、当時私の職場にいた大学を出て4年目の若手社員でした。背の高いすらっとしたイケメンのエンジニア。両親と同居しており、自宅から通勤していました。家が裕福なのか、入社3年目で買った車が高級外車で、皆驚いたものです。真面目な性格で、職場の忘年会では、次年度の抱負として
「命を懸けて、いい製品を作ります!」
と彼は宣言していました。私がからかって
「たかが、クルマの部品を作るのに命を懸けることもないだろう」
と言うと、
「あなたは、仕事をその程度にしか考えていないのですか」
と怒ったことに、皆ビックリした記憶があります。
ある時、彼は残業で帰宅が遅くなっていました。夜の8時頃、彼の母親から会社に電話がありました。
「内の子の帰宅が遅いのですが、会社で何かあったのでしょうか?」
そんな内容でした。会社の代表電話にかかってきて、たまたまその時間にいた人事部の人間が電話を受けました。
「工場で事故などの報告も上がってきていません。たぶん残業されているのでしょう」
そう答えて、終わりました。翌日になって、人事部から製造部長に母親から電話があったことが報告されました。社員の長時間労働が問題になっていることもあり、製造部長はイラっとして発したのが、
「山下君は、マザコンか」
という言葉です。不幸なことに、多くの人がこの言葉を聞いていました。日ごろから彼の几帳面な行動や、「あの外車は、親に買ってもらった(?)」ことなどが、社員のベースにあります。たちまち、「山下はマザコン」という「レッテル」が広がりました。そして、この言葉が、本人に耳に入り、そのことを気にするようになり、次第に追い詰められていきました。

プラスイメージの「レッテル貼り」が得意な人事課長の例

人事課長のAさんは、仕事柄入社してくる社員全員のことを知っています。入社後の社員フォローとして、各職場に顔を出すことがあります。そのとき、
「『頑張り屋の○○君』は、今日も元気だね」
「今日も、『細かいところまで気が付く△△さん』らしい仕事をしているね」
などと声をかけてまわります。すべてプラスイメージのレッテルを貼りまくります。どこまで、本人を正確に言い表しているかわかりません。しかし、レッテルを貼られた本人もそう思い込むのか、不思議と付けられた「レッテル」のような仕事ぶりをするようになっていきます。
「レッテル貼り」について、1960年代に社会学者のハワード・ベッカーが「ラベリング理論」として整理しています。ラベリング理論によると、人の行動はその人に貼られたレッテルが大きく影響しているといいます。例えば、「私の上司は頭がいい」「彼は素行が悪い」など、人の人格や性格、アイデンティティにレッテルが貼られた場合、レッテル貼り自体が、その人の行動に大きく影響するというものです。Aさんがこの理論を知っているかどうかわかりませんが、彼の貼りまくるプラスイメージのレッテルは、人を育てるのに大いに役立っていることは事実です。

ライバルへのマイナスイメージの「レッテル貼り」は「禁じ手」

意図的にライバルの人物や商品、企業に対してマイナスイメージの「レッテル貼り」をすることで、自分が優位に立つことができます。しかし、これは「禁じ手」と考えるべきです。
先ほど例に挙げた「問題を起こす会社」とのレッテル貼りをして営業していた会社に対して、
「あの会社は、これまでも他社のトラブルを誹謗(ひぼう)して、商売をしてきた」
「他社を汚く罵って稼ぐ会社」
そんな声が、当社と長い付き合いの顧客から広がったのです。すると、逆に当社にマイナスイメージの「レッテル貼り」をしていた会社が、レッテルを貼られる立場です。
マイナスイメージの「レッテル貼り」をライバルに対して意図的に使うことは、とても危険です。そんな「汚い手を平気で使う人、企業」というレッテルが貼られるリスクがあります。個人、企業にとって仕事や商売をする上で最も重要な「信頼」という財産を失う可能性があります。
ライバルへのマイナスイメージの「レッテル貼り」は、「禁じ手」と考えるべきでしょう。

まとめ

「レッテル貼り」とは、物事を1つの型にはめ込んで、全体を一括りに判断すること
レッテル貼りには、意図的で有る無しに関わらず、2つのタイプがあります。
1)プラスイメージを持つ「レッテル貼り」
2)マイナスイメージを持つ「レッテル貼り」
また、貼った「レッテル」が広がり定着する条件があります。
1)多くの人が感じていることと「レッテル」が合っている
2)その「レッテル」が多くの人にとって「都合がいい」、「願っていること」である
レッテル貼りは、貼られた人、企業に大きな影響を与えます。誹謗中傷に近いレッテル貼りは、ブーメランのように貼った人を襲うことがあり、「禁じ手」と考えることです。

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