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モノを売るために知っておきたい、お客様の2種類の買う理由

 
「買う動機」のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

売るために知っておきたい、お客様の2種類の買う理由

 

モノを売るために知っておきたい、2種類の買う理由

「いくら店頭に多くの商品を揃えても売れない」
「通販サイトに商品を出しても売れない」
そんな言葉を経営に苦しんでいる商店主から聞きます。一方で、SNSで話題になって突然売れたり、品不足の噂が流れて店から商品が消えてしまったりすることもあります。お客様がモノを買うのは、品物が魅力的、性能がいい、店が気に言っている等々、様々な理由があります。しかし、その前に「買う動機」が必要です。お客様は、どんなモノを買うか決断する前に、買うこと自体をやめることだってあります。買う理由には、2つの種類があります。
1)快適な生活をしたいために買う
例えば、高級なレストランで食事をする、グレードの高い車に買い替えるなど。
2)嫌なこと、不安なことを回避するために買う
壊れた家電を買い替える、万一のために保険に入るなど。
自社で売っているモノがどちらのタイプか。あるいは、お客様が今どちらの理由で買おうとしているのか、知っておくことが商売には有効です。
「快適な生活をするために買おう」というお客様には、その商品を買って使った時の快適さを想像させるセールトークが効果的です。お客様は、益々買いたくなります。「不安回避で保険に入ろう」とする人には、最近の癌治療における高額な費用を説明するとよいかもしれません。
お客様に買ってもらうためには、「お客様の買う理由」と「売るモノ」をマッチングさせるセールストークが成功の秘訣です。


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人が行動を起こす2つの動機

人が何か行動を起こすとき、心理学では2つの動機があると言われています。行動を起こす理由、つまり「動機」には、「快追及型」と「不快回避型」とがあります。(以下の記述は、「快・不快:脳科学辞典」を参考にしています。)

快追求型とは、「こうなりたい」という動機です。快追及型の動機は、喜びや楽しみを原動力として、「こうなりたい」との思いから行動を起こそうとするものです。快追及型の動機には、脳内物質のドーパミンが関係しています。
ドーパミンは、目標を達成したとき、褒めてもらったとき、楽しいときに分泌され、快の刺激をもたらします。なお、ドーパミンには中毒性があり、脳はある行動をとれば快の刺激を得られることを学習すると、また同様な刺激を得ようとする行動を求めます。

一方、不快回避型動機とは、「こうなりたくない」という動機です。不快回避型動機は、恐怖や不安を原動力として、「こうなりたくない」との思いから生じるものです。不快回避型動機には、脳内物質ノルアドレナリンが関係しています。
ノルアドレナリンは、恐怖や不安などのストレスを感じると分泌され、心拍数が上がり、脳が覚醒します。ノルアドレナリンは、闘争逃避ホルモンとも呼ばれます。

この2つの動機は、そのままモノを買うときの動機に繋がります。脳内物質ドーパミンを出させるような動機が快追及型消費であり、ノルアドレナリンを出させるような動機が不快回避型消費です。

 

「快適な生活をしたいため」に買う

快追及型の動機に基づく買う理由は、「快適な生活をしたいため」です。それを買うことで、快適さや楽しさ、優越感などが得られると思えるという消費です。
ブランド品など高級品を売る場合、お客様に購入後の自分をイメージしてもらう言葉が有効です。ブランド品を身に着けて、ふさわしい場所にいく。演劇で感動を味わうといったイメージを抱かせることです。
アドレナリンの中毒性に注目すれば、観劇やイベントに一度参加して、感動すればリピーターになってもらえます。ディズニーランドやUSJのリピーターは、快追及型の消費者です。

 

嫌なこと、不安なことを回避するために買う

不快回避型の動機に基づく買う理由は、「嫌なこと、不安なことを回避」です。それを買うことで、嫌なことや不安なことを回避できる消費です。
保険は、不快回避の代表的商品です。医者に診てもらうことも同様です。また、同じ家電製品でも、グレードアップが目的で買うならば、快追及型であり、故障による買い替えであれば、不快回避型の動機です。
不快回避型の消費は、「買わざるを得ない」状況であり、強い動機です。例えば高級家具を買うという快追及型の消費においても、買ったあとの快適さではなく、買ったあとのカネの支払い負担を持ち出すと動機が弱くなり、購入を止めることも有り得ます。
お客様が、同じ高級家具を買うか迷っているとき、その家具の製造中止など希少性を強調して、「これが○○製作所最後の椅子です」などと話すと、買う気持ちを止められなくなることもありえます。

なお、不快回避型の消費動機を利用して、あえて品不足状況を演出すること。例えば、元売りの買い占めや売り惜しみなどは、たとえ有効でも独禁法などで禁止されています。同様に「品不足のデマ」「高齢者に対して、不安を煽った詐欺」なども、不快回避動機を使った手口ですが、もちろんしてはいけないことです。

まとめ

モノを売るとき、お客様に2つの「買う動機」があることを理解することが有効です。買う理由には、2つの種類があります。
1)快適な生活をしたいために買う
2)嫌なこと、不安なことを回避するために買う
これは、心理学の快型動機と不快回避型動機に基づくものです。これを営業に活かすには、お客様に
① 快型動機には、購入後の快適さをイメージ
② 不快回避型には、購入による不安解消
を説明することが有効である。
参考記事:お客様満足度100%の「自分へのご褒美」ビジネスを見つけよう

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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