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最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」

 

マーケティングの4Pで重要なのは、プレイス戦略

「モノやサービスを効率よく売りたい」
「何もしなくても自然にモノやサービスが売れるようにしたい」
ビジネスしていれば、こう思うものです。これが、マーケティングです。マーケティングの教科書には、4つのPがあると書かれています。
4Pとは、以下の要素です。
① Product(製品・プロダクト)
② Price(価格・プライス)
③ Place(流通・プレイス)
④ Promotion(プロモーション・販売促進)
私は、このなかで、「プレイス」が、実際のマーケティングでは重要であり、大きなモノやサービス、企業の有効な「差別化」要因になると考えています。

商品や価格では、他社と大きな差をつけることは、実際には難しいことです。ユニークな商品、ブランド、激安戦略、インパクトのある広告による成功が、マスコミに取り上げられ、マーケティングの本に事例として載っています。これらの例は、稀な成功例です。
現実に売られている多くのモノやサービスの機能や品質に大きな差はありません。価格も何倍もの差が付けられません。しかし、売れるモノやサービスに差がでるのが、プレイスです。

人通りが多い場所の飲食店は、繁盛します。本を売りたければ、書店の入口付近に平積みすることが知られています。スーパーでは、客の動線に沿った目の高さが売れます。テレビ番組でも、放送時間がよければ、視聴率が稼げます。これが、プレイス戦略です。プレイスを「流通」と訳すことから誤解が生まれています。プレイスとは、売る場所と時間です。
プレイス戦略により差別化できる理由は、3つあります。
1)ベストプレイスは、空間的にも、時間的にも限られている
2)プレイス争奪戦には、時間と金、そして知恵がいる
3)ベストプレイスは、変化する
現代は、良いプレイス(ベストプレイス)を押さえることが、ビジネスの成功に直結しています。
ユニークな商品も時間ともに他社が模倣して平凡な商品になります。激安で成功するのは、業界で1、2社だけです。4Pのうち、プレイス以外で得た成功の継続は、とても困難です。よくユニークなモノやサービスで成功した店や企業がマスコミ等で紹介されていますが、その後ブームで終わることもしばしばあります。成功の後に繁栄を継続させるには、「自社のプレイス」を作り上げられるかどうかです。差別化したモノやサービスを開発し続けること、価格を下げ続けることは、至難のことです。
この記事では、プレイス戦略が、自分の経験から最強の差別化戦略であることをお伝えします。



「ベストプレイス」は、空間的にも、時間的にも限られている

モノが売れる場所は、限られています。スーパーマーケットや書店といってもベストプレイスは限られています。飲食店を銀座や大阪北新地に出せば、高い価格帯でも人が来ます。ネットにおいても、検索する入口は、ヤフーやGoogleが押さえています。これらは、「空間的ベストプレイス」です。
「時間的ベストプレイス」もあります。通勤通学時間帯の駅ナカや駅前のコンビニはにぎわっています。昼食時間帯のオフィス街の弁当屋さん、キッチィンカーもにぎわっていますが、この時間が終われば、急激に客が減ります。通勤時間帯や昼食時間帯が、ベストプレイスです。

空間的ベストプレイスも、時間的ベストプレイスも有限です。空間は、交通網の変化などで変わることもあります。時間も、生活習慣の変化で、変わる可能があります。しかし、基本的には、土地の広さは変わりません、1日24時間が変わることはありません。つまり、ベストプレイスは、有限であり、希少価値があるのです。
空間的、時間的ベストプレイスを押さえた者が、ビジネスの勝者になります。ベストプレイスは有限であり、プレイスで得た差別化は崩れにくいものです。

 

プレイス争奪戦には、時間と金、そして知恵がいる

ベストプレイスは、時間的にも空間的にも有限です。販売競争とは、プレイスの争奪戦です。争奪戦には、金や時間そして知恵が必要です。
資金があれば、ベストプレイスを買うことができます。新聞のテレビ欄などに広告を出すのはこの戦略です。一等地に出店できるかどうかは、金次第です。金でベストプレイスを獲得する方法は、確実です。問題は、ベストプレイスに対する対価が適切かどうかです。
一方で、知恵と努力(時間)でベストプレイスを見つけることができます。散髪のチェーン店として発展したQBハウスは、駅構内のトイレ前をベストプレイスにしました。人が多く、ちょっと見出しなみを直すトイレ前を営業のベストプレイスにしました。人々がベストプレイスに気づいていない場所をマイベストプレイスにできるなら、金もかかりません。

どんな名人も魚がいないところで、魚は釣れません。それならば、撒き餌をして魚を集めてベストプレイスにすることができます。かつて鉄道会社は、鉄道を敷設し路線の端に人の集まるデパートを作り、沿線に住宅地を開発しました。自ら、ベストプレイスを作ったのですが、大きな時間と資金を使いました。現代では、アマゾンやGoogleの戦略も自分でベストプレイスをつくる戦略です。
自分の会社にとってのベストプレイスを見つけ、そのために資金と時間、知恵を使うことです。

 

プレイスは、変化する

マーケティングにおいて、最強のプレイス戦略ですが、環境の変化でプレイスは変わります。
かつては、駅前の商店街に店を出していれば売れました。それが、郊外の量販店やショッピングモールに代わりました。いまは、ネットショップで、Googleの検索順上位がベストプレイスです。また、駅の出口の変更、1つのキーワードの登場で、ネット検索順が大きく変わることもあります。
時間的なベストプレイスも変化します。人が夜更かしをするようになったり、コロナ自粛で飲食時間制限があったりで状況が変わります。リモートワークの普及で、通勤者のピークが低くなったり、時間帯の変化が起きます。
自分でベストプレイスを作りだすと同じように、他者がベストプレイスを作り出すこともあります。
「ベストプレイス」は、変化します。店や企業の隆盛、衰退をモノやサービスの変化だけでなく、ベストプレイスの変化と理解することが重要です。


マンガでわかる 新しいマーケティング 一人の顧客分析からアイデアをつくる方法(池田書店)

まとめ

マーケティングの4Pの中で、プレイスが差別化に大きな力がります。
プレイスにより差別化できる理由は、3つあります。
1)ベストプレイスは、空間的にも、時間的にも限られている
2)プレイス争奪戦には、時間と金、そして知恵がいる
3)ベストプレイスは、変化する
現代は、良いプレイス(ベストプレイス)を押さえることが、ビジネスの成功に直結しています。

参考記事:「差別化戦略」を成功させ「より良いものを高く」売るための2つのポイント

「ジョブ理論」から見えてくる必ずしも「安くて良いモノ」が売れない理由

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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