リーダー育成は、部下に「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せることから
リーダー育成は、部下に「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せることから
リーダーが「リーダー育成」のためにすべきこと
「次のリーダーが育たない」
「リーダーにしたい人がみつからない」
リーダーが次のリーダーをそだてられない問題があります。リーダーといっても、社長、部長から班長まで様々ですが、自分の後任候補を見つけ出し、育成することは、企業継続の絶対条件です。
「リーダー育成」、「部下の育成」を本やネット記事を調べると、部下に対する目標設定やコミュニケーションの大切さが述べられています。そして、教育プログラムが紹介されています。たしかにその通りです。しかし、一番有効なのは、リーダーのしている仕事を実際にやらせることです。私は、リーダー育成のカギは、リーダーが部下に
自分の「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せること
と考えています。リーダー候補は、リーダーに成り得るポテンシャルがあると信じることです。彼や彼女に「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せれば、その隠れた力が表に出てリーダーに育っていきます。
これは、自分がリーダーとして育成された体験や部下を班長、課長、部長へと育てた経験から実感したことです。リーダー候補を教育や研修を受けさせましたが、これでリーダーに育ったとは思えません。リーダーは仕事を通して育ちます。リーダー育成、部下育成のポイントは、仕事の任せ方です。
リーダーは、部下に「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せろ
リーダーの役目は、組織目標を立て、これを達成することです。このための計画と管理、仕事配分、コミュニケーションの充実、部下の育成などが、リーダーの仕事です。この中で、特に重要なのが、部下の育成、次のリーダーの育成です。リーダーは、自分の分身となる人材を育てることで、組織を強くし高い組織目標の達成ができます。
次のリーダーを育成するには、自分のもっている「面白い仕事」「楽しい仕事」「やりがいのある仕事」を部下に任せることが一番有効です。
技術系では、例えば新商品の開発、新設備の導入などでしょうか。営業では、大口の優良顧客担当、新商品の拡販などがあります。これらの仕事は、「楽な仕事」ではありません。苦労やスキルが必要な仕事です。でも、「やりがいのある仕事」です。
リーダーの中には、部下に対して
① 自分の仕事のための資料集めなど「上司のための仕事」
② 使われることのない資料作りなど「やる理由のない仕事」
③ 意味のない会議への参加
④ クレームの処理
など「ムダな仕事」「面倒な仕事」を押し付け、自分は「おいしい仕事」である「面白い仕事」「やりがいのある仕事」をしている人がいます。どれも「楽な仕事」ではないので、自分では気が付きません。「自分は、部下のためにこんなにも苦労をしている」と思っています。
私は、課長時代に新鋭設備の計画と制作・工事をしていました。毎日日付が変わるころまで、機械図面や制御図、制作中の機械と格闘していました。ある日、
「その仕事、部下に任せろ。お前が、一番『面白い仕事』『楽しい仕事』をしている」
と部長から叱られたことがありました。その時、ハッと気づいたのです。自分は、確かに苦労はしている。でも、一番「面白い仕事」「楽しい仕事」「やりがいのある仕事」を独占していると気付いたのです。裏には、「自分以外に、この仕事ができる者はいない」との自信過剰があったかも知れません。
次の日から、仕事を極力部下に任せました。一時的には、停滞が発生し関係者にも迷惑をかけました。何よりも、突然任せられた部下が戸惑いました。「面白い仕事」なんて全く感じなかったようです。ただ、「やりがいのある仕事」であることは、感じ取ってくれました。彼は、必死で機械や電気制御の勉強をしていくうちに「面白い仕事」になっていきました。1年後、彼はその設備の第一人者として地位を確保し2年後課長に昇進しました。
リーダー育成を考慮した部下に仕事を任せるポイント
リーダーが自分の部下に彼/彼女の育成を考えて仕事を任せるには、以下の4つポイントをあります。
自分の持っている「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せる
面白い仕事には、技術者なら技術的に「面白い」こともあります。ビジネスモデルを変えるような仕事もあります。ある営業部長Aさんは、接待、懇親会が大好きでした。飲食もありますが、何よりも人に会うことがAさんにとって「面白い仕事」でした。Aさんは、接待や懇親会などに、決まって若手を同伴しました。時には、他社の重役がそろう場面に若手の平社員を代理で出席させていました。翌日、
「○○社長に会ったか。あの人、おもろいやろ」
などと必ずフォローをしていました。Aさんなりの部下育成法です。
部下に、任せた仕事の「やりがい」を理解させる
若い世代では、せっかく「やりがいのある仕事」をまかせられたのに、「上司に仕事を丸投げされた」と誤解する者がいます。仕事を任せるときは、丁寧に仕事の重要性など「やりがい」を説明することです。人は、「やりがい」で頑張れるものです。頑張ってやっていくうちに技量があがり、「面白い仕事」になっていきます。
部下とのコミュニケーションをとる
部下に任せたと言っても、部下にとっては初めてであったり、技量を上回っていたりする仕事です。リーダーは、任せた仕事の進捗フォローは重要な仕事です。隅々まで監視するような姿勢ではなく、適当な距離をおいたコミュニケーションをとることです。
部下の仕事の成果は、部下に与える
部下に任せた仕事の成果は、部下のものです。リーダーの成果は、部下に任せて組織として結果を得たことです。
伝染病研究所所長の北里柴三郎の下で、世界で初めて赤痢菌を発見した志賀潔は、
「この研究は、北里先生の指導でやった研究の成果です。自分でなくとも先生の指導を受けた人なら赤痢菌を発見できたと思います」
と正直に語っています。志賀潔は、論文を北里との共著で発表しようと考えていたようです。当時論文は、本人と指導者との共著が常識でした。しかし北里は、「赤痢菌発見は志賀の業績である」として単独著者での発表を行いました。(日本BD:先人たちの足跡 志賀潔より)
成果を部下に与えることで、リーダーは部下からより大きな信頼を得ることができます。部下は、「○○をした△△さん」として社内外に認めれていきます。北里と志賀の例を見ているとそのことがよくわかります。
まとめ
リーダー育成のカギは、リーダーが部下に
自分の「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せること
リーダー候補には、リーダーに成り得るポテンシャルがあると信じることです。
「やりがいのある仕事」を任せたあとは、部下に
1)やりがいを理解させる
2)コミュニケーションをとる
3)成果を部下に与えること
彼や彼女に「面白い仕事」「やりがいのある仕事」を任せれば、その隠れた力が表に出てリーダーに育っていきます。
参考記事:班長(=チームリーダー)が成果を上げる4つのマネジメントポイント
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