「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

個人とチームの関係の違いで分ける、3つの仕事タイプとそのマネジメント

 
仕事のタイプと団体競技の共通点イラスト
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

個人とチームの関係の違いで分ける、3つの仕事タイプとそのマネジメント

 

運動会の競技と仕事における個人とチームの共通点

「大縄跳び」
「騎馬戦」
「綱引き」
いずれも運動会の定番の競技です。どれも紅白に分かれての団体戦ですが、チームに対する個人の貢献の種類が全く違います。
「大縄跳び」は、一人でも縄に引っかかれば、その時点でアウト。劣った人の力が、チーム力です。
「騎馬戦」は、最後に勝ち残った騎馬が、チームの勝利となります。一人(一騎)の優秀な人がチーム力となります。
「綱引き」は、チーム全員の力の総和がチーム力です。「玉入れ」も同様な競技です。
チーム(組織)で行う仕事は、この3つのタイプの団体競技に類似しています。チームで行う仕事を分類すると、以下のようになります。
1)結合型(大縄跳び型)
2)分離型(騎馬戦型)
3)加算型(綱引き型)
この3つの仕事のタイプでは、個人のチーム(組織)に対する関わり方が、大きく異なります。例えば、結合型であれば、個人の失敗がクローズアップされ易い働き方です。加算型であれば、「手抜き」が生まれ易い仕事の仕方です。
仕事のタイプ毎に、起きやすい問題が異なります。リーダーは、自職場の仕事タイプを把握して、マネジメントをすることが重要です。

 

結合型(大縄跳び型)の仕事

「結合型」とは、皆で一緒にゴールを目指すタイプの仕事。劣ったメンバーに結果が左右されます。団体登山では、最も体力のない人のペースに合わせて進みます。時には、最も体力のない人の負担が、少なくなる順番を取ったり荷物を軽くしたりする工夫をします。アイススケートの団体パシュートも最後にゴールした人のタイムがチームタイムになるので、これに合った作戦を考えます。
仕事では、作業現場の安全成績が典型的な結合型の例です。誰かが怪我をすると全体の成績が下がります。また、製造現場や物流のネック工程など、律速という考え方が結合型の対応で重要になります。樽に水を汲むのに、一か所でも短い板があれば、そのレベルまでしか水は溜まりません。とにかく、弱いところをどう補うかが、このタイプの仕事のマネジメントでは重要になります。
一人のミス、遅延が全体としての失敗や遅延に繋がることから、各メンバーは緊張を強いられることになり易い特徴があります。また、個人に失敗の責任を負わせたくないことから、「連帯責任」と称して、チーム全体が責任を取ることもあります。ただし、これは失敗することで、他の人に連帯責任を負わせるとの気持ちになり、かえって各メンバーにプレシャーをかけることになります。

 

分離型(騎馬戦型)

「分離型」は、全員で一つの答えを導きだすような仕事です。研究開発や広告の作成などです。最も優れたパフォーマンスがチームのパフォーマンスとなります。
尖がった人の活躍を引き出すことが重要です。チームで同一意識が強いと、最適な解でなくても「皆がそう考えているなら」ということが生まれます。つまり、チームを特定の「空気」が、支配する状態が生まれます。
米国では、軍用機や宇宙船の開発の初期段階では、あえて複数のグループに依頼します。そして、試作機の段階に進んだところで、1機種に絞られます。(最近は、予算の関係で、模型とシミュレーションで止めることも多いようですが)手間と時間をかけて、あえて複数のグループに競わせるのは、アイデアの固定化を防ごうとするものです。
チームにスーパーマンがいると、他のメンバーは「手抜き」をし易い傾向になります。
「今度も彼(彼女)が、何とかしてくれるだろう」
という気持ちがでるからです。
分離型の仕事は、営業、開発などの部署の多いようです。サッカーで言えば、エースストライカーやトップ下のキープレーヤーにボールを集めて、攻撃の突破口を開こうというものです。仕事では、キーマンに情報を集めて、キーマンが判断・指示し易くするマネジメントのし方が考えられます。個人の突破力を活かすには、チームとしてのサポート力が必要になります。

 

加算型(綱引き型)

「加算型」の仕事は、各メンバーがそれぞれの成果を持ち寄り、最終的な成果とするものです。メンバーの仕事の足し算が、全体の仕事量になります。
例えば、皆で千羽鶴を折るとして、これを7人に分担します。ある人は200羽折り、ある人は50羽しか折れないことが起こります。期日までの仕上げようとすると、仕事の能力がある人が他の人をカバーすることが必要になります。
ただし、数十人、数百人の規模になれば、一人ひとりの仕事が見えにくく「手抜き」が起こり易くなります。そもそも会社の組織は、「加算型」をイメージしてつくられており、それぞれの分担が各部署に配分されています。各部署には、複数のメンバーがいて、仕事を分担、それを持ち寄って全体が成り立っています。組織が大きくなると「歯車の一つ」との意識が生まれ、「手抜き」が起きやすくなります。その結果、
「売上の8割は、2割の人が稼いでいる」
といった現象がうまれるのです。
加算型の仕事の場合、大きな組織をチーム分けし、個人の貢献が見えるようにすることが生産性を高める上で重要になります。


グループ・ダイナミックス –集団と群集の心理学

まとめ

チームで行う仕事を分類すると、以下のようになります。
1)結合型(大縄跳び型)
2)分離型(騎馬戦型)
3)加算型(綱引き型)
この3つの仕事のタイプでは、個人のチーム(組織)に対する関わり方が、大きく異なります。仕事のタイプ毎に、起きやすい問題が異なります。リーダーは、自職場の仕事タイプを把握して、マネジメントをすることが重要です。

参考記事:「会社で、あるある」の「社会的手抜き」の原因と防止・利用方法

改革は、「職場の空気」を良くしてからでなければ進まない

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2022 All Rights Reserved.