「褒めるのが苦手」と思う人にお勧め、5つの褒める効用
「褒めるのが苦手」と思う人にお勧め、5つの褒める効用
「褒めるのが苦手」と思う人が、覚えておくべき5つの褒める効用
「褒めると人が育つ」
「褒めるとモチベーションが上がる」
「褒めると人間関係が良くなる」
これらの褒めることのメリットは、本やネット上に沢山紹介されています。*
ところが、「とっさに褒め言葉が出ない」、相手と別れてから「あの時褒めておけば良かった」と後悔してしまうなど、「褒めるのが苦手」と感じている人が結構います。
褒めるのが苦手な人は、褒め言葉を狭くとらえ過ぎています。何も仰々しく褒める必要はありません。「今日は楽しかったよ」「気が付くね」こんな言葉も立派な褒め言葉です。
褒めるのが苦手と思っている人が、褒める機会を失いたくない5つの場面と効用を紹介します。
1)褒めて話のきっかけをつくる
2)褒めながら質問すると聞き上手になる
3)ムカッとしたときに相手を褒める
4)褒めて人を育てる
5)褒めて相手をほっこりさせる
この5つの効用を覚えておくと、褒める場面を逃すことが減り「褒めるのが苦手」ではなくなることが期待できます。
*参考:マネジメントは「叱る」より「褒める」が効果あり!その根拠とすぐ使える効果的な褒め方
褒めて話のきっかけをつくる
褒めるのが苦手と言う人は、そもそも初対面の人と話すのが苦手という方が多いようです。簡単な褒め言葉で話しのきっかけを作れます。
例えば、公園で犬を連れた人同士が
「かわいい犬ですね。なんという種類の犬ですか」
そんな言葉をかけて、友達になったという話があります。電車の中で赤ん坊を抱えた母親に
「眠っている顔、かわいいですね。何か月になりますか」
大阪のおばちゃんは、こんな褒め言葉で話を始めるのが得意です。
「御社のどでかい看板いいですね」
そう言って、飛びこみ営業に来た人がいました。
相手を褒めることで、相手の警戒心を和らげてくれます。すると、こちらも話がし易くなります。初めて会った人のことは、何も知りません。そこで、見てわかるものを褒めると話しのきっかけが作れます。
相手が、前もってわかっていれば、
「貴社のCMみましたが、いいですね」
「最近、御社の仕事の評判いいようですね。同業者仲間で噂してます。」
などと下調べをした情報から褒めて話を始めることができます。
私は、若い頃仕事で失敗して、役員に状況説明と謝罪に行くことがありました。本来、A部長が謝罪に行くべきところです。「部長は、逃げたな」なんて思いながら、初めて雲の上の存在である重役の前に出ました。その時、重役から
「君が、A部長自慢の部下○○君か。今回は、ちょっとやり過ぎて失敗したみたいだな...」
お見事な褒め言葉でした。これ以来、重役とA部長への信頼度が、一気に高まりました。
褒めながら質問するのは、聞き上手
話を良く聞いてくれる上司は、部下から信頼されます。判ってはいますが、聞き上手には、なかなかなれません。
話を聞くとき、褒めながら質問することをお勧めします。褒めながら話を聞くことは、あいづちを打ちながら聞くより、相手の舌を滑らかにします。
職場の人間関係の問題をうったえてきた部下から話を聞いた例です。
「それで、正義感の強い君はどうしたんだい」
「…」
「顔の広い君は、それを引き受けることになったのか...」
部下の性格や人脈などを褒めながらこの上司は、聞きました。すると、話をする部下は、「なぜ自分が、この問題に巻き込まれたか」「何を自分が、困っているか。不満に思っているか」を整理ができて落ち着いて話ができました。結局、
「聞いてもらって良かったです。すっきりしました」
と部下は、満足しました。
褒めながら話をすると、相手が自分の話に興味があることが確認できます。話す側は、褒めながらの質問で自分の話を整理できます。気付きが生れます。
「褒めて育てる」極意は、相手の長所を見つけること
桂米朝の落語で、浄瑠璃の師匠が、習いにきた弟子が辞めないようにするため「褒める」話があります。(特選桂米朝落語大全集CD)
声が大きい人には、
「あんたは、声がいい。なんと言っても浄瑠璃は声ですからね」
と褒めます。声が良くない人には、
「あなたは、声はもう一つだが、節回しがいい」
そんな調子で、それぞれに褒めて、弟子の気分をよくさせます。そのうちに、芸で褒めるところがない人に向かって
「あんさんは、座っていても足がしびれないないところがすごい」
と褒めます。ところが、その弟子は足がしびれていて、ひっくり返ります。これを見た師匠は、すかさず
「あんさんは、足がしびれていても、我慢して素振りも見せないとことがすごい」
と褒めたとの話。どんな人にも褒めることがあり、褒めると習い事もやめる人が少なくなるとの噺でした。
教える側が、教わる人を褒めようとすると、相手の良い点を見つけることになります。言われた相手は、自分の伸ばすべきポイントが見つかります。また、なんと言っても気持ちよくなり、モチベーションが上がります。
褒めて育てる効果は、学校教育など多くのところで証明されています。スポーツの世界でも今は褒めて育てるのが主流です。
マラソンの監督だった故小出義雄氏が、教え子の高橋尚子さんや有森裕子さんを「褒めて」育てたことは有名な話です。私もオリンピック前のTVインタビューで小出監督が、
「Qちゃん(高橋選手)は、軽自動車にポルシェのエンジンを積んでいるみたいな子です。」
と言っていたのを覚えています。当然、このインタビューは、高橋選手にも伝わります。もちろん高橋選手もすごいですが、徹底して褒め続けた監督の褒める信念に感じました。
ムカッとしたときこそ褒める
相手の言葉や態度にムカッとするようなネガティブな感情が生れたとき、相手を褒めることで、相手も自分も救われることがあります。
「君は、よく考えて慎重に決めるタイプだな。君のようなタイプは、貴重なんだ」
「周りが何と言おうと、決めたことは貫ぬく気質だな」
そう褒めておいてから、次の言葉を探すことです。イラついている時、感情に任せて口を開くと思わぬ方向にことが進みます。嫌いな相手でも、何かしら褒めると苦痛が無くなります。
職場、友人の集まりなど人がいれば、相性が悪い人は必ずいます。「嫌いな人に出会ったら、褒めること」が、自分を楽にする処世術です。
ほっこりする褒め言葉
他部署の人と出張した帰り、
「君とまた出張したいな」
と言われました。「また」は、立派な褒め言葉です。
「また誘ってください」
「またご一緒しましょう」
仕事、飲み会、デートの終わりに使える便利な言い方です。
最強のほっこり系褒め言葉は、「好き」かも知れません。(笑) 恋愛の場面でなくても、職場でも使えます。
相手が、自分のセッティングした場所を気にしているとき
「こんな雰囲気、好きです」
と褒めてあげれば、相手は安心します。
部下の言葉にムカッとしたとき
「君の正直に指摘してくれるところが、好きだよ」
と褒めると和らぎます。
褒め言葉は、仰々しいものでなくても十分です。相手をほっこりした気分にさせるちょっとしたことば、ありふれた言葉で人間関係を良くします。褒めるの苦手の方は、こんな相手をほっこりさせるさりげない褒め方がお勧めです。
人の2倍ほめる本: 頭のいい人悪い人のほめ言葉 (知的生きかた文庫)
まとめ
「褒めるのが苦手」と思っている人が、覚えておきたい褒める5つの場面を紹介しました。
1)褒めて話のきっかけをつくる
2)褒めながら質問すると聞き上手になる
3)ムカッとしたときに相手を褒める
4)褒めて人を育てる
5)褒めて相手をほっこりさせる
この5つの褒める場面を覚えておくと、褒めそこねることが減り「褒めるのが苦手」ではなくなることが期待できます。