「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いを理解して就活面接の自己PRをすると効果的
「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いを理解して就活面接の自己PRをすると効果的
面接官が失望する「リーダーシップ」を誤解した自己PR
就活面接では、「コミュニケーション能力」と並び「リーダーシップ」のある学生が評価されます。自己PRにおいて、持っている「リーダーシップ」がうまくアピールできることが大切です。ところが、
「自分は、サークル活動や部活をやっていなかった」
「『リーダーシップ』を発揮する場面など遭遇したことがない」
と不安を覚える人がいます。一方で、
「自分は、〇〇部の主将だったから、『リーダーシップ』がある」
と自信のある人もいます。
どちらの人も、そう考えること自体が間違っています。「リーダーシップ」と「マネジメント」と取り違えているのです。
これまで私が就活の面接をした学生の多くは、「リーダーシップ」と言うと、「サークルの幹事」「部活動の主将やマネジャー」「ゼミの世話人」「ボランティア団体の幹部」などを思い浮かべていたようです。彼ら(彼女ら)は、懸命にその「ポジション」の役目(仕事)を説明してくれました。しかし、その行動は、「マネジメント」で、「リーダーシップ」のPRには、なっていませんでした。聞く方の面接官は、散々元サッカー部主将の「仕事」を説明されて、学生そのものに失望してしまいました。
そもそも面接官が知りたいのは、就活生に「リーダーシップ」があるかないか、入社後「リーダーシップ」を発揮してくれる可能性があるかです。ところが、多くの学生は、「リーダシップ」を正しく理解していません。正しく理解していれば、「リーダーシップ」を発揮するのに、必ずしも「〇〇部の主将」といった「ポジション」に就いていた経験など必要としないことが分かります。誰にでも「リーダーシップ」を発揮した場面があり、社会人になれば、益々それが増えます。どんな人にも、「リーダーシップ」を発揮する場面があります。ここでは、「リーダーシップ」の本質を説明し、就活でうまく自己PRできる方法をお伝えします。
「リーダーシップ」と「マネジメント」の違い
「リーダーシップ」とは、目標を作り、人を集め、人の気持ちを一つにして困難を克服していくような熱い力です。〇〇部の主将、会社の管理職など「ポジション」に就いている人が、決められた役目を遂行する「マネジメント」でありません。
もちろん「ポジションとしての役割」を遂行する中で、「マネジメント力」と「リーダーシップ」の両方を発揮する場面があります。しかし、この2つを区別しておくことが重要でです。ポジションに就いていようがいまいが、「マネジメント」と「リーダーシップ」の違いを理解した上で、自己PRをすることが効果的です。
そこで、リーダーシップとマネジメントの違いを3つのキーワードから説明します。それは、1)力の源泉、2)行動の視点 3)③ 使命が違うことです。
力の源泉の違い
一般的な定義では、リーダーシップとは「人が人に与える影響力」のことです。例えば、あなたがサッカー部員であれば、リーダー(主将)がフォロワー(あなたのような部員)に「影響」を与え、動かし、組織の目標を達成していくことが、「リーダーシップ」です。
この時、フォロワーの側からみると、影響を受けて「動かされた要因」が存在します。 「主将の言うことを聞かないと部にいられないとか、試合に出られない…」といった権力が生み出す「恐れ」が、あなたを動かしているケースもあれば、「主将は、信頼できる人だから…」と、主将の「人間性」で動いている場合もあります。
前者「試合にでられなくなる…」は、主将のもつ「権限」にコントロールされています。後者「信頼できる人だから…」は、主将のの「人間性」を信頼して、部員が動いています。人が動かされる、つまり、「影響力の源泉」に、リーダーシップとマネジメントの違いが見れます。
行動の視点違い
リーダーの役割のひとつが、「ビジョンを描く」ことです。今後、「サッカー部をどうしたいのか?」「メンバーと共にどうなっていたいのか?」。将来を思い描き、そのイメージを具体的に表現してフォロワーに伝え続けるのがリーダーの仕事です。「2年後に地区大会で優勝するチームになる」といった夢を描くことです。「リーダシップ」とは、「未来」に目を向けて行動していくことです。
一方で、未来ではなく、「今」すべきことが、主将にはあります。監督やコーチから与えられた練習メニューを部員にやらせる。練習についていけない部下に声をかけたりもします。こうした「今」に目を向けて行動していくのが「マネジメント」です。
使命の違い
伝統あるサッカー部であっても、部員数が減って存続が危ぶまれる。万年下位から抜け出せない。そんな部であれば、大きく改革をする必要があります。
選手の集め方を変える、監督やコーチを変える、練習を技術中心から体力中心など方法を変えるなど、根本的な変革が必要になるときがあります。この時、「ありたい姿」に向かって、現状を破壊し、根本的な改革を行うのがリーダーシップです。
一方「マネジメント」は、壊すことではなく、「秩序を維持」していくことがリーダーの使命です。退部者を引き留め、今の練習方法を徹底させるなどの行動です。
表は、これらを簡単にまとめたものです。
この章は、第2版『リーダーシップ論』(ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p45~および、EARTHSHIP CONSULTING 松山淳氏HPの「リーダーシップとマネジメントの違いとは」を参考としています。
誰でもできる、自分の「リーダーシップ」を見つけ、自己PRに使う方法
ここまで、説明したように「リーダーシップ」は、「マネジメント」とは違います。「リーダーシップ」は、必ずしも「ポジション」に就いている人の特権ではなく、誰もがこれを発揮する機会があります。ただ、あなたのその行動が、「リーダーシップ」を発揮したこととして、整理されていないのです。たとえ周囲を統率するポジションでなくても、就活の面接で「リーダーシップ」を持っていることをアピールできます。
リーダーシップを発揮するとは、以下のようなことをすることです。これには、前に述べた3つのポイントが含まれています。
① 危機意識を持ち、現状について「変わらなければ」「変えなければ」と思う
② 自分で「自分や組織のなりたい姿」を描く
③ 自分で決めたことを断固としてやろうとする
④ 誰かに働きかけて、協力者を得る
⑤ 困難や問題が起きたとき、自分で対処する。自分から助けを求める。
⑥ 人が嫌がることを率先して取り組む。
全てそろっていなくても、どれか1つでもあれば、あなたには「リーダーシップ」を発揮した経験があり、リーダーシップの素質を持っています。
現状から「なりたい姿」を描き、周囲の人に働きかけ、思いを同じくする人を持てたら、あなたは、「リーダーシップ」を発揮したことになります。「なりたい姿」は、好きな趣味をすることでも、災害を受けた人の救済でも、スポーツでも、ビジネスの世界など、なんでもかまいません。生きていれば、なにがしかの「なりたい姿」があり、これを達成するために人を巻き込んで努力する姿をあなたの「リーダーシップ」としてアピールできたら、素晴らしい自己PRとなります。
アピールする時、具体的な例を上げる、どう仲間を集めたか、どう気持ちを伝えたかをPRするなどのテクニックは、ネットなどに事例が沢山紹介されています。ここでは、「リーダーシップ」の意味をよく理解し、本道を外さず自己PRすることをお伝えしました。
まとめ
就活の面接などの場面で、「リーダーシップ」をアピールする時、知っていて欲しい「リーサーシップ」と「マネジメント」の違いを紹介しました。「リーダーシップ」は、ポジションを基にした力ではなく、人間性からくる力です。「リーダーシップ」を理解することは、就活だけでなく、仕事生活でも、日常生活でも極めて重要なことです。多くの会社や役所には、「マネジメント」をしても「リーダーシップ」を発揮していない管理職だらけです。是非、「リーダーシップ」とは何かを理解し、人生に役立ててもらいたいと思います。