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職場のリーダーが、今時の新人・若 手社員を動かす方法

2021/09/16
 
新人の指導をする人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

職場のリーダーが、今時の新人・若手社員を動かす方法

 

職場のリーダーが、今時の新人・若手社員を動かすには、

「能力は、あるはずだが戦力にならない若手社員」

こんな部下を持つ職場のリーダーに、今時の新人・若手社員を動かす方法をアドバイスします。

まず今時の新人・若手社員は、
「ゆとり教育全盛時代に育ち、スマホが体の一部のようになっている世代である」
ということを頭に入れて接しなくてはなりません。10歳違うと、育った時代の経済環境、教育、技術環境が全く違います。その結果、考え方、行動のパターンが違います。従来も世代ギャップがあり、「バブル世代」とか「新人類」とか言われた若手社員がいました。しかし、どの時代の若手も上司や先輩から強引に指導され、社員として戦力になっていきました。今の新人・若手社員は、強制力で指導すること自体に慣れていません。出世についての考え方も全く違います。

職場のリーダーが、そんな今時の新人・若手社員を動かし、戦力化するために、
1)今時の新人・若手社員の気質を理解する
2)今時の新人・若手社員への指示は、彼ら(彼女ら)の気質に沿って行う
と言うことを実例から解説します。

リーダーは、嫌がられても今時の新人・若手社員に関与しなければ、思うように成長してくれません。気質を理解した上で、指示(指導)することで、彼ら(彼女ら)が、強力な戦力になります。また、彼らが(彼女ら)の持つ特性を活かせれば、ベテラン社員の活性化も期待できます。

 

今時の新人・若手社員気質の例

管理部門のT氏は、昨年と今年、数年ぶりに新入社員を受け入れ、その育成に当たっています。Aさんは、今年の新人。Bさんは入社2年目の社員です。どちらも、一通り仕事を覚え、こなせるようになっています。

ある日、仕事を頼んだのに、新人Aさんは、どうなったか報告に来ません。リーダーのT氏が、直接Aさんの仕事を確認すると、やり方を迷っていて、仕事が止まっていました。

「なぜ、俺に訊きに来ないかったのか?」
とAさんに尋ねると、
「リーダーが忙しそうだったので遠慮しました」

私聞いてません

次にBさんを確認しました。
「先日頼んだ仕事は、どうなった。おわったのかな?」
「終わって依頼部署に送っておきました」
「送ったら、私に報告してくれないか」
「それってMustですか?」
リーダーT氏は、送った文書を確認しました。

「この表現では、分かりにくにいのでは?」
「相手は分るでしょう。Wikipediaにも、そう表現してありますから」
まるで、「その表現が分かりにくい」と言ったT氏の方が無能呼ばわりされたようで、ムカッときてます。
Aさん、Bさんの態度は、典型的な新人・若手気質を示しています。

 

今時の新人・若手社員の気質を分析すると

新入や入社5年目位までの若手社員を見ていると、その気質が2極化していることに気づきます。少数の将来目標があり、今なにをすべきか考え、行動できるタイプ。一方で自己偏重の傾向が見られます。Bさんはそんなタイプです。そして、8割以上の安定志向で臆病なタイプです。新人のAさんは、このタイプです。

多数派の安定志向タイプの気質を列挙してみます。
① あまり出世しようと思わない。
管理職は、仕事がきついと思っており、責任が重いが大した給料ではないと思っている。
② 人の期待に応えたいとあまり思わない
③ 責任感はあるが、責任は取りたくない
④ 周囲と同調することを優先する
⑤ 平等があたり前と思っている

自己偏重タイプの気質
一見安定志向タイプとまるで異なった気質のように見えますが、基本的な点では同じです。
① 社内出世ではなく、自分が考える最高レベルを目指す。
② 人の期待など気にしない
③ 責任感はあるが、責任は取りたくない
④ 人の意見を聞く姿勢はあるが、なかなか自分の考えを捨てない
⑤ 自分の考えに合致しない人や周囲に対して、時に排他的
『自分視点』が強いですから、『相手視点』や『全体視点』を身につけることの重要性を意識させることが必要です。

私が正しい

参考:ファーストキャリア調査レポート「【2018年度】新人社員の傾向と対策~成長の考え方『自分』『ヒト』『コト』へのアプローチ~」

 

リーダーが行うべき今時の新人・若手社員への指示方法

細か過ぎる位の指示をすること

基本的に今時の新人若手には、従来の常識や基本は通用しません。そんなの常識だろうと言っても、「聞いていません。習っていません」と返してくるのが関の山です。リーダーでさえ、「細か過ぎる」と感じる位からスタートすることです。

2度目以降の仕事においても、「わからない?」と質問をせず、自己流で進めてしまう傾向があります。初めの細かい指示と合わせ、細かいフォローが必要です。

自己偏重タイプの人には、始めだけで細かい指示をしておけばいいかも知れません。ただこのタイプは、「自分視点」が強いので、「相手視点」や「全体視点」を身につけることの重要性を意識させることが必要です。自尊心をくすぐれば、力を出します。

すぐ結果が出ることから任せよ

この世代の特徴は、広く浅い知識を持っています。スマホ検索が日常的として育っています。関心があることには、積極的でもあります。考えることより、解答を出すことを優先する傾向があります。特に自己偏重タイプの人。
すぐに結果が出ることから任せると、どちらのタイプでも自信が付きその後の成長が速くなります。
リーダーは、順次難易度を上げた仕事(目標)を与えるのが、腕の見せどころです。

何をもって仕事が完了するのか理解させておく

仕事が終わっても上司に報告せずヤキモキさせられます。仕事は何を持って完了するか、指示し理解させておくことです。どちらのタイプも、自分勝手に仕事が終わったと勘違いしがちです。仕事を指示するとき、しっかり理解させておきます。

結果を褒めるより、本人の成長を褒めよ

結果を褒めるより、本人の成長や回りの評価を伝えると効果的です。

「素人は、プロセスで評価される。プロは、結果で評価されるもの」

なんて言っていては、ダメです。ほめて伸ばす」と「興味関心のあることへの没頭を推奨する」というゆとり教育を受けてきた世代です。
「君の仕事で、職場が良くなった」
「君の生産性は、半年で30%アップしたのには、驚いた」
と言った言葉で、褒めることです。

今時の新人・若手社員へ言ってはいけない言葉

今時の新人・若手社員に対する言葉には、注意が必要です。セクハラ、パワハラと受けてられる発言が厳禁なのは、当然ですが、以下のような言葉も要注意です。

① 「やる気を出せ」「がんばれ」
そんな時代では、ありません。少ない労力で、結果を出せるのがカッコいいのです。

② 「それぐらい、自分で考えろ」
これは、致命的です。基本的にリーダーの信頼を失います。今時の新人・若手社員は、「リーダーは、指示してくれる人」と思っています。

 

若手社員を指導するリーダーへのアドバイス

① リーダーは、人を管理せず、仕事を管理せよ
 今時の若者は、個人の管理を嫌います。

② 平等ではなく、公平に評価することを意識せよ
 今時の若者は、平等に対して敏感です。平等は、結果であり同じではない。公平は機会であり、皆同じであると理解させること。

③ リーダーは、仕事が出来る人から仕事を教えられる人になれ

④ 上司のルールを押しつけるな
 言うまでもありません。時代が違います。

④ 仕事を丸々任せるのは、注意してする
T氏は、新入社員アンケートで、多くの新入社員が
「実践の機会を多く与えてほしい」
「自ら考える機会を与えてほしい」
「自分たちの向上心・挑戦心を活かす機会を与えてほしい」
と言っているのを知りました。(前述:ファーストキャリアレポート2018年より)

仕事に慣れてきたBさんに
「お前を信じて、〇〇産業攻略プロジェクトを任せるから、思う存分やってくれ」
と背中を押しました。さぞかし喜んでくれるかと思いきや
「無理です。絶対ダメです。それは、リーダーの仕事で、自分は向いていません」
彼は、パニック状態になりまた。従来と少し違う分野のお客様相手と言うだけですが、Bさんにとっては、未知で興味のない世界です。能力が高く、プロジェクトを取りまとめることができると思ったのですが、尻込みしてしまいました。

私がやるんですか?

以上、今時の新人・若手社員の指導法の例を書きました。T氏は、これまで新人・若手社員に対して、頻繁に声を掛けてフォローし育成してきました。ところが、コロナ禍によりテレワークの比重が高まり、二人が席にいないことが多くなっています。得意の「声かけマネジメント」ができません。ところが、
「Lineで連絡し、Teamsでリモート指示してます」
とのこと。リーダーの方が慣れれば、今時の新人・若手のいい所が引き出せているようです。

参考:本ブログリーダーが、厄介なメンバーと会話する2つの方法」


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まとめ:今時新人・若手を動かすには、上司の常識、ルールを押し付けるな

今時の新人・若手を動かすには、強制力ではダメです。彼ら(彼女ら)は、1)あまり出世したくない2)責任感はあるが、責任は取りたくない 3)周囲と同調することを優先する等々の気質がある。これを知り、その気質に合った仕事の指示(指導)が有効です。違う文化をもつ彼らを戦力化できれば、ベテラン社員の活性化にも役に立ちます。

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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