研究職を狙う理系就活生の面接対策は、説明力を磨くこと
研究職を狙う理系就活生の面接対策は、説明力を磨くこと
企業の研究職の採用方法
研究開発を行っている場所は、大きく分けて2つあります。1)研究を目的とした機関(大学、専門研究機関)と2)企業の研究開発部門です。この記事は、企業の研究職を狙う就活生、いい研究開発人材を見つけようとしている方に向けてのものです。
企業の研究職の採用は、2つのケースがあります。研究開発部門が独自で採用するケースと会社全体で採用後に研究開発部門に配属するケースです。欧米の企業では、研究開発部門が独自で採用するのが一般的です。台湾や韓国のハイテク企業でも同様なようです。
一方、日本では研究開発部門独自の採用は少なく、全社一括採用後に配属するケースが多数です。採用者に対して希望を取り、採用側で研究職が適切かどうか判断して配属先を決めています。ただし、希望が通り易い会社とそうでない会社、将来研究職でも一度製造部門等を経験させる方針の会社もあります。募集時に遠慮なく会社に方針を問い合わせることをお勧めします。
そもそも大学で研究したことが、企業の研究開発に使えるケースは稀です。例えば、工学系大学も企業でも流行のリチウムイオン電池分野でも、研究開発の目標、方法、規模、レベルが全くと言っていい程、異なります。たとえ同じテーマで研究をしていても、専門用語が共有できる程度と考えた方がいい位です。
博士課程修了者に対しては、即戦力としての技術力を期待しますが、学部卒や修士課程修了では、専門性より個人のポテンシャルを期待しての選考です。
私自身、かつて研究員150人ほどの材料系の技術研究所長を経験しました。成果を上げる人は、他の部門で成果を上げる人と全くと言っていい程、共通しています。コミュニケーション力や自主性など、本ブログ「採用面接では、コミュニケーション能力を示すこと」で書いるとおりです。ただし、少しだけ科学か数学が、好きか得意だといいですが。
研究職として採用したい人
研究所長や採用の経験から、研究職採用の採用面接評価ポイントを記します。(個人の経験が大きく、主観的な点は、ご容赦ください)
自分の研究をわかり易く説明できる人
一般的に、ものごとをよく理解している人ほど、わかり易い説明をするものです。相手のわからない専門用語で説明する。関わる分野の一般論ばかり話す。例えば、地球温暖化とか、Liイオン電池の需要性を説明されても困惑します。面接官は、就活生の研究内容そのものではなく、説明力を知りたいのです。
研究の話に「起承転結」がある人
就活生が、卒論や修論において、研究の1サイクルを回した経験があり、その経験を自分の教訓として持っていることが理想です。残念ながら、就活の時期は、修論の途中、学部生ではテーマが決まったばかりしょう。従い、「起承転結」すべてを語ることは難しいかもしれませんが、これを意識して話ができるといいです。「起承転結」を語るとは、研究プロセスとその教訓を語ることです。
起:修士課程や卒論のテーマを自分で選定した人は少なく、多くは教授から与えれています。そのテーマの意義やユニークさが理解できているか。
承:テーマに向かって、調査、仮説設定、検証実験やシミュレーション等を行います。どんな効率のよいアプローチしているか。
転:検証実験やシミュレーションにいて、直面した困難に対して、どう乗り越えたか。乗り越えようとしているか。
結:どんな結論になったのか。何が、分かったのか。結果の良し悪しに関わらず、その結果に至った理由と得た教訓は何か。
研究をテーマ設定から結論まで、サイクル全体を経験することが重要です。この経験により、研究とはどんなものか、自分の性格や特性について認識できたことがあれば、アピールできます。
「自分は、追い詰められないと、行動できないタイプと分かりました。論文の締め切り数日前からまとめを始めました。その時、初めて教授に何を指示され、自分が何をしていたのか分かりました」と語った就活生がいました。一方、
「論文をまとめる最終段階で、データ不足が分かりました。普段から結論と結びつけながら実験しないとダメと思いました。」
この二人、ともに内定を出しました。自分がどんなタイプかを掴み向上させる方法を得ていると判断したからです。
論理的な考え方ができる人
研究開発では、様々に事象に対して、論理的に考え、行動することが大切です。「私は、論理的に考えることができます」と説明しなくても、自分の研究のテーマと研究過程を説明する中で、その人が倫理的に考えることができるか分かります。就活生から見れば、色々な場面で、「なぜ」そう考えたか、「なぜ」そう行動したかをアピールできれば、いいことになります。
ベストマッチな企業との出会いがある就活は新しいフィールドへ【キミスカ】
まとめ:労働生産性の高い研究職を期待
研究開発の成果は、結果が価値です。どんなに遠回りしても、どんな偶然があっても、結果が優れていれば、価値とみなします。だからと言って、時間と労力、金を無尽蔵に使う訳にもいきません。だから、マネジメント力が要ります。偉大な作曲家は、1曲1曲が素晴らしいものですが、一方で非常に多くの曲を作っています。労働生産性の高い研究開発職が、生まれることを期待します。