労働生産性が上がる目標のたて方(労働生産性 個人08)
労働生産性が上がる目標のたて方
労働生産性が上がる目標をたてることが重要
何かを達成しようとするとき、目標を持つことの大切さが言われます。前回の記事「『やらねばならない仕事』を『やりたい仕事』にして生産性を上げる」では、やりたくない仕事も本人がなりたい姿、つまり目標を持つことでやりたい仕事に変わると書きました。個人にしても、職場においても社会においても、目標が目標のままで、何もしない状況が見られます。目標を実現し、生産性を上げるには、いい目標を立てること、達成の道筋を見つけ、実施することです。
3つのレベルの「目標」
人は、ネガティブな目標を持つと、その実現は難しいものです。例えば、ゴルフであまりうまくない人が、「池に入れたくない」、「右のOBに打ちたくない」と思いながら打つと、なぜか池ポチャやOBということがあります。上手な人は、どこかにターゲットを定めて、そこに打つことに集中しています。失敗しないという目標より、成功するというポジティブ目標を掲げるのが目標設定のコツです。では、ポジティブ目標を作成することにします。
目標には目指すレベルが3つあります。レベルの高い方から書きます。
1.「理想」を目標とすると宗教になる
この手の目標は、一種の宗教です。「交通事故ゼロ」「核兵器全廃」「犯罪ゼロ」などですが、この手の目標は、実現できないばかりか、ゼロを求めるあまり、統計をごまかしたりするものです。「理想」ではなく、いつの間にか「空想」を目標にしていることになります。
2.「高い目標」は、パラダイムシフトを生む
高い目標は、やり方を変えないと実現できません。目標に対するチャレンジ精神があるか、達成のためのアイデアを出せるかが重要です。
3.「手の届く目標」は、ストレッチを生む
今のやり方を徹底すれが、実現できる目標です。毎日、こつこつと努力することで、目標を達成できます。
生産性目標のたて方と達成方法
生産性向上は、「高い目標」や「手の届く目標」から作ります。「手の届く目標」の例として、過去の自分の最高の成績や職場の最もパフォーマンスがいい人の成績です。職場の例で行けば、仕事のできるベテラン社員が、一日フルに活動した状況です。生産性の2要素、「能率」と「効率」でいえば、仕事のスピード(能率)をベテラン社員並みに高め、最大限の時間活動する(効率を上げる)状況でです。目標を達成するには、こつこつと個人のスキルをベテラン社員並みにあげることと、隙間時間をつぶすなどして仕事の時間を増やすことです。必ず実現できる目標と信じ、努力が求められます。
「高い目標」とは、パラダイムシフトを必要とする目標です。自分の最高成績を塗り替える、ベテラン社員でもできない能率で仕事を処理したときに達成されるような目標です。能率を上げるにしても、効率をあげるにしても、機械化、システム化、仕事の仕組みの変更など大きな改善が必要です。この時、画期的アイデアを自分や自職場で考えることに固執してはダメです。他人、他職場、他の業種でどんなことを参考にしているか見ることです。「研究開発の生産性は、マネジメント力で決まる」の記事で紹介したように、創造的な研究開発も40%は模倣、40%は偶然です。他をまねて、トライ&エラーを繰り返すことが実現の道だとこころえることです。
まとめ:ストレッチ目標とチェンジ目標
いい目標をたてることは、何事においても重要です。目標は、その高さによりストレッチで達成できるものと、パラダイムシフトを伴うような改善が必要なチェンジ目標ものとに分かれます。個人目標、会社の目標も、適正な高さに定め、トライすることをお勧めします。会社においては、売上や利益目標が重要視されますが、生産性目標も同等に扱うことを期待します。