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生産性を落とすハンコ文化は、規定の文理解釈に縛られた文化

2024/03/23
 
一休さんのとハンコのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

生産性を落とすハンコ文化は、規定の文理解釈に縛られた文化

 

規定を作るたびに生産性が落ちる!

「課長が不在で、ハンコがもらえず書類の提出が遅れました。業務規定に課長印が必須となっています。」
「品質規定には、『書類を保管』と書いてありますが、『電子データでいい』とは書いていません。『電子データでいい』とまず規定を変えてください!

これは、実際に担当者が、部長に言った言葉です。会社や役所の生産性を落としている原因の1つに、規定の解釈があります。今、世間で話題になっている脱ハンコを実現する為に、法の改定、解釈の変更が必要です。

この話の結論は、
「ハンコは、『第三者に見てもらえ』という意味。従い、自分以外の人に確認してもらえば、ハンコは不要。後で、課長に知らせればいい。」
「目的が、『記録の保管』だから、紙でも電子データでも、記録が残っていればいい」
となりました。部長からすれば、「このくらいの判断、自分でしろ」と言いたいのですが、世の中で、決まりを厳格に守ることが推奨されるなか、仕方がないと思っています。何か、問題が起きるたびに、規定を作られルールは厳格化し手続きが増えます。

世間でニュースになるような新しいタイプの事件や事故が起きると、マスコミが騒ぎ、国は新たな法律を作ります。その法律で、事後防止の効果が期待できる反面、そのたびに生産性が落ちていくのです。そして、
「この場合は、どうするの」
と言った質問が役所に殺到します。

ガチガチの文理解釈。生産性を高める規定の条理解釈にすべし

法律の解釈には、文理解釈条理解釈とがあります。文理解釈とは、法令の規定をその規定の文字や文章の意味するところに即して忠実に解釈することです。これに対し条理解釈とは法令の文言にとらわれることなく、法令の目的・趣旨・道理(条理)などに重きをおいて解釈することです。「教育法規の文理解釈と条理解釈」(羽山健一)

戦後日本は、米国の影響もあり文理解釈が中心となっています。法律に書いてある、書いていないが、すぐに問題になります。一休さんの童話に「このはしわたるべからず」と書いた看板を前にして、「真ん中を渡たればいい」と言って橋の真ん中を渡ったというのがあります。これは、正に文理解釈です。

また、都内のある高校での実話。校則に「女子生徒の化粧を禁止する」との条文がありました。ところが、ある日男子正当が化粧をして登校してきました。これが、校則違反かどうか職員会議でもめたとの話があります。文理解釈ならOKですし、条理解釈では校則違反です。最後は、校長預かりとなり、どうなったか知りませんが、今の日本の法解釈を象徴するような話です。

国の法律解釈はともかくとして、校則や社内規定は、条理解釈で行くべきでしょう。規定には、その制定目的が書かれています。その目的に沿って解釈すればいいのです。規定を制定する際、すべての状況を想定することはできません。また、環境変化が速い時代です。どうしても、規定の改定は遅れがちです。規定の制定目的に沿って、事象を判断すべきです。例に上げた一休さんの話で、「このはしわたるべからず」が、安全が目的なら渡ってはダメです。関係者お断りが目的なら、一休さんが関係者かどうかの判断になります。

実情に合っていない規定を忠実に当てはめて、生産性を落とすようなことを避けたいものです。

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目的が書いていない、ダメ規定! 

生産性を落とすような不合理な規定を改正しようしてみると、制定目的が明確に書いていないものが、結構ありました。更に、何のためにハンコを押すのか、どこにも書いていないものばかりです。これでは、条理解釈のしようがありません。「世間の常識」に従って条理解釈すると、ハンコは、「皆がおすから押す」から「皆がやめるなら押さない」となりそうです。

不合理な規定やルールと思えたら、その制定目的を確認しましょう。制定目的が書いていないなら、つくることです。そして、もっと大切なことは、各規定をどんな考え方で運用するか、会社全体で共有することです。
「当社は、お客様第一の考え方のもと、各規程はその目的に従い運用する」
そんな共通認識を持つ必要があると思います。


東大法学部という洗脳

まとめ:「できる上司」は、法解釈がうまい。

日本では、各規程やルールの条文解釈が主流となっています。これが、なんとも言えない閉塞感や生産性低下をもたらしているのではないかと思えます。昔から、ドラマのヒーローや「できる上司」は、法の解釈がうまい人です。大岡越前守や半沢直樹が、うまく法を使い解釈することで、でどんでん返しが生れ、クライマックスとなります。多くの規定の解釈が生れることは、好ましくはありませんが、臨機応変に規定を解釈し、その後規定を改定していきたいものです。

参考記事:労働生産性を妨げるハンコ文化。脱ハンコでクリック文化になった?

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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