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なぜ私は空気に逆らえないのか?同調圧力から自由になる方法

 
ランチを食べる人々のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

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なぜ私は空気に逆らえないのか? 同調圧力から自由になる方法

 

同調圧力に振り回される私たち

同調圧力に従う心理と同調圧力をかける心理の共通点

「皆が残っている中、早く退社しにくい」
「数人でランチに行き、本当は食べたい料理があったのに、他の人と同じようなメニューを注文した」
このような経験は、多くの人が一度は持っているのではないでしょうか。世の中は、こうした「同調圧力」で溢れています。同調圧力を受けてする行動には、違和感や不快感が伴います。そんな同調感から逃れるポイントを私は、「大人になること」だと考えています。
Weblio辞書によれば、
「同調圧力とは、集団において、少数意見を持つ人に対して、周囲の多くの人と同じように考え行動するよう、暗黙のうちに強制すること」
とされています。確かに同調圧力の典型は「空気」です。しかし現実の社会では、
「皆、残業しているのに、君だけ帰るの?」
「どうして参加しないの?」
といった形で言葉になることもあります。この記事では、こうした明示的な働きかけも、同調圧力の一形態として扱います。また、定義上は「強制」となっていますが、周囲に合わせてしまう心理も含めて「同調圧力」として扱います。ポイントは、個人が本心とは異なる行動をするよう求められることです。
ところで、同調圧力には本人が気付いている場合と、意識していない場合があります。
「皆が残業しているから帰りにくい」
「君だけ帰るの?」
は比較的分かりやすい例です。本人も圧力を認識しています。
ところが、ランチの例はどうでしょうか。皆が1,000円程度のメニューを選んでいる中で、本当は食べたい2,000円の料理があったのに注文しなかった。多くの人は、そこに同調圧力が存在したとは考えません。しかし、後から振り返ると、
「なぜ注文しなかったのだろう」
という疑問が残ります。その理由を突き詰めると、
「皆から浮きたくなかった」
という心理が見えてきます。これもまた同調圧力です。
私たちは気付かないうちに、多くの判断を周囲に委ねています。そして、その状態は程度の差こそあれ、不快感を伴います。なぜなら、自分の意志と異なる行動を取っているからです。

同調圧力に従う心理

では、なぜ人は同調圧力に従うのでしょうか。その根底には、
「孤立したくない」
という恐怖があります。人は社会的な動物です。仲間から排除されることは、本能的な不安につながります。そのため、
「嫌われたくない」
「浮きたくない」
「輪を乱したくない」
という気持ちが生まれます。これは決して弱さではありません。誰もが多少なりとも持っている自然な感情です。問題は、その感情によって自分の判断を手放してしまうことです。

同調圧力をかける心理

一方で、同調圧力をかける人もいます。その心理には、
「自分たちが正しい」
という感覚があります。近年のSNSは、その典型例です。ある出来事が炎上すると、多くの人が一斉に批判に参加します。その人たちは必ずしも悪意だけで行動しているわけではありません。むしろ、
「自分は正しいことをしている」
と思っている場合が少なくありません。また、
「自分も我慢してきたのだから、あなたも我慢するべきだ」
という心理もあります。職場における古い慣習や長時間労働の強制などは、この傾向が強いでしょう。

同調圧力に従う人と、かける人の共通点

一見すると、同調圧力に従う人とかける人は正反対に見えます。しかし両者には共通点があります。それは「他者との関係によって自分の安心を得ようとしていること」です。
心理カウンセラーの大嶋信頼氏は、著書『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』の中で、同調圧力に従う人も、同調圧力をかける人も、「子ども状態」だと説明しています。
私は、この考え方に共感する部分があります。大嶋氏の意見に私の解釈を加えると、同調圧力に従う人は、
「母親は正しい」
「親に褒められたい」

という幼少期の感覚を引きずっています。一方で、同調圧力をかける人は、
「自分が正しい」
「相手は従うべきだ」
という感覚を持っています。立場は違いますが、どちらも他者との関係に依存している点は共通しています。

「大人になる」とはどういうことか

では、大人とは何でしょうか。それは他人を支配する人ではありません。また、何でも反抗する人でもありません。相手を尊重しながら、自分も尊重できる人です。
他人が残業を選ぶ自由を認める。
同時に、自分が帰る自由も認める。
他人が賛成する自由を認める。
同時に、自分が反対する自由も認める。
これが「大人」の態度です。そのためには、
「同調圧力を回避したら孤立する」
という恐怖から自由になる必要があります。

「私は何も感じない」という考え方

ここで大切になるのが、
「私は何も感じない」
という考え方です。これは無関心になることではありません。周囲の感情を否定することでもありません。例えば、
「皆が残っているのに帰るの?」
と言われたとします。多くの人は、その言葉を受けて不安になります。しかし一度立ち止まり、圧力を受けていることを認識する。その上で、相手の言葉に振り回される感情を持たないようにする。例えば、
「私は何も感じない」
と思ってみるのです。すると、不思議なことに見え方が変わります。そこに存在していたと思っていた巨大な圧力が、実は単なる一つの意見に過ぎなかったことに気付きます。
相手にはそう思う自由がある。しかし、自分が従わなければならない理由にはならない。
そう考えられるようになります。
同調圧力から自由になるとは、戦うことではありません。圧力そのものを冷静に観察できるようになることです。そして、
「しなければならない」
から
「してもいいし、しなくてもいい」
へ変わることです。
これこそが心理的に大人になるということではないでしょうか。
以下、同調圧力を回避する方法と、最近私が体験した同調圧力をご紹介します。

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誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

 

同調圧力から自由になる6つのステップ

ステップ1 圧力の存在に気付く

まず、自分が不快感を持っていることに気付きます。
帰りたいのに帰れない。
言いたいことがあるのに言えない。
参加したくないのに断れない。
その時、
「私は今、同調圧力を感じている」
と認識します。気付くことがすべての出発点です。

ステップ2 その圧力が合理的か考える

同調圧力には合理的なものと非合理的なものがあります。
信号を守る。
チームで決めたルールに従う。
緊急時に指示を守る。
これらは合理的です。
一方で、
「昔からそうだから」
「皆そうしているから」
だけでは合理的な理由になりません。まずは冷静に見極めます。

ステップ3 「私は何も感じない」と意識する

多くの人は、
「皆が残っているのに帰るの」
と言われると、その言葉を事実として受け取ります。しかし、それは実際には相手の感情や価値観の表明に過ぎません。そこで、
「私は何も感じない」
と心の中でつぶやいてみます。相手には「皆が残っているのに、あなたは従わないの」と思う自由があります。しかし、自分がその感情を引き受ける義務はありません。
習慣として、同調圧力に合理性が見出せない場合、心の中で一度つぶやいてみます。
「私は何も感じない」
これは自己暗示ではありません。圧力と自分を切り離すための確認です。圧力は存在しても、それに反応する義務はありません。

ステップ4 それは本当に現実なのか確認する

帰ったら嫌われる。
反論したら孤立する。
断ったら評価が下がる。
本当にそうでしょうか。思い込みや予測が混じっていないでしょうか。ここで圧力の正体を検証します。

ステップ5 「〜しなければならない」を消す

残業しなければならない。
参加しなければならない。
空気を読まなければならない。
その言葉を、
「選択肢の一つである」
に置き換えます。義務が選択へ変わる瞬間です。

ステップ6 自分の価値観で選択する

最後に重要なのは、何に従わないかではありません。何を大切にするかです。
家族との時間なのか。
健康なのか。
成長なのか。
効率なのか。
自分の価値観に基づいて選択します。これが同調圧力から自由になった状態です。

 

「いい歳」になった私の体験した同調圧力の例

「いい歳になったなら、やりたいことをやりなさい」
そんな風潮をマスコミやSNSは推奨しています。私自身も「いい歳」ですので、
「どこかに旅行でも行くか」
「若い人のような服を着てみるか」

などと思います。ところが、この記事を書いているとき、この「いい歳になったら、」というのは、同調圧力なのではと疑うようになりました。60歳を過ぎた人すべてが、趣味や旅行を楽しみたいわけでもなく、若者のような服装をしたいわけではありません。また、すべてのシニアに当てはまる合理性はありません。
テレビを見れば、定年後に全国を旅行する夫婦が紹介されています。雑誌には「人生を楽しむシニア」が並びます。SNSでも旅行や登山の記事が目につきます。私は、これらを見聞きして、
「まだ、元気なうちに旅行をしなくては」
との思いで、女房に
「一緒に旅行をしよう」
と声をかけました。すると、
「行きたけりゃ、一人で行ったら」
と冷たい反応です。正に「大人」の言葉です。この言葉を聞いて、自分が「歳を取ったら、夫婦で旅行するもの」という同調圧力に屈していたことに気付きました。
私は旅行を否定しているのではありません。行きたい人が行けばいいのです。ただし、「歳を取ったら旅行を楽しむべきだ」、という考えもまた、一つの同調圧力だと理解しました。
様々な同調圧力を「してもいい、しなくてもいい」と受け止められる大人の心理を持つことで回避し、ちょっと気楽になりませんか。

 

まとめ

同調圧力は社会の至る所に存在しています。しかし、すべての同調圧力が悪いわけではありません。社会秩序やチームワークを維持するために必要なものもあります。
問題なのは、合理性のない同調圧力に無意識に従ってしまうことです。同調圧力に従う人も、同調圧力をかける人も、その背景には孤立への恐怖があります。だからこそ必要なのは、戦うことでも反抗することでもありません。心理的に大人になることです。
そして大人になる第一歩が、
「私は何も感じない」
と一度立ち止まってみることです。
その瞬間、これまで絶対的な力を持っているように見えた同調圧力が、一つの意見、一つの空気、一つの慣習に過ぎなかったことが見えてきます。すると、
「〜しなければならない」
は、
「〜してもいいし、しなくてもいい」
へ変わります。
同調圧力から自由になるとは、周囲に勝つことではありません。自分の人生の主導権を取り戻すことです。

参考記事:「同調圧力」は、どこの国にも存在。日米の同調圧力の違いを考える

「同調圧力」がつくる、日本にあるある「世間のルール」の特徴と対処法

 

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