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PM理論に「社風・社長の意志」を加えた3次元リーダーシップ理論

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

PM理論に「社風・社長の意志」を加えた3次元リーダーシップ理論

 

PM理論に「社風・社長の意志」を加えるとどうなる

国家のリーダー、会社のリーダー、チームのリーダーなど、集団にはリーダーが存在します。強いリーダーシップを発揮する人、調和を重視する人など、様々なタイプがあります。望まれるリーダー像は、不変的な要素もあれば、時代や組織のおかれた状況によって変るものでもあります。
そんな背景の中、昔からリーダーシップの研究がなされてきました。その体表的な流れは、
1)特性論(Trait):「リーダーは生まれつきの資質で決まる」という考え方
2)行動論(Behavior):「リーダーはどんな行動をとるか」で分類
3)状況適合理論(Contingency):「状況によって最適なリーダー行動は変わる」
といった理論です。
その中で、リーダーの行動に注目したのが、「PM理論」です。
PM理論は、日本の心理学者・三隅二不二(みすみ じゅうじ)が1960年代に提唱したリーダーシップに関する理論です。リーダーの行動を「目標達成機能」(P: Performance)と「集団維持機能」(M: Maintenance)の2つの軸で評価し、4つのタイプに分類して理想的なリーダー像を導き出しました。

PM理論とは

PM理論は、リーダーの行動を以下の2つに分け、2軸で考えます。
1)P(Performance)=目的達成機能(課題思考的行動)
 例えば、目標を設定する、計画を立てる、役割を明確にする、成果を管理する、問題を解決するといった成果・効率・目標達成に向けた行動
2)M(Maintenance)=集団機能維持(人間関係思考的行動)
例えば、メンバーの気持ちを理解する、信頼関係を築く、コミュニケーションを円滑にする、チームの雰囲気を整える、不安や葛藤をケアするといった人間関係・心理的安全性・チーム維持の行動。

 PM理論の4タイプ

PとMをそれぞれX軸Y軸として、その高低でリーダーは4タイプに分類されます。

タイプ 特徴 組織への影響
PM型(P高・M高) 目標達成と人間関係の両立 最も成果が出やすい
Pm型(P高・M低) 成果は出すが人が疲弊 離職・摩耗が起きやすい
pM型(P低・M高) 雰囲気は良いが成果が出ない 停滞・甘えが生まれる
pm型(P低・M低) 方向性も関係性も弱い 組織が崩壊する

一般的には、PM型が理想とされています。

PM理論

 

PM理論にZ軸として「会社の風土・社長に意思」を加えた三次元モデル

従来のPM理論(P=課題思考的行動、M=人間関係思考的行動)にZ軸として、「会社の風土・社長の意志」を加えた三次元リーダーシップ理論を考えてみました。

PM理論の限界を補う「Z軸」という視点

従来のPM理論は、リーダー個人の行動(PとM)に焦点を当てていました。
しかし実際の組織では、リーダーの行動は 会社の風土・経営者の意志(Z軸) に強く影響されます。例えば、
1)強気な社風では、リーダーは自然と強気のP行動をとる
2)保守的な社風 では、リーダーは慎重でM寄りの行動をとる
3)カリスマ経営者がいると、リーダーの求心力が弱くても組織は前に進む
4)安定志向の経営者では、リーダーの意思決定力が問われる
といったようにリーダーの行動は「個人の能力」だけでなく「組織の空気」に強く影響されます。
この「空気」をZ軸にとると、PM理論はより現実的なモデルになります。

Z軸は、次の2つの要素で構成されます。
1)会社の風土(Culture)
例えば、挑戦を奨励するか、失敗を許容するか、上昇志向か、安定志向か、上意下達か、分権型か競争的か、協調的かといったこと。
2)経営者の意志(Top Intent)
例えば、社長がどれだけ未来志向か、リスクを取るか、組織にどんな価値観を求めるか、どんな人材を評価するかといったこと。
Z軸は、組織の「重力場」のようなものです。リーダーはこの重力場の中で行動するため、Z軸が強いほど、P・Mの行動はZ軸に引き寄せられます。

三次元PMモデルでみたP・M・Zの相互作用

三次元モデルは次のように整理できます。
1)P軸(課題志向):目標達成・成果・計画
2)M軸(関係志向):信頼・心理的安全性・ケア
3)Z軸(風土・経営者意志):組織の価値観・方向性・空気
この3つが組み合わさることで、リーダーの行動は次のように決まります。
1)P行動はZ軸により強化・弱化される
例えば、強気の社風なら、P行動が自然と強化されます。安定志向の社風なら、P行動が抑制される傾向になります。
2)M行動もZ軸に影響される
例えば、人情的な社風 ならば、M行動が強化されます。一方、成果主義の社風 ならば、 M行動が軽視される傾向になります。
3)Z軸が強いと、リーダーの個性は埋没する
カリスマ経営者の会社では、リーダーのP・Mが弱くても組織は動きます。逆に、Z軸が弱い会社では、リーダーのP・Mが組織の成果を左右することに成り勝ちです。

かつての日本企業:Z軸が強かった時代

高度経済成長期〜バブル期の日本企業は、Z軸が非常に強い時代でした。
1)上昇志向の強い社風
「成長して当たり前」、「挑戦して当たり前」、「会社は右肩上がり」といった空気が、リーダーのP行動を自然と強化しました。
2)カリスマ経営者の存在
「世界一の企業になってみせる」
といったような強烈なビジョン、強気の意思決定、組織を引っ張る求心力があります。こんなZ軸が強かったため、リーダー個人のP・Mが弱くても、組織は前に進んだのです。
3)結果として起きた現象
「イケイケ」の社風が強かった時代、結果として、
①求心力のないリーダーでも、チームは強気に動いた。
②リーダーが会社の方針に引きずられた。
③リーダーのP行動が「社風によって補完」された。
このように、Z軸が強い時代は、リーダーのP・Mの弱さを会社が補っていたのです。

現代の日本企業:Z軸が弱体化した時代

現在は、Z軸が弱くなっています。
1)安定志向の社風
例えば、リスクを避ける、失敗を恐れる、現状維持を重視、新規事業より既存事業
2)経営者の慎重化
強気な意思決定が減少、カリスマ性より「管理能力」、未来志向より「安定運営」
3)組織の空気が「守り」に傾く
P行動が抑制される、M行動が過剰に重視される、リーダーが意思決定を避ける
結果として、リーダーのP・Mの質が組織成果を大きく左右する時代になっています。

Z軸弱体化がPM理論に与えた影響

Z軸が弱くなると、PM理論は次のように変化します。
1)リーダーのP行動の重要性が増す
強気の社風がP行動を補完してくれないため、リーダー自身がP行動を発揮しないと、組織が動かない
2)M行動の重要性も増す
安定志向の組織では、メンバーは不安を抱えやすい。そのため、心理的安全性をつくるM行動が不可欠
3)Z軸が弱い会社では、リーダーの力量が組織成果を決める
かつては「会社の空気」が組織を動かしました。今は「リーダーの行動」が組織を動かす。つまり、PM理論の重心が「個人の行動」に移ったのです。

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まとめ

リーダーシップに関して、リーダーの行動を目的達成機能Pと集団機能維持Mに分けたPM理論があります。これに、「社風」をZ軸として加えた三次玄PM理論を考えました。
かつての日本企業はZ軸が強く、リーダーのP・Mの弱さを補完していました。しかし、今はZ軸が弱く、リーダーのP・Mが組織成果を左右するようになっています。
保守的な社風では、リーダーがZ軸の代替として「方向性」と「推進力」を提供する必要があり、現代のリーダーには「P・Mの両立」が過去よりも強く求められています。

参考記事:リーダーシップ能力の他に必要な日本の「出来る上司」の能力とは?

「総論賛成各論反対」の壁を突き破るのが、経営者や政府のリーダーの役目!

 

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