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「ホメオスタシス」を使って「落ち込んだ気持ち」から脱出するコツ

 
落ち込んだ気持ちの人を助ける人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「ホメオスタシス」を使って「落ち込んだ気持ち」から脱出するコツ

 

「ホメオスタシス」を使って「落ち込んだ気持ち」から脱出するコツ

「スポーツの試合で、ミスを連発して大敗。もう2度とやりたくない!」
「不手際でクレームが連発、職場から逃げ出したい!」
そんな「落ち込んだ気持ち」になっても、しばらくすると大半の人は、また元気が出て来ます。人は、先天的に「元に戻る力」を持っています。
この「元に戻る力」を「ホメオスタシス」(恒常性)と呼びます。ホメオスタシスとは、生理学的なフィードバック機能です。体温や血糖値、免疫機能などを一定に保とうとする働きです。例えば、体温が上がり過ぎれば下げようと汗をかき、下がれば代謝の促進や震えが起きます。
ホメオスタシスは、精神にも働いています。「落ち込んだ気持ち」になっても、立ち直る力が働きます。逆に異常に高揚した気分(ハイテンション)になっても、その気持ちは長く続くことはありません。
このホメオスタシスのメカニズムがあることを知った上で、気持ちをコントロールすることが、仕事や生活をする上で有益です。
時として、このコントロールが効かなくなると、うつ病双極性障害(躁うつ病)を発症します。気持ちのコントロールだけが原因でこれらの病気を発症するわけではありませんが、引き金になる可能性があり注意する必要があります。
ホメオスタシスを使って、「落ち込んだ気持ち」から脱出するコツを3つご紹介します。
1)積極的に休む・寝る
2)普段からレジリエンスを高める
3)言葉、思考、行動のバランスを取る
これらを使うことで、強い精神的ストレスを軽減し、「落ち込んだ気持ち」から早期に回復することが期待できます。

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積極的に休む・寝る

強いストレスによって精神的に追い込まれ、暗い感情に陥った時は、ホメオスタシスの力を信じることです。スポーツにしろ、仕事にしろ、一旦そこから離れて休む、或いは寝てしまうことです。
よく、1)飲酒や好きなものを食べる、2)好きなことをする、3)体を動かす等々「落ち込んだ時の脱出法」が紹介されています。その通りではありますが、精神的に深く落ち込む、それらのこともやる気がでてきません。たとえ飲食や体を動かしても、気が付くと失敗したことなど、ストレスの原因になったことばかり考えてしまい勝ちです。
ここは、まず「何も考えず休む」「寝てしまう」ということです。時間の経過と共に、脳内の神経伝達物質やホルモンのバランスが元の状態に戻っていきます。このようなホメオスタシスのメカニズムにより、気分が平時の状態に戻り始めます。一晩寝るなどして、ある程度回復したら、飲食や体を動かすことで本格的に回復させることです。
私が担当していた生産工場で、オペレーターがミスを犯し、生産ラインを止めてしまうことが、年に何回かありました。こんな時、ミスを犯した当事者は、責任を感じていつまでも工場に残り、生産ラインの復旧をしたがります。そんな時、
「とにかく、帰って寝ろ!」
そう言って帰宅させました。責任感の強い日本人は、自分のミスなどでトラブルを起こすと、復旧するまで見届けようとします。しかし、「落ち込んだ気持ち」で復旧作業をしても、いい知恵は浮かばず、作業の能率も悪くなることを度々経験しました。
地震などの自然災害、火災や事故などの報道を見聞きするたびに、復旧に当たる人が、十分な睡眠や休養を取っているか、心配してしまいます。米国で大規模事故の復旧に遭遇したことがあります。日本人の目からみると「無責任」と感じるほど、当事者がさっさと支援者に任せて帰宅してしまいました。しかし、結果的には、日本より早く事故から復旧させるのには感心させられます。

普段からレジリエンスを高める

個人が予期せぬストレスや混乱に直面した際に、精神的な柔軟性を発揮し、回復する能力を「レジリエンス」(回復力)と言います。これは、個人が自己認識を高め、感情を適切に処理し、新しい状況に適応する能力です。たとえば、失業や健康問題などの大きなストレスが生じた場合でも、ポジティブな思考を持って対処し、新たな目標やチャンスを見出すことができます。レジリエンスを高めるとは、生理的な回復力であるホメオスタシスを意図的に強化することと考えることができます。
レジリエンスは、3つの因子から構成されると言われています。
1)好奇心
様々な分野やできごとに対する関心(好奇心)が重要です。慣れ親しんだ活動や習慣にとらわれず新しい内容に挑む気持ちが、レジリエンスには必要です。
2)感情調整
ストレスが発生すると、人の感情は大きく揺れ動きます。感情調整は「悲しい」「苦手」「逃げたい」「諦めたい」など、ネガティブな感情をコントロールし調整する能力が重要です。
3)ポジティブな未来志向
未来に対して、ポジティブに考えることがレジリエンスの力を高めます。漠然と楽観的に考えるのではなく、明確な目標や夢をベースに将来的なプランを思い描くことで、精神的回復を促進します。
これらを普段から習慣として持っていることがレジリエンスを高め、予期せぬ出来事によるストレスを軽減します。
レジリエンスを高く保つということは、ホメオスタシスの平衡点を高く保つということでもあります。精神的に落ち込むようなストレスを受けたとき、高い平衡点に戻ろうとする力が強く働くと考えることができます。

言葉、思考、行動のバランスを取る

外的なストレスの他に、自分自身の言葉と思考と行動のバランスが取れていないことに起因するストレスがあります。そんな例を以下に挙げます。
1)言ったことがやれていない
言葉と行動がズレているケースです。調子に乗って上司に
「やります」「すぐ出来ます」
と言っていながら、実行していない。行動したけど、うまく行っていない場合などで、大きなストレスを感じます。
2)いやいや、やっている
意思と行動が不一致です。嫌なことをやるのは、誰しもストレスを感じることです。
3)言いたいことがあるのに言えない
言葉と意思が違っているケースです。
深層意識に、
「言うことと、行動は一致していなければいけない」
「良いことは、進んですべき」
「相手の気分を害することは、言ってはいけない。してはいけない」
といったことがあります。「真面目」と言われる人は、その傾向が強いかも知れません。
「言葉、思考、行動のバランスを取る」とは、必ずしもこれらを一致させることではありません。「言葉、思考、行動は、一致しないのが当たり前」位の意識でいることが、ポイントです。

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まとめ

誰もが持っている「ホメオスタシス」(恒常性)を使って、「落ち込んだ気持ち」から脱出するコツがあります。
1)積極的に休む・寝る
2)普段からレジリエンスを高める
3)言葉、思考、行動のバランスを取る
これらを使うことで、強い精神的ストレスを軽減し、「落ち込んだ気持ち」から早期に回復することが期待できます。

参考記事:WBCでの大谷翔平の言葉に含まれていた「元気を出す」ためのポイント

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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