売れる商品の開発ヒントは、人が夢中になる「カミ」「クニ」「カネ」の3Kにあり
売れる商品の開発ヒントは、人が夢中になる「カミ」「クニ」「カネ」の3Kにあり
歴史的に夢中になってきた3Kからみた商品開発、商品発掘
「多くの機能を持った商品が売れない」
「何の特長もない商品が、なぜか売れる」
特に安くもなく特別な性能を持っていなくとも、売れるモノやサービスがあります。もちろんその商品に必要な基本的性能があり、お客様の課題を解決できなければ話になりませんが、その上で世の中の「トレンド」や「ブーム」に乗っているかが売れ行きを左右します。現代のトレンドは、「脱炭素」「健康志向」などでしょうか。これら、価格や性能以外の要素は、人が歴史的に夢中になった3K共通点があります。この3Kとは、「カミ」「クニ」「カネ」です。3Kは、歴史学者の磯田道史氏が述べているところです。歴史的にみると、人々はこの3Kに夢中になり、ある時は対立し戦争までしてきました。宗教対立から生まれる戦争、帝国主義がぶつかった戦争、資源をめぐる戦争などがこれを証明しています。
モノやサービスでも人々が夢中になり買い求める商品は、この3Kに共通していると考えらます。モノやサービスに3Kを当てはめると以下のようです。
①「カミ」:理屈抜きで宗教のように信じていること。「脱炭素」「有機栽培」など
②「クニ」:国に代表される組織愛。地域、好きなプロスポーツチーム、ブランドなど
③「カネ」:お金。安い、買うと儲かるもの
この3Kをうまく利用すれば、人が夢中になり売れる商品の開発、発掘ができる可能性が期待できます。一度、この3Kの視点で身近で売れている商品を確認してみれば、納得できるかも知れません。
「カミ」:理屈抜きで宗教のように信じていること
キリスト教やイスラム教のような宗教と同じように、人は、根拠が曖昧でも信じているものがあります。これらを「宗教」と呼ぶことができます。
身近な例では、「無農薬」「有機栽培」などです。道の駅などで、「無農薬の野菜」「有機栽培果物」は人気商品です。無秩序な農薬使用、化学肥料に対して、「無農薬」「有機栽培」が、健康に良いことは理解できます。しかし、適正に管理された農薬使用、化学肥料の使用は、世界の食料事情からみて避けることはできません。また、通常の量を食したことで健康被害がでることもありません。しかし、「無農薬」「有機栽培」を「カミ」としている人から見ると、農薬や化学肥料の使用は、たとえ少量でも避けたくなります。
同様に「遺伝子組み換え作物」は、日本のスーパーで敬遠されます。加工食品用の輸入穀物などでは、大量に使用されているのですが。
最近声高に叫ばれている「脱炭素」も「カミ」になっています。太陽光発電、風力発電などが声高に叫ばれています。米国には、企業の「脱炭素活動」に対してランク付けをし、金融情報として公開することで商売を成り立たせている会社があります。
電動自動車、脱プラスチック、電気炉による鉄の生産、どれも「脱炭素」という「カミ」が支配する商品です。
他にも、いろんな「カミ」がいるはずです。日本人特有の「カミ」や欧米人特有の「カミ」もいます。それらを発見することで、売れる商品が開発、発掘できます。
「クニ」:国に代表される組織愛
歴史的に国力を上げ、領土を広げることに人々が夢中になった時代がありました。帝国主義の時代が終わった今でも、「クニ」を拡大したい気持ちがあり国家対立があります。サッカーのワールドカップ、オリンピックが盛り上がるのも人々が「クニ」に夢中になるからです。
好きなプロ野球球団や好きなタレント関連商品を好ましく思うのは、当事者にとって母国愛と同じです。地酒、地ビール、地元出身のタレント、卒業した高校や大学など組織に根差した愛着は、「クニ」対する愛国心と同じパターンです。人は、自分とかかわったモノやコトが好きになるものです。家庭菜園でとれた野菜はおいしいと感じ、自分で作ったモノ(DIY)を好ましく思います。こんな人が「クニ」に夢中になる気持ちに乗った商品開発や商品発掘ができれば、売れる可能性が上がります。
「カネ」:お金
お金が人を夢中にしてきたことは、説明の必要がありません。
安い商品、コストパフォーマンスのいい商品が売れるのは、当然といってもいいでしょう。また、買うと儲かる(かも知れない)商品は、人々を夢中にします。株、債券、商品取引などが代表です。ギャンブルも儲かるかも知れないとの思いではまる人が多くいます。
「おまけ」商法やポイント制など、価格以外でも「カネ」の要素は、大きく働いています。
まとめ
モノやサービスで人々が夢中になり買い求める商品は、歴史の3Kに共通しています。モノやサービスに3Kを当てはめると
①「カミ」:理屈抜きで宗教のように信じていること
②「クニ」:国に代表される組織愛
③「カネ」:お金
この3Kをうまく利用すれば、売れる商品の開発、発掘ができる可能性が期待できるかも知れません。