「進捗管理」で遅れを見つけ、遅れ解消のために選択できる対策は4つだけ
「進捗管理」で遅れを見つけ、遅れ解消のために選択できる対策は4つだけ
進捗遅れに対してできることは4つだけ
「ズルズルと遅れるプロジェクト」
「このままでは、年間売上目標が未達になりそう」
これは、よくある「進捗管理」をしているリーダーの心配事です。年間の売上目標、建設計画、プロジェクト目標などを立て、その時点の達成度を確認するのが「進捗管理」です。もちろん達成度を確認するだけが、「進捗管理」ではありません。「進捗遅れ」に対して、対策を考え実施してこそ「進捗管理」です。
一般的な「進捗管理」は、週や月毎の定期的な達成度のチェック法と「マイルストーン」といわれる中間管理ポイントをあらかじめ決めてチェックする方法があります。やり方、やる時期は様々ですが、確認した進捗度に対して、どうアクションするかが重要です。
進捗遅れに対して、いろいろな対策があるように見えますが、整理すると選択できる対策は4つしかありません。
1)遅れの回復を期待して何もしない。
2)投入資源を増やす。
3)バイパスを使う。
4)目標を変更する。
目標に対して進捗遅れに気付いたとき、遅れ回復のために「人を増やす」「工程を変える」「目標を変える」ことができます。あえて「何もしない」ことも選択肢です。
目標未達の多くは、意識せず「何もしない」を選んでいるからです。当事者は、「選んだ」との意識はありません。結果的に「何もしなかった」ケースが圧倒的です。これは、「進捗管理」をしていたとは言えません。進捗管理とは、「何もしない」ことも含めて、この4つの選択肢を意識し続けることです。
この4つは、私が日本と米国で大規模な鋼板工場建設のプロジェクトリーダーを経験して強く意識するようになったことです。この4つの選択肢を「子供の勉強」から「国の施策」まで、あらゆる目標達成の「進捗管理」に当てはまる有用な考え方として紹介します。
遅れの回復を期待して何もしない
目標に対するその時点の達成度を把握することは、重要です。月間の売上目標を立ててても、次月にならないと結果がわからないようでは、「進捗管理」になりません。せめて、毎週の達成度を確認したいものです。目標未達になる原因の多くは、期限の途中で達成度を把握できておらず、「何もしない」のではなく、「何もできない」「何も気づかなかった」ことが多いようです。
「進捗管理」の中で、進捗の遅れを確認したとき、リーダーは「遅れの原因」「今後の見通し」を考える必要があります。「作業者が、仕事に慣れていない」「季節要因で今は売れない」など、原因があり、その解消に目途があれば、「何もしない」を選択します。「何もしない」理由として、「作業者の慣れ」「季節要因」を上げ、それが変化するとみていることになります。その後、進捗遅れが回復しないとき、「何もしない」理由が、崩れていないか確認することです。いつまでたっても「作業者が慣れない」「季節か変わっても変化ない」のであれば、「何もしない」理由が崩れているのです。このときは、「何かする」必要があります
投入資源を増やす
進捗が遅れる原因は様々あります。全体的に仕事が追い付かない、部分的に遅れていてそこがボトルネックになっているなどです。
まず、遅れている原因を把握する必要があります。そして、原因を見つけたら、それを解消するために投入資源を増やすことです。あるいは、投入している資源の配分を変えることです。例えば、人手不足があれば、人手を増やす。受注不足なら、広告キャンペーンを打つなどです。
追加資源を投入する人的、金銭的余裕があるか。追加投入する資源で、どの程度の効果があるかなどを検討する必要があります。
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バイパスを使う
建設工事や各種プロジェクトのように目標期限までに、仕事を仕上げるような場合、進捗遅れの解消に「バイパス」を使うことができます。工程を飛ばしたり、変更したりすることです。
工場などのプラント建設では、試運転期間の短縮、外注切替、入手容易な材料、部品への変更などをよくやります。進捗遅れの原因を見つけ、それを解消するのに、別ルートを使うのです。
納期が何か月もかかる特注品のベアアリングを汎用型に変えて、完成納期を達成したことがあります。汎用ベアリングでプラントが動くのか、耐久力は大丈夫かと心配されましたが、腹をくくった判断をして、切替えたことがあります。
「バイパス」をうまくやり、目標を成功させたリーダーは、ヒーロー(ヒロイン)になります。その発想や決断力が称賛されます。しかし一方では、「バイパス」は目標達成のトラブル発生、投資金額の増大など「リスク」が伴っています。「バイパス」を使うのは、元々計画が甘いのです。「バイパス」を使っての成功体験は、リーダー自身がその成功を誤解してしまう危険があります。「自分は、後でなんとかする力がある」と思い込み、「バイパス」を使うことが当たり前と勘違いします。そして、甘い計画のもと次の失敗を生む可能性があります。「バイパス」を使っての成功は、野球で守備位置が悪いことをファインプレーでカバーしたようなものです。計画である守備位置のミスを成功の後でも反省しておくべきです。
目標を変更する
進捗が遅れ、その原因に対して「追加資源投入」をしても「バイパス」をしても達成の目途が立たなければ、「目標を変更する」ことになります。目標の下方修正は、リーダーとしてつらいものですが、変更した目標は、必ず達成する覚悟で達成計画を立てるべきです。中途半端に目標を後ろにずらすことや下方修正は、状況を悪化させることがあります。後の進捗確認で、更に未達や遅れが発覚。何度も目標の修正を繰り返すと、周囲の信頼を失うばかりか、グループ内でもモチベーション低下が生まれます。
財政再建や少子化対策など「政府の施策」で繰り返される「目標の下方修正」や「達成期日の後ろ倒し」が、国民の不信感や脱力感を生み出していることに説明の必要がありません。
目標の変更でズルいのは、「目標をずらす」ことです。コロナの感染者抑制を重症者抑制にすることも、死亡者抑制にすることもできます。ある政党が、選挙で過半数の議席獲得で「勝利」と言っていたのに、連携する政党と合わせて過半数獲得が「勝利」に化けさせることもできます。こちらは、進捗管理のリーダーではなく、組織トップのプロバガンダ力問題になるので、話を止めます。
まとめ
「進捗管理」において、進捗遅れを確認して選択できる対策は4つしかありません。
1)遅れの回復を期待して何もしない。
2)投入資源を増やす。
3)バイパスを使う。
4)目標を変更する。
目標に対して進捗遅れに気付いたとき、遅れ回復のために「人を増やす」「工程を変える」「目標を変える」ことができます。あえて「何もしない」ことも選択肢です。
目標未達の多くは、意識せず「何もしない」を選んでいるからです。「進捗管理」とは、「何もしない」ことも含めて、この4つの選択肢を意識し続けることです。
参考記事:意味のある目標設定にするには、「結果目標」に「行動目標」を付けること